第十一話 カグヤとジャンヌ
名護屋テレビ塔の地下に有る、亜空間闘技場では、今日も対戦形式で、カグヤとジャンヌが剣の修練を積んでいた。
壁際のベンチには、ソレを眺める成雪が居た。
成雪は、実践より見学から学ぶタイプなのである。
二人の美しい女性同士の剣技の応酬は、ソレだけでも絵になるのだが、何しろ激しい打ち込み合いだ。決して優雅な剣の舞いなどでは無く、鬼気迫る迫力が有る。
見ていると、二人の闘い方の違いは明らかだ。カグヤは、圧倒的なパワーで押すタイプ。対してジャンヌは、相手の殺気を瞬時に読み取り、攻撃を避けたり、いなしたりするタイプだ。
まるで"水と油"、"陰と陽"、"冷静な月と情熱的な太陽"のような、対照的な組み合わせだ。
そもそも剣の達人とは言え、ジャンヌ・ダルクは、ただ神のお告げが聞こえるだけの、我々と同じ、普通のニンゲンなのだ。
そこへ行くと、カグヤ・イシュタルは、文字通り別次元の存在だ。何故なら彼女は、戦闘民族なのである。鳥山明センセイのマンガに例えるなら、"サイヤ人"のようなモノなのだ。
(まあ、逆に言えば、よくカグヤの剣を受けて、ジャンヌは無事で居られるなあ。)などと、ボンヤリ考える成雪であった。
ちょうどその時、「キン!」という乾いた音と共に、ジャンヌに跳ね返された、カグヤのオリハルコンの剣が、クルクルと縦回転しながら、成雪の方に飛んで来たのである。
成雪は慌てず、最小限の動きでソレを避け、しかも柄をしっかりと握って、その剣をキャッチした。彼のチカラのポテンシャルは、最盛期の雪村と同等だから、この程度の事は、どうって事は無いのである。
「成雪、ゴメン。大丈夫?」
カグヤが心配して、すぐに駆け寄る。
「今日は、ここまでにしましょうか。」
向こうでジャンヌが言って来た。
「そうね。弾かれたくらいで、剣を手から離しちゃうなんて……ちょっと疲れちゃったのかも。」
カグヤも同意した。
二人はベンチにやって来て、成雪を挟んで座ると、タオルで汗を拭きながら、水分を摂った。
「強くて美しい女性に挟まれて、ボクは幸せです。」
雪村がそんな事を言う。
「こういうのを、"両手に花"って言うのよ。でも浮気は駄目よ、成雪。」 とクギを刺すカグヤ。
「大丈夫ですよ。私はイエス様だけに、この身を捧げて居ますから。」とジャンヌ。




