表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残念世界の残念勇者   作者: XT
44/96

魔王編 ㊹

11月11日 AM8:00

「ケインの番だぞ」

「ああ、俺か?・・・いや、もう8時だ。そろそろ止めないか?」

結局、ウノをしていて、一睡もしなかった。

「8:00・・やばいぞ!肉ジャガ作るぞ。帰ってきて、ケインの大好きな肉ジャガで食事だぞ」

「あ・・パパ。朝?」

途中で寝落ちしたアリッサが起きた。

「おはようございますですわ。もう朝ですの?」

アイリスは、カードを手にしたままで寝落ちだった。

「みんな、目を覚ますぞ。9時には集合だぞ。顔洗うぞ。歯磨くぞ」

おお!急げ急げ。


11月11日 AM8:45 

「よし、準備完了だぞ。美味しく味がしみ込んだ頃に、食べられるぞ」

アリスは肉ジャガを作り終えた。

「いよいよだぞ。ケイン行くぞ。皆が待ってるぞ」

「ああ、俺も準備OKだ」

とはいっても、いつものスタイル。特に変わりはない。

「パパ!ママ!行くよ」

「忘れ物は無いですわ。ハンカチと水筒と聖剣。OKですわ」

「ママ!私のバナナは持ってくれた?」

「持ったぞ。戦いが長引いたら栄養補給出来るぞ」

遠足の準備みたいだ。

「ごめんだぞ。ちょっと待ってるぞ。聖剣忘れたぞ」

腰にあるのは?

「これ、スイカ斬る包丁だぞ。長さが似てて間違えたぞ。後、取ってくるものもあるぞ。すぐ戻るぞ」

アリスは、慌てて王宮の奥に戻る。・・少しアリスの背中が小さく見えた。


「ケインさん」

ティナだ。

「皆さん、集まっています。何か問題でも?」

遅れていた俺たちを心配して、見に来てくれたようだ。

「大丈夫だ。今アリスが忘れ物を取りに行ってる」

「お待たせだぞ。ごめんだぞ。これ取りに行ってたぞ」

これって、尻尾か?

「ティナが9本生やした時の、8本だぞ」

「はい。神の加護で大サービスの時です」

「皆に1本づつだぞ」

お守りか?

「そうだぞ。ご利益があるぞ。さぁ行くぞ」

・・・なんか、形見分けみたいで、嫌な予感がした。



11月11日 AM10:30

浜辺だ。海にはセイレーン本体とポセイドン。後ろには7万の大応援団。

既に、みんな集まっていた。


「皆さん、いよいよです。800年の戦いに終止符を打ちます」

「この世界の平和と、皆さんの勇気と優しさに祈りを捧げます」

「みんな頑張れ」

ティナとアルテミス、そしてターナ。女神達が、祈りを捧げてくれた。

ハウルは、首輪に繋がれたリードを、自分で持って、変なポーズで祈りを捧げていた。


「勇者よ。腹は直ったか?」

ここでそれか?

