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残念世界の残念勇者   作者: XT
43/96

魔王編 ㊸

魔王出現まで、後2日。俺とアリスは、人魚族の村に来ていた。


「どうじゃ?答えは分かったのか?」

「呪いの答えは分からない。だが魔王の倒し方は分かった」

「・・・そうか。分かったか。なら何も言うまい。任せたぞ勇者」

聞かない?いいのか?

「お茶と羊羹です」

!!!!一本丸ごとだと!?

アヤメさんは、羊羹を丸ごと1本持って来た。

馬鹿な・・厚切りで、2つ付ければ、国賓扱いなのが羊羹だ。

丸ごとなどありえない。

「来客用の羊羹ですが、結局、来たお客様は、800年でケインさん達だけでしたね」

あんずの味の羊羹か。中々しゃれた味だ。


「爺さん、色々考えたんだが、『時間が無い』『時間がある』『綺麗な水』『汚れた水』が、どうしても、分からん」

「馬鹿には分からん」

「ケインは馬鹿ではないぞ。紙一重の天才の方だぞ」

褒めてない。

「ケインさん、封印の珠はご存知ですよね」

「ああ、アリスから聞いた。生贄が必要だったとな」

「封印の珠は、封印が目的ではありません。封印もできると言うだけです」

!?

「魔王のコアは、濃縮された負のエネルギーです。そのコアを対消滅させるのが、封印の珠と、皆さんが呼んでいる珠です。

皆さんが、魔王を倒した後で、コアは出現します。コアを消滅させなければ、魔王はいずれ復活してしまいます。その魔王に、止めを刺す珠です」

無い!今回は、珠を作っていないと聞いた。

「ママが止めさせちゃったぞ」

「だから、時間が無いというのは、私たちなのです」

アヤメさんは、くすくすと笑いながら言った。


「年々人口の減る世界で、景気よく生贄など使っていたら、すぐに滅んでしまうわ」

「・・だぞ」

「毎回の珠を作るのに、私たちが協力していました。私たちの正のエネルギーを、お分けしていたのです」

!!

「しかし、思念体としての身でも、永遠ではありません。時間と共に、自然とエネルギーは減ってしまいます」

「ママが生贄制度を止めたのは、間違えかだぞ?」

「それは違います」

「今回を最後とした、ティナ様のお考えの元、アイリス様は、正しい判断をされたのですよ」

今回を最後と決めたのは、ティナなのか?

「わしらも、今回の勇者に掛けたのじゃ。今回で昇華を果たす」

「私たちが、珠の代わりに、魔王のコアを消滅させます」

「仮に、珠を作ったとしても、次回の分のエネルギーは残っていません。魔王を倒すのを確認できるのは、今回までです」

「何か他の方法は無いかだぞ?人魚族の人たちが、可哀そうだぞ」

「アリスちゃんは優しいな。じゃが、気にするな、と言ったはずじゃ」

爺さんは、笑いながら言った。

「魔王を倒すのが見れれば、私たちは自らエネルギーを開放して、昇華します。

 魔王のコアと対消滅するという事は、魔王を倒すという事なので、結果は同じです」

「まてまて・・サラ族に時間が無いのは分かったが、俺達だった無い」

「そうだぞ。私たちだって、次の200年後は戦力が無いぞ。時間は今回限りだぞ」


「あなた達には、あります。私たちが今回に決めた理由の一つは、ケインさん、ティナ様が、貴方を呼んでくださったこと。もう一つは、水が再び交じり合う時が来たことです」

「それが何の事なんだか?」

「ケイン!私気が付いたぞ!熊彦さんの言葉だぞ」

???

「思い出すぞ。来客用で、800年で客は私たちだけだぞ」

「それがどうした?」

「これ800年前の羊羹だぞ!」

「なんだとぉ!」

「滅多に羊羹は腐りませんよ」

「数年レベルの話だぞ。1世紀単位の話じゃないぞ。どうも変な味だと思ったぞ」

「言われてみれば、腹に差し込みが・・・」

「高級な小倉羊羹ですが、800年はやはり無理でしたか?」

「あんずの味がした」

「トイレだぞ!厠は何処だぞ!大きなお花摘みに行くぞ!」

「俺もだ!」

「便所なら奥じゃ。が、1か所だけ、お1人様で満員じゃ」

「それに、もう使わないので、紙がありません」

アヤメさん、貴重な情報提供ありがとう!


