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残念世界の残念勇者   作者: XT
42/96

魔王編 ㊷

・・・・朝か?

「起きたかだぞ?もう2時だぞ。よく寝ていたぞ」

・・・俺は・・パルムに斬りかかって・・。

「そうだぞ。一撃も入れられずに、クタクタで気を失ったぞ」

ベットの上で上半身を起こし、記憶を掘り起こす。

アリスは俺の横に座り、モーニングチューを頬にした。

「思い出した」

ムキに成って、怒りで剣を振るい、パルムにボロクソに言われたんだ。

だが・・・・。

「流石に、アレは堪えたな。腐っても元勇者だ」

「ああだぞ。パルムは、きっと良い勇者だったぞ」

「真の勇者は、己の信じるものを剣に託し、信念を貫く剣を振るう・・か。俺は、まだまだだ」

「ケインはケインで良いぞ」

アリスは俺の肩に、頭を預けた。

「パルムは俺を・・」

「凄いぞ。ケインの言った一言で、状況を理解して、迷子のケインを導いてくれたぞ」

「考えがまとまらない・・か。あれだけで、分かるんだな」

「同じ勇者だぞ。同じ悩みを経験してるんだぞ。同じ穴のムジナ同士だぞ」

勇者をムジナは無い。

「さぁ、起きるぞ。朝飯と昼飯とおやつの時間だぞ」

俺はアリスと、食堂に向かった。


「ケイン!聞いたぞ。パルムに、ぼろ負けだってな」

レナとセレスだ。

「さっきティナ様から聞いたわよ。格の違いを見せられたってね」

痛い所を一突きだ。

「パルムの言葉は私も聞いたが、相手が何であれ、言う事は正しい」

「ええそうね。腐ってもイカだわね」

タコだ。

「鯛だぞ」


「どうだ、後で私たちと、稽古をするか?」

「勇者の心得を得たケインの剣、見てみたいわ」

「ああ、頼むよ。稽古をつけてくれ」

「先にエネルギー補給だぞ。ガス欠だと稽古にならないぞ」

だな。すまんが飯の後で頼む。

「先に中庭で、セレスと体を温めて居よう」

「待ってるわね」


食堂に入る。アリスはキッチンで料理を始めた。

作り置きなど出さない。アリスは毎回、俺に作りたてを出してくれる。

「お待たせだぞ。天津丼だぞ」

中華屋で、中華丼と天津丼を迷って、中華丼にしたのを見ていたんだ。

「星27の天津丼だぞ」

アリスが作れば、宇宙イチ旨い。


中庭に行くと、ボロボロになっている、レナとセレスが居た。

セレスは右腕を失っていた。

「なにがあった!?」

「ああ、つい熱くなってな」

また胸がでかいだの、まな板だのでもめたのか?

「全くレナさんは、胸と同じで成長しないわ」

なんか、セレスって活躍より、壊れてる方が多くないか?


「さぁ、ケインこい!ケインの相手など、10%の戦力があれば十分だ」

世辞でも良いから、本当のことを言うな。

「ケイン、頑張るぞ。レナも壊して、二人で仲良く入院させるぞ」

今壊したら、3日後の魔王決戦に間に合わないだろう。

「あら、大丈夫よ。トーレフ達が、バラバラでも3分で直る「キカイダー01最終回の便利メカ」を作ってくれたわ」

酷いネーミングだ。


俺は剣を抜く。そしてパルムの言葉を思い出す。

俺の信じるモノ、俺の信念・・・この世界を仲間達ともに守る。皆が安心して暮らせる世界を作る。皆の笑顔が俺の正義だ。俺は剣に、想いを込めた。

!?剣が輝く。

「ケインの想いに、剣が答えたぞ。技が打てるぞ」

頭の中に「ケインスラッシュ」と浮かんだ。

これが俺の技!?

「来いケイン!お前の想い!その技を撃ってみろ!」

レナが防御の姿勢で待ち構えた。

「良し!ケインスラッシュだ!!!」

剣を縦に振るうと、軌跡から衝撃波がでる。構えるレナを襲った。

「くっ!・・ぐは!」

レナが吹き飛んだ。相当な威力。

俺の初めての技だ!