「直ったぞ。出すもの出したら快調だぞ」

「くそは出しても、答えは出せなかったようじゃな?」

「ああ、済まない。だが、勝算はある。任せろ」

「・・・そうか。ならば任せたぞ」

「ケインさん、この世界の未来をお願いします」

アヤメさんは、俺の両手を握り締めた。

「貴方達なら、安心してお任せできます」

蛇彦さん。

「任せてくれ。貴方達が命を懸けて守った世界を、俺たちが守って見せる」

「さぁ、行け。皆が待って居る」

「爺さん、アヤメさん、兎彦さん、色々ありがとうな」

「落ち着いたら墓参りをするぞ。キュウリ持っていくぞ」

別れを惜しんでいる暇はない。俺たちは、勇者チームの元へ行く。



「皆!聞いてくれ!拙い俺を今日まで育ててくれてありがとう。感謝している」

「ケイン、いまさら何を言う。泥臭いぞ」

水臭いだ。

「そうよ。私たちこそ、感謝してるわ。あなたが居たから世界が終わるのよ」

世界が救えるだ。

「だよね~ケインには監視だよね~」

感謝だ。

みんな、普通に見えるが、やはり緊張しているようだ。


「策を伝える!俺の策にBプランは無い。Aプランがダメな時は、全力で攻撃する。セイレーンと機械族は、攻撃待機だ」

機械族の攻撃に、優しさは無い。呪いの効果を受けない機械族には、感情が無いと考えられる。世界的には、彼女たちはモノなのだ。

「アリス、アリッサ、アイリス、アズサ、マオ、ピー。魔王を憎むな。優しく温かく、攻撃するんだ」

「分かってるぞ。温かい氷で攻撃だぞ」

「ですわ。優しく冷やしますわ」

「私は大丈夫!炎だから暖かいよ」

「よく分からないけど~OKだよね~」

「任せてください!この魔王アズサ。魔王には温かく優しくします」

「温かく攻撃・・無茶言うわね」

ピーだけが、深いため息をついた。


「レナ、セレス、ナナ、セイレーン、もしもの時は頼む。力で攻め落とす。頼んだぞ」

「ああ、任せて置け。私の疾風で切り刻んでやる」

・・・前回、前々回、そのまた前回、それ出来なかったんだよな。

「私たちの出番が無いと良いわね。ケイン、貴方はよくやったわよ」

・・今回のセレスは、大分まともだ。

「ミサイル攻撃でだめなら、お腹の秘密兵器の核を使いますデス」

・・核だと!?

「パワーアップした魔道兵器の見せ所ですね」

俺は全員に細かい指示を出す。


ーーーティナ、サラ族たちーーー

「あの坊やが、どうして気が付かないのかしら?」

「ケイン基本バカ」

「惜しかったのぉ・・あと少しじゃった。ティナ様、今後の彼らを導くのは、あなたの役目ですぞ」

「はい。でも大丈夫です。ケインさんなら気が付いてくれます。戦いの中ででも、ケインさんなら気が付くはずです」

「そうじゃな。あの坊主なら・・。さてと、では呼び出すとするか。アヤメ、犬彦、最後の魔王じゃ、丁重にお呼びするぞ」

ーーーーーーーーーーーーーーー


「ケイン、だれか来るわ」

ピーが何かを感知した。

「女王陛下!大事件でございます!」

遠くから、大きな声を出す兵士が走って来た。

「あれは避難している王都民の、護衛兵だぞ」

「陛下!陛下!ビックニュースです。王都民と魔獣の間に、子が出来ました。今朝がた、11人の妊娠が確認されました」

「なんですと?魔獣さんとの間に?間違いないのですか?」

「はい。確認済みです。間違いありません」

「確率的に11人同時には、あり得ないぞ」

「魔獣さんとの間に子が出来るなら、この世界はまだ生き残れますわ」

「そうだね~魔獣は男が多いからね~」

「人口不足で、世界が崩壊する事はありません」


これって・・・・・そうか、アヤメさんの言葉は・・・

 『水が再び交わる時がきた』

このことか?

綺麗な水・・美しい心を持った人々。

汚い水・・・魔獣落ちした人々。

長い時間をかけて、浄化された心をもった魔獣たちが、人類と一つに成る、このことだったのか。

サラ族は、後の世界のことまで考えた呪いをかけていたんだ。



11月11日 AM11:00

サラ族たちが、魔王を呼び出す祈りの歌を歌いだした。

「魔王や 魔王 ドゥンガン カサクヤン インドゥムウ♪」

デカい芋虫は来ないだろうな?


海岸から70m程の所の海が盛り上がる。

海中から、真っ黒な魔王が現れた。

デカい。しかも顔は俺そのものだ。


大波が押し寄せて来た。

「氷魔法!海よ凍れ!ですわ!」

「氷魔法‼氷壁だぞ!」

アリスとアイリスの氷魔法で、海は凍り付き、防波提の変わりとなる氷壁も出来た。


「あれが魔王だぞ・・」

「なんか~怖いよね~」

「パパ、ママ・・・私怖い」

大丈夫だ。幸い俺の顔と同じだ。皆!慈しみの心で攻撃だぞ。

「よし、分かったぞ。海から上がるのを待ってやるぞ。優しさだぞ」

「ですわね。魔王さんウエルカムですわ」

「こっちだよね~」

応援団からは、熱烈歓迎の旗が振られていた。

魔王は、アイリスの氷魔法で凍った海を砕きながら、陸に向かってきた。


凍った海を進む魔王から、白い冷気が吹き出た。

魔王は、左から右に大きく手を振るう。

「ケインさん!油断しないでください!今の魔法は、攻撃と取られています。魔王は戦闘態勢です!」

ティナの声・・・と同時に、アリスの腹を、大きな氷柱が貫く。



「だぞ・・・・・」

アリス!!!!!

