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残念世界の残念勇者   作者: XT
74/96

ループワールド・勇者ケイン編 74

王宮近くの海岸。パルム達は既に来ていた。

「待たせたな」

「いや、今来たところだ」

デートでの待ち合わせの時する会話。


「女神として、この戦いの見届け人をします」

ティナは参加しない。俺たちのチームには、シータが付いてくれる。

「良いのかね?君もケイン君のチームの、重要な戦力のはずだよ」

ティナはノスと並んで戦いを見る側だ。

「はい。私もパルム達には思うことが有ります。姉と袂を分けたパルムが、ケインさんのチームに入るには、少なからず蟠りもあります」

「なるほどな。分かるよ」

ノスは頷く。

「しかもその二人が私の義父、義母に成る方たちです。心境は極めて複雑です。あの二人の老後の面倒を看るのか?この戦いで見極めます」

「女神も大変だね」

ほのぼのとした会話が聞こえるが、俺たちは緊張していた。

この戦いにおいて、パルム達は手抜きなどしてはくれない。

今も俺の前で立つ二人は、勝ちますよオーラを出しまくっていた。


「さて、坊主。そろそろ始めるか?」

「ああ、こっちはいつでも良い」

奴らは強い。だが俺達にも勝機はある。最終局面でのアリスとアリッサが要だ。

「では、確認します。パルム達が負けたら、ノスフェラトゥのチームは、ケインさんのチームに吸収合併されます。良いですね」

ティナが確認する。

「ああ、それで構わないよ」

ノスは即答で返した。

「もし、万が一、ありえませんが、ケインさんが負けた時は・・・あれ?」

俺が負けた時の条件を、決めていなかった。


「私と赤ちゃんプレイよ!」

「俺と並んでおむつ交換をしてもらおう!」

ぜってーーー負けられなくなった。


「では、開始です!」

ティナの合図!行けマオ!先制攻撃は任せた!

「毒魔法~毒霧だよ~~~」

初手は強化前の魔法で攻撃だ。

「絶対防壁!周囲展開」

パルムたちの周りに防壁がドーム状に張られ、マオの毒を防ぐ。

「あら、アリスちゃんの絶対零度じゃないのね?」

初手はパルムに防壁を張らす。幾つか試しておくことが有るからだ。


「よし、作戦開始だ!行け!!!」

今度は進化した方の魔法だ。

「毒魔法~猛毒霧だよ~~」

レナ、セレスが左右に展開。ハウルが正面から突っ込んでいく。

後方に下がるナナとアズサ、ターナ、シータ。

俺の横にアリスとアリッサ、後ろにはアイリスの布陣だ。

「なに?パワーアップしているだと?」

「パルム、この毒!単体防壁では防ぎきれないわ!私に任せて!紫炎 火炎壁よ」

やはり、パワーアップしたマオの毒は、パルムの絶対防壁でも止められない。


セシルの防壁は炎の壁だ。あれがあると物理攻撃組が近寄れない。

「ディザスターブリザードですわ!」

「ブリザードだぞ!」

アリスとアイリスの氷攻撃で、火炎壁にアタック。

と、同時に地べたを凍らせた。

「馬鹿め!氷の魔法使いの俺が、氷の上に立てばパワーアップだ!」

おまえはな。

「ちょ、ちょ・・・ちょっと!!!」

後ろのセシルは立っていられない。

常にお前の近くに居るセシルは、地べたが凍ったことなどないだろう。

奴は、氷の上に慣れていないはずだ。


「おい!まさかお前?」

「ダメ、私、滑り系は一切ダメなのよ」

「氷の魔法使い妻が、氷の上で歩けもしないだと!?」

「五月蠅いわね!じゃ、あなたは炎の上を歩けるわけ?」

軽くもめだした。今だ!ハウル!レナ!セレス!

「ツンドラ魔法!氷河壁!」

正面から迫りくるハウルに対し、氷河壁を使う。

ハウルの目前に氷河が迫る。

「セシル、俺に捕まってマグマ龍を放て!」

左右から迫るレナとセレスに構わず、マグマ水蒸気爆発で、攻め込まれた体勢を立て直すつもりだ。

「分かったわ!マグマ水蒸気爆発で、体勢を立て直しましょう」

だが、それは一度見た。


「ハウル任せたぞ」

「前回の私だとは思うなよ。行くぞ!魔獣装備!アイアンビーストナックルパンチ!」

科学班は機械族のスペックアップは不可能と判断し、別の方法での強化を考え出した。

外付け装備だ。同時にハウルにも、ビースト装備をいくつか作ってくれた。

アイアンビーストナックル。ハウルの腕に装備することで、パンチ力、防御力が数段上がる、魔法を込めた科学アイテムだ。

氷河の中に、マグマ龍を突っ込ませることで起こる、マグマ水蒸気爆発は、氷河が氷の塊のままでないと意味がない。

「どうだ!氷河壁!破れたり!」

ハウルのパンチは、巨大な氷河を砕いた。


「くっ!やるな」

流石のパルムも苦笑いだ。

アリスとアイリスのブリザードで、弱った火炎壁を突破したレナとセレスが、セシルに斬りかかる。狙いはセシル。

後方からナナの重火器が火を噴く。

モビルアーマーに身を包んだナナは、多数の重火器が装備された。ミサイル群が二人に向かう。

「絶対防壁 氷鎧!」

初めて会ったハウルが、ナナ相手に見せた、体を氷で包むことで防御する技。今回は全身に氷の鎧が纏わり付く。セシルも、同様の氷鎧を纏った。


セシルに斬りかかるレナとセレス。氷鎧に阻まれ、有効打にはならないが、拙い足取りのセシルは、攻撃をもろに食らいつつ、背中合わせのハウルから、次第に距離は開いてくる。


