第二十二話 神の杖
「ご明察。流石は、我が同胞だ。」
とある一人の、サン・ジェルマンのホログラムが、そう言った。
「……しかし、あの人工衛星兵器の計画は、大気圏外に運ぶ槍の重量と、ソレを撃ち降ろした時の、大気摩擦が問題になって、実現不可能と言われていたのでは?」
地上に一人残った彼が、そう疑問を投げかけた。
「ソレを解決して見せてこその、我々サン・ジェルマンズだろう?もちろん、ウアジェト女王の人工衛星、ブラックナイトから、技術供与は受けたがな。因みに、槍の材質は、オリハルコンだよ……そうそう、キミ、その黒いモヤモヤに、トドメを刺しておけよ。」
言われた彼は、慌てて剣の切っ先から炎を出し、ソレを燃やした。
「……ありがとう。助かったよ。」
「これから昭和の伯爵を、キミの元に向かわせる。彼と合流し、キズを癒し、体力を回復したまえ。我々は、他の衛星を起動し、全ての"神の杖"を使って、世界中の大物の悪魔を始末するよ。」
「科学のチカラで、悪魔を駆逐するんだね。流石は、私の集団だ。大したマッドサイエンティストたちだ。」
地上のサン・ジェルマンは、半ば呆れ、半ば誇らし気に笑った。
これで、起死回生の大逆転が決まったのだ。
やはり、最後に頼りになるのは、自分自身か。
そう思い、ホッとしかけた時だった。
彼は、自分の身の回りの物陰に、禍々しい気配を再び感じたのだ。
今回のは、先程のバケモノ程、大きくはない。ただし、数が多かった。手負いの自分一人で相手をするのは、些か厄介そうに感じた。さて、どうするか。
彼が、迷う間にも、一匹、また一匹と、小さな悪魔の気配は増えて行く。そして遂に、ニンゲンサイズのカマキリのバケモノが、姿を現した。
「ガキン!」
そいつの振り下ろしたカマと、彼の剣が、鈍い音と共に、火花を散らす。一匹と一人の、鍔迫り合いが始まった。その間にも、周りからどんどん異形の悪魔たちが集まって来る。
彼の命は、再び、風前の灯火となった。だがそこへ、黒いワーゲンビートルが颯爽と出現し、中から、やはり剣を握り締めた、昭和の伯爵が現れたのだ。
彼は、地上に居た彼の同胞の、背中合わせに立ち、「こちらは任せろ!」と言った。次の瞬間、悪魔たちと、二人のサン・ジェルマンたちとの、攻防戦が始まったのだった。
とは言え、やはり、多勢に無勢。初めこそ、善戦していたものの、次第に、サン・ジェルマンたちの旗色が、悪くなって来た。
そんな時、更にその現場に、何処からとも無く、新勢力が出現したのである……ソレは、かの有名な、アダムスキー型の円盤だった。




