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木霊の成長記  作者: 火乃香


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1話

この物語には妖怪に対する自己解釈やオリジナル設定が含まれています。

オリジナルの妖怪が登場することもあります。

素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。

※作者に教養がないためここで使っている外国語はAIで翻訳しています。

ここは翠嶺町(すいれいちょう)にある翠嶺小学校すいれいしょうがっこう

日も長くなり、入学式が思い出に変わる頃、1年生の教室で1人の生徒が肝試しの話を持ち出した。

彼の話によると隣町に住んでいた父親が久しぶりに廃校になった小学校へ行ったらしく、そこがお化けが出そうなくらい荒れていたような話を母親と話していたらしい。

その話を聞いて夏も近い事もあり、肝試しをしたくてメンバーを募集していた。

場所は住宅地から少し離れた場所にある空き家の並んでいる場所でメンバーを募集している男の子、名前は川原(かわはら) 遥馬(はるま)というのだが遥馬(はるま)の曾祖母が住んでいた家がありそこに行こうと言うのだ。

そしてその日の放課後に参加者は近くの公園に集合していた。

参加者は発案者である遥馬(はるま)、自称霊感のある朝比奈(あさひな) 透子(とうこ)、面白そうだからと兄弟で参加の安達(あだち) 魁斗(かいと)とその兄の悠希(ゆうき)、クラスのマドンナ三輪(みわ) 結衣(ゆい)、クラスではあまり目立たない篠原(しのはら) 真生(まお)の6名が集まった。

透子(とうこ)「もしお化けがいても私が正体暴いてやるわ。」

遥馬(はるま)「本当に見えるのか?」

透子(とうこ)「信じてないの?だけどその時になれば分かるわよ。」

結衣(ゆい)「それより大人の人は?来るって言っていたから私お母さんにも話して許可もらって来たんだけど。」

遥馬(はるま)「今日、遅くなる事忘れてた。だけど鍵は持って来たから入れるぞ。それより何で真生(まお)も来ているんだ?結衣(ゆい)は誘ったけどお前、興味なさそうだったじゃないか。」

真生(まお)「えっと、、」

結衣(ゆい)「私が誘ったの。あんたがどうしてもって言うから来たけど、不安だったから。」

遥馬(はるま)「何が不安なんだよ。」

結衣(ゆい)「色々よ。実際、大人の人連れて来るって言っていないじゃない。」

魁斗(かいと)「なあ、いつ行くんだ?揃ったなら早く行こうぜ。」

結衣(ゆい)「私たち帰っていい?真生(まお)ちゃん行こう。」

遥馬(はるま)「待てよ。約束したじゃないか。」

結衣(ゆい)「先に約束破ったのはそっちでしょ。」

遥馬(はるま)「お前らが帰ったら男と女2人でグループになって回ろうと思ってたのにできないじゃないか。」

結衣(ゆい)「元々自由参加で人数気にしてなかったでしょ。」

遥馬(はるま)「そうだけど、人数丁度良くなったんだからそうすれば良いだろ。」

結衣(ゆい)「何でそんなに必死なのよ。」

悠希(ゆうき)「お前、こいつと回りたいんだろ。そして良いとこ見せたいとか考えてるんだろ。」

遥馬(はるま)「そんなんじゃない!」

結衣(ゆい)「なら何で引き留めるの?」

遥馬(はるま)「だから人数の為だって。」

結衣(ゆい)「ならあんたは透子(とうこ)ちゃんと回れば良いじゃない。魁斗(かいと)くんと悠希(ゆうき)くんは兄弟なんだから2人で回れるでしょ。」

魁斗(かいと)「おい、こんな事してると時間なくなるぜ。やらないなら俺らも帰ろうぜ。」

透子(とうこ)「えー。期待外れ。」

遥馬(はるま)結衣(ゆい)、お願いだ。今回だけ、今回だけ参加してくれ。一生のお願い。」

結衣(ゆい)「、、分かった。今回だけだからね。」

遥馬(はるま)「ありがとー。」

結衣(ゆい)「それと私は真生(まお)ちゃんと回るから。それだけは譲らないからね。」

遥馬(はるま)「えー。」

結衣(ゆい)「何?」

遥馬(はるま)「、、分かったよ。」

話が付き、6人で遥馬(はるま)の曾祖母の家に着くとそこは塀に囲まれていて、中を覗くと庭には背の高い雑草が生えていて、家の外観は古臭さく、所々傷みが目立った二階建ての家だった。

