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残念世界の残念勇者   作者: XT
81/96

ループワールド・勇者ケイン編 81

作戦は、レナ、セレス、パルスの3人での突入。

聖なる物と化した3人は、かき消された女神の反応と同じように、気配が読まれずらい。

リリス達に悟られることなく接近できるはずだ。


「リモコン部隊!突撃だぞ」

レナ達の動きは、それぞれの目を通してモニターできていた。

俺は突入に備えパルム、ハウルと待機。

俺の持つ天空の鍵なら、ティナとシータの張った移動疎外の防壁も突破可能だ。

エクセレントも同様に、ヴィーナス、ティナと待機していた。


レナ達は、凍り付いた王宮の庭からダンジョン内に入る。

「視界良好だぞ」

「こっちも大丈夫だね~」

「良く見える」

アリスがレナ、マオがセレス、ターナがパルスをコントロールする。

ゆっくりと静かにダンジョンを下りていく。


そして最下層。パルスの目を通して、リリス達を発見した。

「あいつら王宮から、色々盗んで持ち込んでいるぞ」

冷蔵庫からTV、ゲーム、ベットや家具まである。最下層の空間は、結構豪華な部屋に成っていた。


「よし、レナとセレスに背後から取り押さえさせろ」

レナ達はリモコンだが、スペックはそのままだ。

レナの疾風や、セレスの神速は使える。

「待つぞ」

アリスからストップがかかる。


「よく見るぞ。ギルバの使っているパソコンだぞ」

奴らパソコン迄、王宮から盗み出していたのか?

「画面の方だぞ」

ギルバの使っているパソコンの画面がズームされた。

ゲーム中のようだが、アリスが言うのはチャットの方だ。


 「神女神さん、それはお困りですね」

 「ええ、何とか脱出したいのですが、天界の部隊に囲まれて、困っています」

 「私のギルドメンバーが協力しましょう。脱出オフ会をやりましょう」

 「本当ですか?悪魔さんに会えるの、嬉しいです^-^」

 

ギルバの奴、ゲームチャットで援軍募集していやがる。

「突入だぞ!話が纏まる前に確保だぞ。脱出オフ会を阻止するぞ」

アリスの号令で、レナとセレスが動く。

レナは疾風でリリスの後ろへ、セレスはギルバの後ろの回り込む。


「!?なに!」

背後を取られたリリスとギルバ。

「ゲート!」

ギルバはゲートを使うが、移動疎外が働きゲートは開かない。

「く!ならば神の加護だ!」

リモコンだと反応が遅くなる。背後から確保の予定だったが、向き直られリリスはレナと対峙した。


「勝ったなだぞ」

ああ。俺たちの勝ちだ。


レナと対峙したリリスは、頬を地面につけうつ伏せになり、平伏した。

聖なる物、ヴィーナスの威厳が乗り移ったレナ達の前では、何人たりと拝まずにはいられない。その影響を受けないのは、3人を改造したマリーだけだ。

「く、くそ!なんで、この私がポンコツに・・・」

気持ちでは抵抗していても、体は正直だ。


ギルバの確保は、セレスが後ろからは羽交い絞めにして、取り押さえた。

羽交い絞めにされながらも、正面に立ったパルスに、手を合わせ拝みまくっていた。


俺達もゲートで現場に行く。

「この愚か者たちが!」

エクセレントの活が飛ぶ。リリスはパルムに抑えられ、ギルバはハウルが抑え込む。


「色々やらかしてくれたぞ。きっちり罪を償うぞ」

抑えられ膝間づく二人を、見下ろすようにアリスが言う。

「はい。天界は死刑制度がありません。あり得ない位の永さの懲役刑と、重労働が待っています」

ティナに見下ろされ、悔しそうな顔のリリス。観念しているギルバ。


エクセレントが、リリスのポケットから鍵を取り、ドワーフへ渡す。

「間違いなわ。これよ!これ!」

神殿の鍵だ。奪取した。これでアイリスは助かる。

「ケインさん、母の神聖なる力のおかげで、二人を確保できました」

エクセレントはドヤ顔だ。

「はい。母も少しは役に立ちます」

ティナもアピール。よほどアリスの『嫁がせないぞ』が効いたようだ。


「ドワーフ、これを神殿に戻してくれ。俺はアイリスの様子を見に行く」

こいつらは、ヴィーナス達に任せよう。

「分かったわ」

ドワーフは神殿へと向かう。

「私たちもママの所へ行くぞ。ターナ、後は任せたぞ」

アリスはターナに、なにかを頼んだようだ。



「アイリス!」

凍り付いた部屋で、眠るように横たわるアイリス。

「ママ!」

アリスが声を掛けるが、返事はない。

「ママ!起きるぞ!目を開けるぞ!」

顔色は、生きた人の物ではない。アリスが体を揺さぶりながら、大きな声を出す。

まさか?


