表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残念世界の残念勇者   作者: XT
56/96

ループワールド・勇者ケイン編 56

「マオを呼ぶぞ!」

予算が無い俺たちに、美の追求は無理だ。まずは金だ。

「はいよ~~~~」

呼んでいたのか。

「マオ、と言う訳だぞ。頼んだぞ」

と、言う訳って、まだ何も説明してないだろ。

「はいよ~確か~金に糸目はつけるな~だったよね~」

台本通りの流れだが、いまいち演出が甘い。


「ふむふむ~まずは美容院からかな~マオ美容院を~王宮内に開業するよね~」

「な!なんですって!マオ美容院って言えば、予約が取れずに15年待ちの美容院。幻の美容院だわ」

アルテミス、15年は盛りすぎだ。

「カエルでもお姫様にしてくれる、超テク理容師がいるぞ」

王子様か?キスでもするのか?

「でも、お値段が超高いですわ。1回の料金は、数千万ですわ」

「でもカエルがお姫様に成れるんだよ。それだけの価値があるよ」

上手いな、お前ら。

「どうかな~このお値段で~」

お~い、誰か来てくれ~シータが白目をむいて倒れた。


「こ、こんな額・・・」

「負けても良いのかだぞ?嫌ならやめて、ターナに女神をやってもらうぞ」

アリス、怖ぇぇぇ。

「・・・お願いします。貯金はあります。お支払いできます。姉の留守中に、姉の神殿を奪われるわけにはいきません」

「良しだぞ!良い覚悟だぞ。戦うには覚悟がいるぞ。丁度ここに、マオ美容院の割引クーポンがあるぞ。99.99999%OFFだぞ。これを使えば30円でやってもらえるぞ。ラッキーだぞ」

