第十ニ話 彼女のこれから
「何だか、勿体ないわねえ……。」
ジャンヌをじっと見つめながら、そんな事を呟くカグヤ。
「……まさか死ぬまで、ずっと"処女"って事になるの?」
「そうですね。カトリック教徒なら、ソレが普通です。」
「そうよねぇ。アナタ、あっちの世界では、教会が正式に認定した"聖人"だもねえ。」
「誰か、熱烈なファンが、付き合いたいって、言って来たら、どうするんですか?」
成雪が、大人ならしないような、素朴な疑問をぶつける。彼の心は、未だに少年なのだ。
「……そうですね。精神的な交流だけなら。」
「ああ、ソレは……罪な生殺しですわ。」
カグヤが、変な言葉遣いでそう言った。
「目の前に、こんな美しいモノが居るのに、指一本すら、触れられないなんてね。」
「イエス様より、上位に感じる存在が現れれば、別ですけれど……例えば、雪村様とか。」
ジャンヌはそう言うと、頬を赤らめた。
「ええっ!?」と成雪。
「ねえ、ちょっと。ソレは初耳なんだけど……って言うか、いつから?」とカグヤ。
「初めてお会いした時から……あの方の内側には、神の気配が有るのです。」
「ああ、そういう……。」納得するカグヤ。
「ちぇっ、何だか悔しいなあ。見た目はボクとほぼ同じなのになあ。」
ちょっと悔しそうな成雪。彼は雪村のクローンだから当たり前だ。
「アナタは彼の物理的なコピーであって、中身は違うのよ。でも、アナタは私のだから、イイの!」とカグヤ。
「は〜い。」と成雪。
「それにしても、雪村さんばかりモテるわねぇ……そうそう、アナタそれ、他所で言わない方がイイわよ。」
ジャンヌにクギを刺すカグヤ。
「もちろんです。雪村様は、弓子様のモノですから。」
「京子さんも、黙ってないからね!」とカグヤ。
「アハハ……。」と成雪。