透子(とうこ)「ここ?隣より雰囲気ないわね。」

透子(とうこ)の言う隣の家は木造で所々崩れ、いくつかの窓は外れて落ちているところもあった。

結衣(ゆい)「安全そうで良いじゃない。さっさと済ませて帰らないと、騙されたとはいえ子供たちだけだとお母さんに叱られるわ。」

遥馬(はるま)「何だよ。人を悪者みたいにさ。」

結衣(ゆい)「そうでしょ。嘘ついてたんだから。」

透子(とうこ)「それより早く入りましょ。」

遥馬(はるま)「その前にグループ分けとルール決めたから教えるぞ。」

悠希(ゆうき)「その前に庭に入らないか?こんなとこ大人に見られたら早く家帰れって叱られるぞ。」

遥馬(はるま)「そうだな。」

6人が移動すると遥馬(はるま)は説明を始める。

遥馬(はるま)「全員、懐中電灯は持って来たよな。」

そう言って全員の懐中電灯を確かめる。

遥馬(はるま)「家入ってすぐ左の部屋が畳の部屋なんだ。その奥まで行くとあそこの部屋に出る。そこで外に向かって懐中電灯の光で合図。外で待ってる奴らも合図を返したら戻って廊下に出たら左に進むと階段あるから登って左の部屋に入るとここから見えるあの二階の部屋に出るからそこでも同じように懐中電灯で合図して戻って来るんだ。分かったか?」

結衣(ゆい)「まあ、分かったけど家の中知ってる遥馬(はるま)くんが有利じゃない?」

遥馬(はるま)「なら俺と行くか?」

結衣(ゆい)「それは嫌。」

悠希(ゆうき)「見たところそこまで大きい家じゃない。分からなくなればすぐ玄関か、ここから見える場所に来て聞けば良いさ。」

結衣(ゆい)「分かった。行く時は左に曲がれば良いんだよね。」

魁斗(かいと)「さっさとしようぜ。本当に暗くなる前に帰らないと。」

日は既に落ちかけて辺りはオレンジ色の光で包まれていた。

急いでグループを作り、組み合わせは友達同士の結衣(ゆい)真生(まお)、兄弟の魁斗(かいと)悠希(ゆうき)、余った遥馬(はるま)透子(とうこ)で回ることになった。

結衣(ゆい)「暗くなる前に回りたいから私たちが最初でいい?」

遥馬(はるま)「分かったよ。」

透子(とうこ)「私は暗くなってからの方が良いから最後がいいな。」

魁斗(かいと)「なら俺ら2番。」

回る順番はすぐに決まり、最初の結衣(ゆい)真生(まお)のチーム、魁斗(かいと)悠希(ゆうき)のチームと順調に進んで行く。

古いせいか家の軋む音が聞こえ、天井の染みが目立つがそれ以外は特に何もなかったと2チーム共言い、最後に遥馬(はるま)透子(とうこ)のチームが家に入るが中々1回目の懐中電灯の合図が来ない。