「セシル離れるな!」

パルムが叫ぶが、パルムの相手はハウルだ。パルムも簡単には捌けない。

「ダメよパルム!こいつら振りきれない」

2人の間にスペースが出来る。

そこにナナのミサイルが着弾した。

セシル、パルムと一緒に、レナとセレス、ハウルも吹っ飛ぶ。

が、これで分断は出来た。

「見習い神の加護。回復です!」

シータがレナ達を回復する。

セシルにはアリッサとアイリス、マオ、ターナ、レナとセレス。

パルムにはアリスと俺、ハウルが付く。

勝負ありだ!


「まさか分断されるとはな」

「不味いわね。数に押された戦いは苦手だわ」

どうだ?負けを認めるか?

「今なら優しく向かい入れるぞ」

奴らの強さは、パルムの防御と、セシルの攻撃がかみ合う事だ。

常に二人は近くに居る。パルムの防御の届く範囲で、セシルが攻撃をするためだ。

分断すれば、脅威ではない。


「フフフフ。坊主、これで勝ったつもりか?」

「そうよ、あなた達は、私たちがチームだと言う事を忘れたようね」

だよな・・これで勝てたら楽だったんだがな。

「タイムだ!」

なに?

「はい。パルムチームからタイムの要請です。タイムを認めます」

マジか?

「タイムなら仕方ないぞ。ケイン、ここは水分補給だぞ」

アリなんだな?

「彼らにタイムを使わせるとは、やはりケイン君たちは凄いね」

「はい。ここ迄一方的に押すとは、私も予想していませんでした」

なんか損した気分だ。


「相撲の水入れみたいなものだぞ。攻撃中はダメだぞ。双方の攻撃が止まって、なんかを言い合うタイミングなら、1回タイムが取れるぞ。再開は同じポジションからに成るから、そんなに損ではないぞ」

ルールなら仕方ないが、同じポジションなら、なんでタイムを取ったんだ?



「ちょっと!なんで私が・・・」

ゲートから出てきたパルムが連れて来たのは、エクセレントだ。

「これで3人ね。私たちのチームは3人なのよ」

「こいつが居れば、俺も撃って出れるからな」

大女神を引っ張ってきやがった。

「ダメだぞ。それは反則だぞ。元メンだぞ」

当然、抗議はする。

「それについては、私から説明しよう。彼らは勇者チームを解散したわけではないんだよ」

ノスが出てきて説明を始める。

「一時休止、だったよね。公式には」

一時休止だと?

「ああ、俺たちは、勇者活動を休止した。世間が勝手に解散と勘違いしていただけだ」

「そうなのよ坊や。でも傭兵であることには変わらないわ」

そんな気もしていたんだ。ティナを助けるために、ノスに頼んだ時も、パルムとエクセレントとの連携が早かった。

「と、いう事なので、一応私がここに居るのは、ルール違反にはならないのです」

エクセレントが済まなそうに言う。

「審判のティナの判断だ。ティナに任せた」

俺達が決める事ではない。ティナに任せよう。


「ククク・・ケインの予想通りの流れだぞ」

笑うなバレる。

あいつらが何を考えたかは知らないが、エクセレントを入れることで、奴らは弱体化する。

パルムとセシルが攻撃に回り、エクセレントが防御担当のなるのは、簡単に予想できる。

だが、エクセレントが戦い慣れしていないはずだ。

お前たちは、お荷物を抱えながら戦う事に成る。分断させるのが楽になる。

ザイク>実は高戦力のノス>魔族だった秘書レイラ>エクセレントの順に警戒していたが、最弱ならOKだ。


「面白くないから、姉の参加は認めません!」

なんだと?

「おい、何を言い出すぞ?」

「はい。私にも隠していました。ティナはぷんぷんです」

「審判が私情を挟んで来たぞ」

頬っぺた膨らませて可愛いな。

「異議を申し出よう。ルール上の問題はないはずだね」

「ルール以前の問題です。ルールは今の戦いの物ですが、姉が私に言わなかったのは800年前からです」

無茶苦茶だ。


「いいぞ、認めるぞ。私たちが認めればOKだぞ」

アリスが決めた。

「アリスさん!」

ティナ、まぁいいから。エクセレントが出てくるのは織り込み済みだ。

それに、その方が戦いやすくなる。

「ケインさん・・・なに言っているんですか?姉は戦い大好き女神です。とんでもない戦力です」

なに?

だが、パルムは自分が撃って出れると言っていたぞ。エクセレントが守りだろ。

「姉は守りながら戦えます。パルムたち以上の力の持ち主です」

聞いてない。

「いいぞ、エクセレントごと凍らせるぞ。ケインの策なら、問題ないぞ」

「・・・分かりました。私も参加します。守りは姉には及びませんが任せてください」

ティナも参加に成った。

俺達はもう一度作戦の確認をすると、元居た位置に戻る。


お互いが位置確認をして納得する。

エクセレントは、セシルの後方からスタートだ。

仕切り直しで戦い再開!



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