おい。


「お後は~エステだよね~マオ商会専属エステシャンを、王宮に呼ぶからね~」

「な!なんですって!マオエステシャンって言えば、予約が20年待ちの・・以下同文」

「エステして貰えれば、ミイラでも、クレオパトラ級になれるぞ」

「でもお値段が、数千万ですわ」

「ミイラがクレオパトラだよ!安いもんだよ」

「どうかな~このお値段で~」

「シータ、もう後には引けないぞ。美容院で巨額をつぎ込んでいるぞ」

「はい。行きます。エステ代、お支払いします」

「おや~ラッキ~だよね~お客様は10億人目の~お客様で~記念割引受けられるから~利用料が20円だよね~」

そう来たか。



「・・・これが私・・」

アリスから借りたドレスを着たシータは、鏡の前で美しくなった自分と対面した。

「素材がいいぞ。少し磨いただけだぞ」

「これで、姉の神殿は守れるでしょうか?」

「これだけ綺麗になれば、勝てるぞ。ターナなんか楽勝だぞ」

シータの初笑顔だ。


「お~ほほほ。まるで甘い」

ターナのセリフは棒読みだが、普段からなので違和感が無い。

「これを着た私に勝てるかな?」

なんだと!後光が!まるで大女神クラスだ。

「ターナ!それは、まさかだぞ。幻の、おツルちゃんの織った反物から作ったドレスだぞ?」

幻の後が長い。長い上に説明に成ってない。

「鶴の恩返しですわ。おツルちゃんが自らの羽で織ったという、幻のアイテムですわ」

なるほど、少しわかった。

「羽毛で作ったドレスだね!珍しい奴だよ」

この際、出どころとかは必要ないから、アリッサのセリフで十分だ。


「軽い。そして暖かい」

ターナはくるりと回転して見せた。

「不味いぞ、あんなレアアイテム使われたら、シータが負けちゃうぞ」

「アリスさん、私・・・」

「神殿は私の物。さらば」

ターナとハウルは戻っていく。

おーーいハウル。後光用の投光器!まぶしいから持って帰れよ。


「こうなったら金の力で戦力を買うぞ。覚悟は良いかだぞ?」

まるでネットゲームだ。

「お金の力・・・」

「躊躇するなだぞ。ティナの神殿を守るためだぞ」

「あ!はい。ご指導お願いします」

勝ったな。

「ああだぞ」


「マオ!マオは居るかだぞ!」

「はいよ~お呼びとあらば即参上だよね~」

「マオブランドのドレスが欲しいぞ。宝石類もだぞ」

「マオブランドのドレス、宝石ですって!色んな特殊効果が織り込まれた、超高級ブランドよ。大陸が買えちゃうほど高価なのよ」

アルテミスの言葉通り、マオブランドの宝石、衣類は、格別に高価だ。


「マオブランド店を~オープンさせるよね~」

「よし、シータ、これで勝てるぞ。マオブランドなら、ツルブランドに負けないぞ」

「あ、はい」

「王宮の1階に~オープンさせたよ~」

はや。

「当然だぞ、2日前には改装が済んでいるぞ」

くどいようだが、これはアリスのシナリオだ。すべて用意された出来レースだ。



「ううう‥流石にマオブランドは凄いですわ。見てるだけでレベルが上がりますわ」

店内は光に包まれていた。輝く商品を見ているだけでレベルが上がる。

「ケインは外に出てるぞ!マイナスレベルが、さらに低くなるぞ」

俺のレベルはマイナス360だ。今、マイナス380になった。外で待ってる。


「さぁ、とくとご覧あれだよね~当ブランド自信の一品は~こちらだよ~」

  『美しさ3000%UP 清楚感5000%UP 好感度7000%UP 女神ランク+15(期間限定)効果付き、女神専用フリーサイズ、勝負ドレス』


「これ、私が欲しいわ。女神ランク+15よ。私も大女神に成れるわよ」

「マオの勧めだぞ。これを着てみるぞ」

「はい。試着します」

外に出ている俺は、中から聞こえる声しか聞こえない。


「着てみました…どうでしょうか?」

「うぉぉぉだぞ。眩しくて直視できないぞ」

「ですわ!まるでエクセレント様ですわ」

「太陽観測用メガネが無いと、見えないよ」

「いい感じだよね~サイズもぴったりだよ~」

「よし、これにするぞ。マオ、幾らだぞ?」

「ほい~毎度だよね~お値段はこちらだよ~」

30000000000000000円

「丸が多すぎて読めないぞ」

「こ、こんなお金・・わたし・・」

「マオ、この裏地の此処、少し解れてるぞ」

「あら、本当ですわ。裏側とは言え、これはブランドの価値が下がりますわ」

「そうだよ!安くして」

「あらららだよね~10円でいいよ~」

「買った!私が買ったわ!これは私のモノよ!」

「アルテミス、何マジになってるぞ。目が血走ってるぞ」


「後は宝石だぞ。宝石を付けることで、戦力大幅アップだぞ」

「ほいほい~宝石は向こうだよ~ワゴンに載ってるのは、お買い得だよ~」

「効果の付いた宝石を選ぶぞ。これなんかいいぞ」

  『信頼感1500%UP 女神専用指輪』

「これも良いですわ。魅力的ですわ」

  『優越感2000%UP ナルシスト用腕輪』

「私、これがいいと思うよ」

  『存在感5000%UP 影の薄い人用ネックレス」

  

「私、信頼感UPにします。少しでも頼られる女神に成りたい・・」

「まいどぉ~50000000000円だよね~」

「また、丸が一杯だぞ。マオ、少し安くするぞ」

「ん~~~~~じゃ5円でいいよ~」

「パパが居ないと突っ込む人がいないから、困るよ」

「ですわ・・・」



お?出て来たか。箱を持ってるから、買い物はできたようだな。

「どうだ?良いのは買えたか?」

「ばっちりだぞ。これでターナに勝てるぞ」


俺達は夜を迎える。

「シータ、少し作戦を考えるぞ。電気使うぞ」

「あ、はい。冷房もどうぞ。お夜食が必要ですね」

大分柔軟になったな。成功じゃね?