遥馬(はるま)は家の中を知っているので迷うはずはないのだが他のチームよりも遅れて合図がされる。

何か言う事もなく懐中電灯の光は移動して行ったので寄り道でもしたのだろうと2回目の合図を待つ。

だが合図は無くドタドタと廊下を走る音が聞こえて勢いよく玄関のドアが開いて遥馬(はるま)が出て来ると、その後すぐに透子(とうこ)も慌てたように出て来た。

魁斗(かいと)「ど、どうしたんだよ。」

遥馬(はるま)「首に濡れた何かが触れたんだよ。誰か悪戯しただろ。」

悠希(ゆうき)「誰もここから動いてないぞ。」

遥馬(はるま)「だけど見ろよ。その時すぐ触ったらこんなに濡れていたんだぞ。」

そう言って遥馬(はるま)が右手を全員に見せると濡れているようではあるが汗と見分けがつかず、遥馬(はるま)透子(とうこ)以外は困惑している。

真生(まお)「ねえ、透子(とうこ)ちゃんは何か見たの?」

透子(とうこ)「何かが天井を這っていくのが見えたの。」

そう透子(とうこ)は興奮気味に答える。

遥馬(はるま)「お化けの正体暴くんじゃないのかよ。足音も聞こえたし、あの話本当だったのか?」

結衣(ゆい)「あの話って何?」

遥馬(はるま)「親が話してるの聞いただけだけど、あの畳の奥の部屋で死んだ人がいるらしいんだ。」

結衣(ゆい)「何でそんな事黙ってたのよ!」

遥馬(はるま)「だって、言ったら来ないと思って。」

結衣(ゆい)「当たり前よ!ただ家の中探索するだけだと思ってたのに、、私、怖いから帰る。」

悠希(ゆうき)「一応全員が回ったような感じだし良いだろ。俺らも帰ろうか。」

魁斗(かいと)「そうだな。」

透子(とうこ)「ここで死んだ人の霊?私初めて見た。」

結衣(ゆい)「あれ?霊感あるなら見た事あるんでしょ?」

透子(とうこ)「え?あ、も、もちろんよ。珍しくもないわ。」

遥馬(はるま)「とにかく、鍵、閉めずに帰ったら怒られるから閉めないと。」

そうは言うが遥馬(はるま)は扉の方を向いたまま動かない。

結衣(ゆい)「何してるの?私たち先に帰るから鍵は自分でしてよね。」

遥馬(はるま)「わ、分かってるけど、誰か付いて来てくんね?」

結衣(ゆい)「怖いの?」

遥馬(はるま)「そ、そうじゃないけどさ。」

強がりを言う遥馬(はるま)の手も膝も震えていて明らかに何かに怯えている。

遥馬(はるま)「そうだ、透子(とうこ)。お前お化けはよく見てるんだから怖くないだろ。代わりに締めて来てくれよ。」

透子(とうこ)「嫌よ。怖いなら明るくなってから締めに来れば?どうせ盗る物なんて無いでしょ。」

悠希(ゆうき)「盗る物無くても空き家に住み着く人間もいるみたいだし、戸締りはした方が良いぞ。」

遥馬(はるま)「それなら付いて来てよ。1番年上なんだからさ。」

悠希(ゆうき)「仕方ないな。」

そうして遥馬(はるま)はポケットから鍵を取り出そうと探るが、鍵がポケットから出てくることはなかった。

悠希(ゆうき)「どうしたんだ?」

遥馬(はるま)「鍵、どこかで落としたみたい。」

悠希(ゆうき)「どこでだよ。」

遥馬(はるま)「多分、さっき慌てて走った時だと思う。」

悠希(ゆうき)「なら家の中かよ。」

遥馬(はるま)「お願いだ。一緒に来てくれよ。このままじゃ帰れない。」

悠希(ゆうき)「はあ!?」

結衣(ゆい)「仕方ないわね。私たちが行った時は何もなかったんだし、全員で行けばお化けも出てこないわよ。」