魔王の攻撃だ。浜には数10本の氷柱が突き刺さっていた。

そのうちの1本が、アリスの腹を貫いた。

「アリス!!!!」

「ケイン・・・だぞ」

アリスの伸ばす手が、力なく落ちる。そのまま後ろの倒れ込んだ。


「女神止め!ハウル行く!」

「ターナさん!?」

ターナがハウルに乗り駆け付ける。

「皆さん!防御態勢です!ティナ、防御加護を」

アルテミスが指示を出す。

「氷魔法氷壁ですわ!氷魔法、海よ凍れ!ですわ!ですわ!ですわ!」

アイリスが、氷壁と氷魔法で魔王の進行を食い止める。


「ケイン・・だぞ。私はもうだめだぞ」

バカ言うな。今ターナ達が魔法で蘇生を・・・。

悪意を持った相手からの攻撃には、蘇生は効かない。

「よく聞くだぞ。・・・アリッサ・・ケインの面倒を・・見るぞ。私の代わりだぞ・・一生添い遂げるぞ・・」

アリス!アリス!

「ママ!しっかりして!」

「アリス、頑張るのですわ」

「神の加護回復です。です。です」

「ダメ・・回復、間に合ってない」

腹を貫いた氷柱は、アリスのウエストと同じ位のサイズだ。

どでかい穴が開いちまってる。

傷の深さに、回復が間に合わない。死んだら終わりだ。


「くそ!ケイン、私たちで魔王を倒す!アリスの仇だ!」

「行きますわよ!神剣使いのセレス!参ります」

「膝ロケット全弾発射デス」

「マスターの仇です。ルピ、ルカ!ハドロンブラスターです」

「はいねぇ様。発射シークエンス」

「はいねぇ様。最大火力で充電開始です」

機械族が戦闘を始めた。



「ケイン・・もう意識が・・」

「頑張れアリス!回復!回復だ!!回復をかけ続けろ!」

ティナとターナ、アルテミスは、必死に回復をかけている。

「ママ!死んじゃだめだよ!」

アリス!頑張れ!

「・・もう少し行けそうだぞ・・冷蔵庫の肉ジャガは、2日以内に食べるぞ。後、ケインのパンツは、手洗いが基本だぞ」

今はそれどころではない!

「そろそろお迎えが来たぞ。ママが川の向こうから、おいで、おいでしてるぞ・・・」

「私はまだ、こちら側ですわ!!」

「ケイン、愛してるぞ・・・大好き・・・だぞ・・」

アリス!ダメだ!目を開けろ!

「アリス、ダメですわ!戻ってくるのですわ」

「死ぬな」

「ダメだよ~だめ~」

「ママ!お願いだから死なないで!」

「うんだぞ」

え?

「私、生きてるぞ」

無い。アリスの腹の傷がない。

「根性で回復?」

「神の加護?」

「良かった・・守護者の立場が・・」

泣きながら回復を掛け続けていた、ターナとティナは、その場にヘタレ込んだ。

「ケイン・・私、死なないで済んだぞ」

アリッサの付けていたネックレスが、弾けて消えた。

想い想われのネックレス・・・

「このネックレス!?アリッサさんの想いが、通じたんです。お互いに想う気持ちの強さが、魔王の悪意に打ち勝ったんです」

やはり、温かい心だ!魔王の弱点は正のエネルギーだ!


「よし、仕切り直しだぞ!ケイン、今度こそ真面目に行くぞ」

お。おう。今迄は真面目ではなかったのか?



魔王は、凍り付かせた海で足止めしているが、アイリスの魔力は、限界が近い。

「主、誰かから魔力を吸い取って。魔法が打てなくなるわ」

エロ牙が、アイリスに指示を出した。

「了解ですわ。誰からがいいかしら?」

主戦力からはダメだ。役に立たなそうな奴は・・・パルスだ。

核を使いたがるナナからも吸い取れ。

エロ牙のスキル、魔力の吸い取りは、根こそぎらしい。

機械族の魔道電池からも吸い取れるので、アイリスは、ほぼ無限の魔力を持つことに成る。

使えるスキルだ。


「満腹ですわ!行きますわよ!氷魔法、凍っておしまい!ですわ!ですわ!」

魔王は、周りが凍り付き、身動きができない。

「ケイン、パルスとナナ、どうするぞ?電池入れて復活させるかだぞ?」

魔道電池から、電力を吸い取られ、動けなくなった二人。

吸い取られる時には、気持ちがいいらしく、ロリババパルスの甘い声が耳に残った。

「いいよ。このままで。邪魔にならない所に、放り投げて置いてくれ」

世界を滅ぼしかねない核を持つナナと、役に立たないパルスには塩対応だ。



!!魔王の尻尾?