「まだだぞ。まだ普通のレベルだぞ。これから、怠惰の道を歩ませるぞ」

いや、これで良くね?

「くくくくく・・・甘いぞ。ケインに質素なものを食わせた恨みは、まだ晴らしていないぞ」

思い出した。これは反撃だった。


「シータ様、お買い物はいかがでした?」

「ハイ・・あの‥初めてこんな高価なものを買いました。母や姉から頂いたことはありましたが、自分で買うのは初めてでした」

来た時の、ぼさぼさ髪と不愛想さは、影もない。

基本良い子なんだ。

ぶっ飛んだ姉たちの居る環境が、反面教師になって、堅物になったようだな。

「買い物は楽しいぞ」

「でも浪費は・・」

「浪費ではないぞ。買い物をする時間は楽しく過ごせるぞ。それも価値の一部だぞ。それに買い物は物が残るぞ。今、役に立たなくても、安くて徳だと思ったときは、爆買いするぞ」

「ああ、確かに。買い物の時間も、価格の一部なんですね」

一理ある。アリスの凄い所は、めちゃくちゃな割に、理に適っているところだ。


「こんばんわだね~特別商品を持って来たよ~」

マオとピーが来た。

「ケイン、聞いたわよ。思いっきりサービスするからね」

ピーからのテレパシーが届いた。

「売れ残りだけどさ~格安でいかがかな~」

ワゴンに乗せられた多数の皿。皿の上には宝石やイヤリングなど、多数の装飾品が、1個ずつ乗せられていた。


「無地の皿は1皿100円だよね~絵皿は200円かな~金の皿は500円だね~」

回転ずしか?

「中々安いぞ。シータ欲しいのがあれば買うぞ」

「でも、さっき一杯買ったから、私は」

「マオさん!これ1人何枚って制限あるの?」

「ないよ~好きなだけいいよ~」

「私も良いですわね?買いますわ!こんなお得、逃がしませんわ」

「私も欲しいよ!買うよ!お小遣い放出だよ」

まぁ、この安さなら、好きなだけ買うと良い。

「ほらシータ、ケダモノが群がって来たぞ。早く買わないと無くなるぞ」

「でも・・・」

「宝石は消えてなくならないぞ。資産として残るぞ。持ってて損はないぞ」

「あ、そっか。資産として残りますね。買います!」

食いついた。いや、食いつかせたと言うべきだ。


ワゴンの皿は、あっという間に消え失せる。

アルテミスが鬼の形相で、皿を取りまくっていた。

まぁ、宝石とは言え、しょせんは石だ。砥石と大して変わらん。

俺から見れば、金の皿1枚500円でも高い気がする。

「ケイン、何考えてるの?金の皿、他で買えば500万よ」

なんだと!?あの小さな石が500万だと?

「男って駄目よね・・」

鳥さんに呆れられた。


「マオ、お変わりだぞ。お変わりはないかだぞ?」

「あるよ~何がいいかな?ここからは注文販売だよ~」

「私ダイヤモンド!大粒で!」

アルテミス、目的を忘れるなよ。

「ヘイ~お待ちだよね~。ダイヤ大粒1皿~ちょい高いから下駄で出すよ~」

「板さん!私にも大粒ルビー2皿」

「はいよ~。今日は削りたてのサファイヤがお得だよ~」

「私もサファイヤ2色盛を1皿だぞ」

「マオさん、私には玄武岩1皿お願い」

回転寿司だ。

「さぁ、シータも頼むぞ。好きなのを頼んで大いに買うぞ」

「はい。では、ダイヤでお願いします。それと、ルビーとオパールも。全部大粒で」

出遅れていたシータの横にも、皿が積み重なる。

アリスの皿を見ると、同じものを注文したり、楽しそうに買い物をしていた。


これで浪費も覚えたはずだ。買うことの楽しさを覚えれば、金使いも荒くなっていく。

欲しいモノを我慢できなくなる。

今まで抑えて来た物欲が崩れれば、他も必然的に緩くなる。

これで立派な女神だ。

立派・・・だよな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