泣きそうになっている遥馬(はるま)を見かねた結衣(ゆい)がそう提案する。

遥馬(はるま)結衣(ゆい)、ありがとう。」

結衣(ゆい)「見て見ぬふりするのも後味悪いし、早く帰りたいからね。」

透子(とうこ)「もう一度入るの?私嫌よ。」

結衣(ゆい)「怖いなら帰ってもいいよ。霊感あるのに臆病なのね。」

透子(とうこ)「ち、違うわよ。怖いんじゃなくて面倒なだけ。」

結衣(ゆい)「なら入れるよね?」

透子(とうこ)「もちろんよ。さっさと行きましょ。」

結衣(ゆい)「男子たちも怖いから帰るなんて言わないよね?」

悠希(ゆうき)「人数多い方が早く見つけられるだろ。もう暗くなってきてるし、さっさと見つけるぞ。」

魁斗(かいと)「俺は兄ちゃんに付いてく。」

遥馬(はるま)「ありがとう、、」

そうして全員でまた家の中に入り、先頭の遥馬(はるま)が階段付近の廊下を懐中電灯で照らすとキラリと光る物があり、近づけばそれは鍵だった。

遥馬(はるま)「良かったー。」

結衣(ゆい)「さあ、さっさと帰りましょ。」

遥馬(はるま)が鍵を拾い、全員が安堵していると急に家全体が軋み、揺れだす。

透子(とうこ)「な、何?地震?」

真生(まお)「動くと危ないよ。揺れが落ち着くまでじっとしてよ。」

悠希(ゆうき)「手で頭を守って、転ばないようにしゃがんで!」

そうして全員が固まって揺れが止むのを待つとすぐに止まり、透子(とうこ)が1番に玄関へ駆け出した。

透子(とうこ)「もう嫌よ。鍵も見つかったしもう帰る。」

だが透子(とうこ)がドアノブを回してもドアは開かない。

透子(とうこ)「開かない。何で?」

遥馬(はるま)「は?こんな時にふざけるなよ。」

遥馬(はるま)も開けようとするが開かず、鍵を確かめても閉まっているわけではなさそうだ。

悠希(ゆうき)「もしかしてさっきの地震でドアが歪んで開かなくなったのか?」

結衣(ゆい)「そんな、閉じ込められたの?」

悠希(ゆうき)「いや、さっきの畳の部屋の窓から出れるだろう。」

悠希(ゆうき)「台所の方にも裏口あったはずだよ。鍵は閉めれないけどこんな事になったんだからお父さんも許してくれるはずさ。」

透子(とうこ)「台所はどっちなの?もう早く出たい。」

悠希(ゆうき)「廊下を真っ直ぐ行けばすぐだよ。」

???「もう帰るのか?」

悠希(ゆうき)の案内で廊下の奥に歩き出そうとした途端、その言葉と共に天井から突然目の前に何かが現れた。

それは痩せた人の体を持ち、顔は馬のように長く歪み、その口からは長い舌が垂れ下がっている。

明らかに人とは違う容姿をしたものにほとんどの人は叫び、悠希(ゆうき)は固まり、透子(とうこ)は泣き出してしまった。

???「おいおい、そこまで怖がらなくてもいいだろう?わしらの住処に来たのはそっちなんだから。」

遥馬(はるま)「こ、ここ、ここは俺のひいばあちゃんの家だ。お前なんかの家じゃねえ。」

???「だが今はわしの住処だ。この天井の埃の溜まり具合、最高じゃないか。」

真生(まお)「ねえ、私たちを閉じ込めたのはあなた?何がしたいの?」

???「うん?君は他の子よりも怖がってないな。いや、顔色が悪い。無理はするなよ。」

真生(まお)「少し頭が痛いだけ。質問に答えて。」

???「久しぶりに人を見たから遊びたいんだ。隠れんぼをしよう。わしらを見つけられたら家に帰してやる。」