氷を砕いて、魔王は尻尾を使って攻撃してきた。尻尾は独立した3本だ。

それぞれ先端に、俺の顔を持ち、口から冷気を噴き、攻撃してきた。

浜に居る俺たちまで、50mはあるが、奴の尻尾は射程圏内だ。

「ケインさん!気を付けてください!その尻尾に触れると、正のエネルギーが奪われます。冷気にも触れないでください!」

ティナのアドバイスが入る。

「皆!温かく攻撃しつつ、奴の尻尾には触れるな」

「ふんにゃ!だぞ!」

言ったそばからアリスが、触れてしまった。


「ケイン~私やる気なくなったぞ。魔王なんかどうでもいいぞ。世界なんか知ったこっちゃないぞ」

!!!アリスの正のエネルギー、やる気が奪われた!

「なんと恐ろしい攻撃なんだ!みんな気を付けろ!冷気にも・・ぐは!」

叫んでいたレナも冷気にやられ、凍り付いた。。

尻尾は、蛇のように自在な動きで、俺たちに襲い掛かってきていた。


「ダメだ!アイリス!氷壁で壁を作ってくれ!」

「お任せですわ!氷魔法氷壁!」

波打ち際に氷の壁が出来る。

尻尾は、氷壁に阻まれて、攻撃が出来ない。

「アリスさんのやる気回復です!神の加護『やる気スイッチOK 』です」

「うぉぉぉぉだぞ!なんか、やる気出たぞ!行くぞケイン!今度こそ真面目にやるぞ!」

早く本気を出してくれ。


不味い。攻撃できないと知った魔王は、尻尾で周りの氷を砕きだした。

「パパ!ダメだよ。いくら暖かく攻撃しても、効果が出てない気がする」

「だよね~さっきから打ってるけど~全然効いてない気がするよね~」

「私の時間停止魔法も、キャンセルされています」

「私も打った。効果見えない」

確かに変だ。俺たちの正のエネルギーの攻撃は、魔王の負のエネルギーと対消滅するはずだ。

だが、奴からはダメージを受けている素振りは無い。


「ケインさん!これを使ってください!戦闘力が計れるスカウターです。マリーさん達が作ってくれました」

「よし私が見てみるぞ。魔王の戦闘力は・・・!!!8500万5963ウププだぞ」

なんだ、その単位は?

「ちなみにセイレーン本体が、約30万ウププだぞ。マオは、約6万ウププだぞ。

 ・・・・ケインは6ウププだぞ」

「6・・ゴミ」

くそ!俺の知略は戦闘力に含まれないのか!?


「よし!アリス、アイリス、アリッサ、マオ、ターナ、同時に魔王に攻撃だ」

「行くぞ!暖かくブリザードだぞ」

「行きますわ!心を込めて雹弾ですわ」

「行くよ!熱烈歓迎 爆裂斬」

「慈愛からの~毒霧だよ~」

「精霊魔法 緩い雷」

アリスどうだ?少しは削れたか?

「ダメだぞ。8500万8888ウププだぞ」

なんだとぉ!増えているだと!?馬鹿な!正のエネルギーの攻撃で、なんで増える?

俺の策は、間違っていたのか?何が違う?なにを見落としている?


ーーーーサラ族ーーーー

「ケインさん・・・暖かな気持ちで撃つ魔法では、倒すのに200年かかります」

「あんな、へなちょこ魔法で倒せるなら、わしらで倒してるわい。・・・ここまでじゃな。残念じゃが、被害が出る前に、わしらで封印じゃ」

「おじい様、もう少し、もう少し様子を」

「長老、私も様子を見るべきだと思います」

「しかし、死んでしまえば終わりの魔王戦じゃ。もう、奇跡は起こらん。被害が出る前に・・」

「まだです!ケインさんは、苦境に強い人です。まだあきらめないでください」

「族長、ケインさんを信じて。もう少しだけ」

「・・・そうか。じゃが、危険と判断したら、即動くでな」

ーーーーーーーーーーー



ーーーーパルムとセシルーーー

「坊や、なにやってるのよ」

「倒し方に制約があるようだな。明らかに攻撃が変だ」

「ただ倒せないの?なら助けてあげられないじゃない」

「いや、幸い周りは氷だらけ。足は海の中だ。動きを封じる事なら出来る」

「早くやってあげて!」

「さっきから足元を凍らせている。これ以上やればバレてしまう」

ーーーーーーーーーーーーーー

負のエネルギーで攻撃している奴がいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