第十六話 真相の確認
「……ソラユキさん、帰りましょう。」
思いついたように、ジャンヌが言った。
「もう、よろしいのですか?」
「ええ、ちょっと確かめたい事が、出来てしまったから……。」
「了解しました。それでは帰還シークエンスに入ります。」
黄色いビートルは、一路、名護屋テレビ塔の地下駐車場を目指した。
しばらくして、無事に帰って来たジャンヌとソラユキは、エレベーターを使って、亜空間レストランまで上がって来た。
すると、ちょうどそこでは、サン・ジェルマン伯爵と村田京子が、仲良く並んでコーヒーを飲んでいるところだった。
「お寛ぎのところ、申し訳ありません。私たちも、ご一緒していいですか?」
ジャンヌがそう申し出ると、二人は快く同席を許してくれた。
お言葉に甘えて、4人掛けの丸テーブルに、ソラユキとともに着席すると、自分たちはレモンティーを頼んで、しばらくソレを飲んでいた。
すると伯爵が、「訪問した先で、何か見つけたのでしょう?」と言った。
ジャンヌはドキリとした。しかし、できるだけ落ち着いた声で話し出した。
「……そうなんです。それで、伯爵にお尋ねしたい件が有りまして……。」
「いいとも。なんなりと訊いてくれたまえ。」
「実は、伯爵の黒いビートルが、敗走する石田三成様を、一瞬、捕まえたように見えたのですが……すぐに開放されたようにも思えました。アレは一体、どういう意図での、行動だったのでしょうか?」
「……ああ、アレかい?アレはまさしく、私による、石田三成殿のレスキューの場面だったのだよ。」
「えっ、でも……?」
「詳しく説明すると、いささか手の込んだ事をしたのだけれどね……。」
「はあ?」
「まずボクが、彼を、ビートルのアームで捕まえて、車内に連れ込んだ。」
と伯爵が言う。
「……はい。」
「次にアタシが、彼に催眠スプレーをかけたの。もちろん、伯爵とアタシはマスクをつけてね。」
と京子がつけ加えた。
「そしてボクが、彼本人とそっくりな、生体アンドロイドに、彼の甲冑を着せて、アームで馬上に降ろしたんだよ。つまりアレは替え玉って事なんだ。」
「そしてアタシが、その後、リモコン操作で、替え玉の行動を管理したの。」
「ああ、なるほど……って、ええ!?まさか、そんな大変な事を……。」
「何を今さら、驚くことが有るんだい?キミだって、似たような方法で、雪子君に救われただろう?」
と、伯爵は言ったが……。