悠希(ゆうき)「わしらってお前以外にもいるのか?」

透子(とうこ)「そ、それよりもあなたは何者?ここで死んだ人の霊?」

???「わしは幽霊ではないぞ。似たような存在ではあるがな。それに人が死んだのは隣の家だ。」

結衣(ゆい)「隣?じゃあここで死んだ人はいないの?」

???「ああ、わしの知る限りではな。」

透子(とうこ)「なら遥馬(はるま)くんの話嘘じゃん。」

遥馬(はるま)「この辺で死んだって話を母さんがしてたからここだと思ったんだよ。それより違うならお前は誰だよ。」

???「それもわしを見つけたら考えてやろう。始めるぞ。」

悠希(ゆうき)「その前に何人もいるような事言っていただろ。何人見つければ良いんだ?」

???「わしがいいと言うまでだ。」

そう言うとそれは消えてしまった。

透子(とうこ)「あんな奴の言う事聞かなくてもいいわ。台所から出れる場所あるのよね。さっさと帰りましょう。早く案内して!」

遥馬(はるま)「わ、分かったよ。」

遥馬(はるま)が裏口のドアを開けようとするがどんなに力を込めても開くことはなかった。

悠希(ゆうき)「窓からは出れないか?」

結衣(ゆい)「ここまでするなら出れないように窓も開かないんじゃないの?」

透子(とうこ)「私は帰るの。やってみなきゃ分からないでしょ。」

吹っ切れたのか、恐怖が振り切れたのか、透子(とうこ)は開く窓を探しに1人行ってしまった。

残された人たちはそれぞれどうするか話し合う。

その間にも透子(とうこ)が窓を開けようとしているのか、ガタガタと窓が揺れる音がしていた。

探しに行く意見と朝まで待つ意見が食い違い、話し合いが中々進まないでいると急にガシャンとガラスの割れる音が聞こえる。

放っておけず慌てて全員で音のした部屋を覗くとガラス片の上に座り込む透子(とうこ)の姿。

そして、ガラスで切ったのか、頬を押さえる手からは赤い雫が垂れていた。

そこにさっき現れた舌の長いやつが現れる。

???「逃げ出そうとするとは面白くない。」

透子(とうこ)「もう帰して!帰してよ!」

そう泣きながら訴える透子(とうこ)はそろそろ限界のようだ。

そこに震えながらも遥馬(はるま)が飛び出す。

遥馬(はるま)「見つけた。」

???「何?」

遥馬(はるま)「隠れんぼはもう始まっているんだろ?なら出てきて俺らに見つかったお前の負けだ。」

???「ふん、そうかもしれんがまだだ。隠れんぼってのは名前を呼んで初めて見つけたことになるんだ。」

遥馬(はるま)「ならお前の名前はなんだよ。」 

???「教えん。」

遥馬(はるま)「はあ?」

???「ここから出たければわしの名前を答えてみろ。」

遥馬(はるま)「見つけたら教えてくれるんじゃないのかよ。」

???「考えるといったんだ。わしの名前が言えないならお前らはここから出られない。」

真生(まお)天井舐(てんじょうな)め。」

???「あ?」

真生(まお)「天井の埃などを舐めてシミを作る妖怪。あなたは天井舐(てんじょうな)めで合ってる?」

天井舐(てんじょうな)め「知ってる奴がいたか。だがまだわしの他にもいる。まだ終わりじゃないさ。」

結衣(ゆい)「いい加減にして!透子(とうこ)ちゃんは怪我してるし、真生(まお)ちゃんだってさっきから調子が悪そうなの!あんたの勝手な遊びで皆んなを苦しめないで!」