「うぉ!」

股間が掴まれた。

「婿殿~~~~お腹がすきましたわ~婿殿の此処から栄養補給ですわ」

布団から延びた手が、俺の股間を鷲掴みしていた。

「ママ!!!」

やつれてはいたが、確かにアイリスだ。この行動は、元気な時のアイリスの行動だ。


氷が解けていく。

魔法で作られた氷は、解けても水にはならない。空気中に霧のように消えて行った。南の神殿の防犯システムが止まった証拠だ!


「おばぁちゃん!」

「義母様!」

アリッサとティナも来た。

俺達は、抱き合い喜びを伝え合った。



「母がリリス達を連行します」

ああ、俺たちは会いたくないから、後は任せよう。

「もう、あいつらの顔を見ることはないぞ」

だな。思えば、俺がこの世界に来てすぐに、どヘマをしてからの付き合いだった。最初は理解のある上司だと思っていたが、まさかの凶悪犯だったとは。

「はい。私も騙されていました」

ティナとしては複雑なところだ。信用し、慕っていた上司の裏切りだ。

「もう、上は信用できません。16評議会議長として、私が女神のトップに立ちます。自分なら信用できます」

エクセレントがトップじゃないのか?

「はい。私が部長をやります」

ティナのトップとは、部長が最上位の様だ。


「アリス、ごめん。どじった」

ターナとハウル、マオも来てくれたが、ターナがアリスに謝った。

「妻は悪くない。相手が金を要求してきたのだ。妻が金を出すことなどありえん」

ゲームチャットの相手か?

「恐らく聖杯と起源の水の情報が洩れてるぞ。誰に漏れたか、ギルバのふりして、チャットで調べるつもりだったぞ」

で、ターナがギルバの代わりにチャットしたんだな。


「『お金を出せ』って話になったらさ~口調がさ~変わったんで~警戒されたんだよね~」

これはアリスの人選ミスだな。

「まぁ、仕方ないぞ。天界で取り調べさせるぞ。ティナ、済まないけどエクセレントに、最優先で調べるように言ってほしいぞ」

「はい、わかりました。シータと行ってきます」

話をしている間も、アイリスは俺の股間をモミモミしていた。


「元気になりましたわ!」

「ママ復活だぞ!」

「おばぁちゃん!良かった!一応、各国の知り合いには連絡しておいたよ。口座には、お香典がたくさん集まってるよ」

快気祝いで、貰っておこう。


「よし、ママの復活祝いに祭りをやるぞ。今日は記念日にするぞ」

世界の時間がまき戻る、ループワールドの危機は去った。

今度こそ平和な世界だ。



2か月後。

ドワーフ、ポセイドン、ピーは、今まで通りの付き合いとなる。

ピーはマオの側にいることを選び、ポセイドンはトーレフの島を載せて海を彷徨う。

ドワーフはアズサとアニメ談議の日々。


復活したアイリスは、女王として、俺のチームのメンバーとして活躍する事を選ぶ。


マオと手を組んだノスは、事業拡大に大忙しだ。

懲りずに新しい美人秘書を雇うあたり、まるで懲りていないかった。


パルムとセシルは、王宮に住みながら、エクセレントからの指示で、勇者としての活動を再開した。アリッサをパルムのチームに入れ、修行させている。


ターナはアトランで女神をやっていた。

レナ達は、魔界で土の中だ。魔界の邪悪な土の中に埋めることで、中和させる作戦だ。閻魔に頼んで、適当な所に埋めてもらったが、もうすぐ帰ってくる予定だ。

俺達は平和な時を過ごしていた。



「ケイン、行くぞ。美味しいお弁当を持ったぞ」

「はい。今日はハイキングの日です。お天気も良好です」

平和な時に勇者は不要だ。俺は日々、遊んで暮らしていた。

やっと掴んだ平和な時間を堪能していた。


今日までは・・・・。

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