「アリス!ゲートで戻るぞ。王宮のトイレだ」

「だぞ。急ぐぞ。充電率120%だぞ。波動しちゃうぞ」

「ダメだ!間に合わない!緊急事態だ。湯船に行くぞ」

11月10日AM1時30分。魔王決戦前日、俺とアリスは、風呂の掃除をしていた。



11月10日。AM11:00

アズサの魔王軍、総勢1万が王都に到着。

同日、AM11:30

魔獣軍、総勢4万が王都に到着。

王都軍と合わせ、総戦力7万が集結した。

パルスが、軍の総指揮を執る。

俺は、勇者チームの指揮を任される。


パルスが、7万の兵を前に策を伝える。

「良いか!皆皆の衆!いよいよ我らが、魔王を封じる時が来たのじゃ!各員は、事の重要性を理解し、規制線の外側から応援じゃ!」

無駄に大勢いるだけだ。


俺の策は、憎しみや怒りなど、負の感情を排除して戦う。

慈愛の力で魔王を倒すのだ。

これが結構難しい。

剣や、魔法を慈愛の心で使う。高難易度なのだ。

厳しく軍隊教育された魔王軍には無理だ。

お馬鹿の魔獣軍にも出来っこない。

ついでに王都軍も、応援に回す。

結局戦いは、俺とアリス、アリッサ、マオ、ピー、アイリス、レナ、セレス、セイレーン、アズサ、ナナ。

11人でやることになった。

ターナは女神に成る、と言い出したので、ティナとアルテミスの支援魔法側だ。



対魔王戦は、死んでも生き返ることが出来ない。

戦いを翌日に控え、俺たちの緊張感は、徐々に高まっていた。

「ケイン~ヒマワリの種のレアものが手に入ったよ~たべる~」

「ケイン、おトイレに流れが悪いの、見てもらえる?」

マオとピーは、極度の緊張状態だ。


「ケイン、私の腐った本がママゾンから届いているはずなのだが、王宮の方に荷が回ってないか確認してもらえるか?」

「聞いてケイン。ビニール紐を、おパンツの代わりにしたら、お股が気持ちいいのよ」

レナとセレスも普通ではない。


「ケインさん、悩んでます。相談に乗ってください。保険に入ったんですが、保証は1年後からだと言うんです」

「ねぇ様、生命保険加入。死亡保障付き」

「ねぇ様、対人保険加入、物損事故対応です」

「セイレーン殿は、先々を考えてるでござるな。拙者もがん保険に入るでござろうか?」

「私も、健康診断の予約を取りましたよ」

みんな常軌を逸した行動に出ている。平常心が保てないようだ。


「当然だぞ。私なんか明日の事を考えると、昼寝もできないぞ」

「パパ!ママ!もしかして全滅するかもだよね。なら、毎日つけてる日記は休んでもいいよね」

「婿殿~明日の昼ドラの録画ができませんの。お願いですわ~録画予約してくださいな」

流石のアリス達も、動揺が隠せていない。

11月10日。PM4:00 魔王討伐まで、後19時間だ。



ーーーーリリスとギルバ。天界悪だくみルームの中ーーーー

「全くあいつらは、人の予定を狂わしてくれる。魔王を呼び出すなど、聞いていないぞ」

「ティナは報告してなかったんだね」

「あいつの報告書など、小学生の日記だ。見てみろ!」

 8月10日 ケインさんと海に行きました。

 8月21日 お尻がヤバい。

 9月8日 王都スーパーで買ったイカが美味しい。

 9月15日 寝坊しました。

 9月16日   同上

「あははは。相変わらずの、のー天気だね。こんなの提出されたら、僕なら切れるよ」

「今まで、どれだけ我慢してきたか・・」

「僕の伝手で、魔界のプロとコンタクトしてるから、魔王が退治されても大丈夫だよ。あいつ等なら、簡単にカモミールぐらい占拠してくれるよ」

「外注すると、バレる可能性があるから避けてきたが、致し方ないな」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーー天界。ヴィーナス家ーーーー