天井舐(てんじょうな)め「そう言われてもな。」

???「その子の言う通りじゃ天井舐(てんじょうな)め。」

天井舐(てんじょうな)め「黒根(くろね)の旦那。」

子供たちの後ろにはいつの間にか黒根(くろね)と呼ばれる初老の男性とその後ろには1人の青年が立っていた。

黒根(くろね)「子供たちだけでこんな時間に遊ぶような奴らは少し怖い思いをした方が良いと見ておったが、これはちいとやり過ぎじゃ。」

結衣(ゆい)真生(まお)ちゃん大丈夫?」

真生(まお)はさっきよりも調子が悪そうで頭を抱えてしゃがみ込んでいる。

青年「父さん、先にこの子たちの手当てをしましょう。」

黒根(くろね)「そうじゃな。」

青年「妖ノ郷(あやかしのさと)が近いので真琴(まこと)に薬を持ってきてもらいましょう。天井舐(てんじょうな)め、その子に何したんですか?」

青年は真生(まお)を指差し聞くが天井舐(てんじょうな)めは首を横に振る。

天井舐(てんじょうな)め「あっちの子供は家鳴(やな)りに脅かすように頼んだが、そっちの子供は知らん。」

家鳴(やな)り1「僕らのせいにするの?」

家鳴(やな)り2「命令したのはそっち。そっちが悪い。」

そう言いながら押し入れから角の生えた小人がゾロゾロと出てきてそれぞれ天井舐(てんじょうな)めに文句を言っている。

黒根(くろね)「団体責任じゃ。この子らも悪いがお主ら、明日は一日妖ノ郷(あやかしのさと)から出るの禁止じゃ。」

家鳴(やな)りたち「えー。」

その時天井の方からトントンと足音が近づいてくる。

青年「まだ天井舐(てんじょうな)めがいたんですか?」

その時、遥馬(はるま)の背中が押され遥馬(はるま)は前によろけて転びかける。

遥馬(はるま)「何するんだ!」

遥馬(はるま)を押したのは真生(まお)らしく、遥馬(はるま)が後ろを振り返るがその瞬間に真生(まお)の姿は消えてしまう。

青年「ちょっと、悪戯が過ぎますよ。」

天井舐(てんじょうな)め「わし以外にいるのは家鳴(やな)りだけだ。こんなことする奴なんて知らない。」

青年「なら、さっきのは?」

黒根(くろね)「しかも今のやつ隠里(かくれざと)に入ったようじゃぞ。」

青年「なら風見(かざみ)にも分かりませんか?」

黒根(くろね)「ああ、こうなるとあっちから出て来るのを待つしかない。」

結衣(ゆい)「ちょっと、真生(まお)ちゃんは?真生(まお)ちゃんはどうなったの?」

黒根(くろね)「一瞬の出来事で相手の正体も分からぬ今、その子をどうするかも分からん。」

結衣(ゆい)「つまり危険目に遭ってるかもしれないの?」

青年「心配なのは分かりますが隠里(かくれざと)、別空間に入ってしまった今、僕たちにも手出しできないんです。」

黒根(くろね)「子供たちだけでこんな時間に危険なことをしたんじゃ。因果応報じゃよ。」

結衣(ゆい)「それでも、真生(まお)ちゃんは私が誘ったの。私が悪いの。」

遥馬(はるま)「それにみんなを誘ったのは俺だし、真生(まお)が突き飛ばしてくれなかったら消えてたのは俺だ。何とかできないのか?」

その時青年が腰から下げている木の筒から鼬のような細長い獣が出てきて喋り始める。

???「樹霧之介(きりのすけ)。」

その獣は青年を樹霧之介(きりのすけ)と呼んでいる。

樹霧之介(きりのすけ)「12号どうしたんですか?」

名前なのか樹霧之介(きりのすけ)はその獣を12号と呼ぶ。

12号「今の女の子探すの?僕分かるよ。」

樹霧之介(きりのすけ)「え?、、何故ですか?12号が分かるのは志乃(しの)さんだけじゃ、、」

12号「分かんない。」

結衣(ゆい)真生(まお)ちゃんの場所が分かるの?お願い真生(まお)ちゃんを助けて。」

12号「隠里(かくれざと)にいるなら1号のおっちゃん連れて来るね。」

そう言ってその獣はまた筒に入り、今度は2匹で出て来ると1匹が天井を飛んで一部を示し、もう1匹がそこを注視すると穴のようなものが現れ、そこから何かが落ちてきた。

それは真生(まお)樹霧之介(きりのすけ)が受け止めると息を吸い込み、咳をしていた。

そして首には手の跡がくっきりと残っている。

???「どいつもこいつも邪魔をするな!!」

そう聞こえた直後に穴から醜い老婆の妖怪が樹霧之介(きりのすけ)に向かって来たので咄嗟に木の玉を伸ばして棒にし、それを払い除けると部屋の隅へと倒れ込んだ。

樹霧之介(きりのすけ)真生(まお)黒根(くろね)に託してその老婆の妖怪と向きなおる。

真生(まお)は首を絞められたことでパニックになり、息が苦しそうだ。

黒根(くろね)「落ち着け、落ち着いて息を吸うんじゃ。」

黒根(くろね)に優しく声をかけられ、真生(まお)は少しずつ落ち着きを取り戻していった。

結衣(ゆい)真生(まお)ちゃん、大丈夫?」

真生(まお)「うん。」

駆け寄る結衣(ゆい)真生(まお)は弱々しく返事をするが、その首に残る手の跡を見て結衣(ゆい)は罪悪感に襲われる。

黒根(くろね)「お主天井下(てんじょうさ)がりじゃろ。こんな事する奴ではないはずじゃ。いったい何があった。」

天井下(てんじょうさ)がり「憎い、憎いの。散々こき使った挙句、自分のミスを押し付けて私を首に追いやったあのクソ上司が!」

家鳴(やな)り3「隣の家で天井から下がってた人間も同じこと言ってた。」

黒根(くろね)「そうか、お主元々隣に住んでおったな。そして自殺した女性の思いを吸収してしまったのか。」

樹霧之介(きりのすけ)「ですが関係の無い人に危害を加えるのは違います。」

黒根(くろね)「そうじゃな、やってくれ。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

天井下(てんじょうさ)がり「関係ない?確かにあの女の子は邪魔したからムカついて手を出したけど、そっちの子供はあいつの面影があるのよ。」

天井下(てんじょうさ)がりは遥馬(はるま)を憎そうに睨みつける。

遥馬(はるま)「俺は知らない。そんなの知らない。」

樹霧之介(きりのすけ)「この子が直接やった事でもないですし、その上司との繋がりがあるとは限りません。それはただの逆恨みです。」

樹霧之介(きりのすけ)はそう言うと天井下(てんじょうさ)がりの後ろにある柱から尖った枝を生やし、天井下(てんじょうさ)がりの胸を突き刺すと天井下(てんじょうさ)がりは白い煙となって消えた。

結衣(ゆい)真生(まお)ちゃん、痛くない?ごめんね、私が無理に誘ったから。」

真生(まお)「大丈夫、結衣(ゆい)ちゃんは悪くない。」

透子(とうこ)「誰か私も心配してよ!」

黒根(くろね)「怪我人もいるから真琴(まこと)に連絡せんとな。」

12号「それならさっき戻った時に言ったからもう来ると思う。」

その言葉通り玄関の方から声がする。

真琴(まこと)風見(かざみ)、この家なのよね?」

風見(かざみ)「おう、樹霧之介(きりのすけ)の妖気、ここからするぞ。」

真琴(まこと)「ああ、いたいた。もう、12号。呼ぶなら場所も言ってから行ってよ。今回は風見(かざみ)が暇してたからいいけど。」

12号「ごめん。」

真琴(まこと)「まあ、先にこの子達の怪我をみましょう。怪我人は何人?」

黒根(くろね)「2人じゃ。こっちの子供、天井下(てんじょうさ)がりに首を絞められておった。先に見てやってくれ。」

透子(とうこ)「私は!?先に怪我したんだよ。」

真琴(まこと)「重症者の方が先。傷薬渡すから樹霧之介(きりのすけ)が診て。」

樹霧之介(きりのすけ)「分かりました。」

まだガラス片の上にいた透子(とうこ)樹霧之介(きりのすけ)は持ち上げると安全な場所に下ろして悠希(ゆうき)が懐中電灯で照らし傷の手当てをする。

透子(とうこ)の傷はそこまで深くはなく、皮膚の浅い部分を切って血が多く出ていただけだったので、真琴(まこと)が持って来ていた水と手拭いで血を拭って薬をつけるだけで済んだ。

頬の他にもガラス片の上に座り込んでいたので他にも傷は付いていたがどれも浅く、順調に治療を進めていく。

樹霧之介(きりのすけ)「他に痛いところはないですか?」

透子(とうこ)「うん、ありがとう、、ございます、、」

樹霧之介(きりのすけ)「僕は真琴(まこと)の方を手伝ってきます。」

透子(とうこ)「はい。」

悠希(ゆうき)「俺も行こうか?」

樹霧之介(きりのすけ)「いえ、君たちはここにいてください。あの子の治療が終わったら家へ送りましょう。」

悠希(ゆうき)「はい。」

そう言って樹霧之介(きりのすけ)真琴(まこと)の方へ行く。

樹霧之介(きりのすけ)「手伝う事ありますか?」

真琴(まこと)「ありがとう大丈夫よ。4号と診てみたけど呼吸は安定してるし、危険そうな内出血も腫れも見られない。」

樹霧之介(きりのすけ)「手の跡あんなに酷いのにですか?」

真琴(まこと)「そうなの。跡はしばらく残るとは思うけど、致命的な怪我はないわ。」

黒根(くろね)「この子供、霊力があるからな。無意識に自身を守ったのかもしれん。」

樹霧之介(きりのすけ)「そうですか。」

樹霧之介(きりのすけ)は少し考えて真生(まお)の方を見てみると首に包帯を巻いた真生(まお)もそれに気づいて樹霧之介(きりのすけ)の方を見て笑う。

真生(まお)「お兄ちゃん。怖い人倒してくれてありがとう。」

樹霧之介(きりのすけ)「これが僕の仕事ですし、12号が見つけてくれなかったら何もできませんでした。」

真生(まお)「12号ってこのフワフワな子?あなたもありがとうね。」

そう言って真生(まお)は治療の為に出て来ていた4号を撫でている。

樹霧之介(きりのすけ)「立てますか?家へ送り届けましょう。」

真生(まお)「うん。」

真生(まお)樹霧之介(きりのすけ)が差し出した手を握って立ち、廊下の方で待っている透子(とうこ)たちの方へと歩いて行った。

樹霧之介(きりのすけ)はそれを後ろから見て、腰につけた木でできた筒に声を掛ける。

樹霧之介(きりのすけ)「12号、今もあの子の気配分かりますか?」

12号「分かんない。」

樹霧之介(きりのすけ)「そうですか。」

それだけ聞くと子供たちを連れて家を出るとそれぞれの家へと送り届けて、樹霧之介(きりのすけ)たちも妖ノ郷(あやかしのさと)へと帰った。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

次も読んでくれたら嬉しいです。

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