「いよいよ明日です。不測の事態の備えは万全です。現地の二人には、隠密行動を指示してあります」

「ご苦労様です。魔王の討伐が終われば、ティナも少しは楽になれるでしょう」

「事後報告になりますが、少し前に、ケインさん達が南の守護者と接触していたことを聞きました」

「まぁ、そんな大事なことを、報告としてあげていなかったのですか?」

「ティナらしいです。しかし、カモミールの守護者が、公にならなかったのは、幸いです」

「不思議な子達ですね。私たちがいくら接触を試みても、会えなかった南の守護者と・・・」

「南の守護者は「ドワーフ様」とのことです。ポセイドン様とドワーフ様は、ケインさん達と友好的な関係です」

「後は「星の守護者様」だけですね。お会いできればいいのですが」

「それと、九重ですが、やはりコンタクトには、応じてもらえません」

「そうですか。そちらの件も、ケインさんにお任せするしかありませんね」

「はい。天空のカギはお渡ししました。ケインさんなら九重に辿り着けると信じています」

「無力ですね・・結局私たちは、見守るしかないようです」

「はい・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーパルムとセシル。カモミールの森の中ーーーーーー

「いよいよ明日ね」

「だな。あいつなら魔王ぐらい、どうって事は無い」

「もしもの時は手助けするんでしょ?私の炎で焼き尽くしていいの?」

「いや、エクセレントからは、手を出すな、と言われている。あくまでも守るだけだ」

「そお。女神様って、勝手よね。倒すだけじゃダメなの?」

「色々あるようだ。だが、あの程度の敵に手を焼くようでは、俺のチームには入れない」

「あら、まだ諦めてないのね」

「俺はパルムだ。狙った獲物は逃がさないさ」

「来てくれるといいわね」

「来るさ。奴なら必ずな」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーノスフェラトゥ。本社社長室ーーーー

「パルムとセシルが、カモミールに入ったとの情報を得ました」

美人秘書のレイラが、ノスフェラトゥに伝える。

「休暇中の行動だからね。ダメとは言わないよ」

「しかし、彼らには我が社との契約があります。勝手な行動は・・」

「親心と言うモノだろうね」

「その親心は、九重を探す障害に成るのでは?カモミールは協力はしてくれません」

「だね。私も迷っているのさ。九重とケイン。どちらも手にするには、関係は友好的でなければならない」

「ケイン?あの勇者ですか?」

「ああ、彼は欲しいね。パルムたちには出来ない戦いができるし、なにより有能だからね」

「二兎を追うと・・」

「二兎を追わなければ、二兎は得れない・・だよ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーー天界 一室ーーーー

???「もうすぐだ。私はランク7位の担当に成れるのよ」

ーーーーーーーーーーーーー



11月10日 PM8:00

「よし~ピーちゃん~明日に備えて早く寝ようね~」

「ええ、お休みマオ」


「セレス、今日は早く休むとしよう」

「ええ、整備も完璧よ。明日に備えましょう」


「マリー、今日はもう寝ましょう」

「そうですよ。大事な日に、寝不足はダメですよ」

「私も寝るデス」


「ケイン、眠れないぞ。目が冴えてきたぞ」

ああ。俺もだ。明日の事を考えると、眠れる気がしない。

「パパ、ママ!私もだよ」

「私も寝れる気がしませんわ」

当然だ。明日を控えて寝れる奴などいない。

「こうなったら、眠くなるまで、ウノをやるぞ」

「良いですわね。寝落ちOKですわ」

「やろう!私負けないよ」

「よし、魔王討伐前夜、ウノ大会だ」

決戦前夜・・・朝までウノしてた。

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