「防御の姿勢で受けてこれだ、ケイン、これは使えるぞ」

「斬撃ではなく、弾く技ね。縦に使うより、横に使った方が効果的よ」

水平に剣を振るうのか?

「ああ、その方が効果が高い。敵の接近を食い止められるし、マオのような魔法を、弾き飛ばせる」

流石レナ達だ。1回見ただけで、特性を見極めている。

「ケイン凄いぞ!ケインだけの技だぞ」

ああ。やっと俺にもだ。パルムの言葉、重い言葉だったと痛感した。



「おめでとうございます!ケインさん」

ティナ。

「来たら、ケインさんが技を出すところが見れました。剣が想いに、答えてくれるようになったんです。もう立派な勇者です」

「そうか、剣よ、よく俺の想いに答えてくれた。感謝するよ。俺は、この剣を相棒にする」

「でもケイン、それって普通の剣だぞ。勇者の剣としては役不足だぞ」

「皆のような業物でもないし、聖剣でもない。でも俺はこの剣がいい。この剣が俺の相棒だ」

「ケインさん、今こそ勇者に成る時だと思います」

そうか、覚醒薬。正確には俺はまだ、冒険者ケインだった。

「アリス、全員集めてくれ。俺は皆の前で勇者に成りたい」

「分かったぞ。夜に成るけど全員集めるぞ」

魔王討伐まであと3日だ。俺は今夜、勇者に成る。



「残念でしたわ。王都民の避難が終わった所でしたのよ」

「ケインの勇者の儀なら、国を挙げて盛大にやるイベントだぞ」

構わないさ。チームの仲間が見ていてくれれば、それでいい。

「司会のティナです!皆さんお忙しい中ようこそ!今夜は冒険者ケインさんの、勇者の儀です。ケインさん!壇上へどうぞ」

王宮の庭に、大掛かりなステージが設けられた。

相変わらず、イベントとなると気合いの入る連中だ。


アリス、アリッサ、アイリス、ターナ、マオ、レナ、セレス、ハウル、トーレフ、アズサ、ナナ、マリー、パルス、セイレーン、ルピ、ルカ・・・

アルテミスも来てくれたのか?

「みんな!やっとこの日を迎えられた。俺は今、勇者に成る!見ていてくれ!」

俺は、覚醒薬を使った。体が光に包まれた。


 「冒険者ケインを、勇者ケインへ覚醒。勇者スキル1開放。勇者スキル2開放。勇者スキル3解放。勇者レベル構築中・・構築完了。勇者ステータス構築中・・構築完了。全プロセス完了」

天の声が、俺を勇者にしていく。

「おお!ケインが勇者に成ったぞ」

「パパ!勇者だよ」

「ああ、俺はこれで、名実ともに勇者ケインだ!」

皆の拍手。アルテミスから花束を受け取る。

壇上に一人一人が上がり、俺を祝福してくれた。


「ケイン、みんなに勇者スキルを見せてやるぞ」

よし、勇者スキル1!発動だ!

「勇者スキル1、勇者の持つ技を3ランクアップ。ケインスラッシュは、ケインスラッピーになりました。ケインスラッピーは、ケインスラポンになりました。ケインスラポンは、ケインスラペペロンになりました」

ケインスラペペロンだと?

「ケインスラポポロンを撃ってみるぞ!みんなに見せるぞ」

お、おう。ペペロンだけどな。

「行くぞ!ケインスラペペロンだ!・・だ!・・だ!あれ?」

「レベルが足りません。ケインスラポポロンは発動しません」

なんだと!って、ペペロンじゃないのか?ポポロンなのか?


「ケインさん、勇者レベルがマイナス200です!」

あんだと!どいう事だ!?

「はい。元からマイナスレベルのケインさんは、勇者に成ってもマイナスのままでした」

ありか?勇者スキルは?

「スキル2も3も、発動条件はレベル50です。たぶん発動しないと・・・」

なにぃぃぃぃ!!!

「何も変わらないぞ。良くも悪くもなってないぞ。悪くならなければOKだぞ」

「ですわ。婿殿は勇者に成っても、婿殿のままですわ」

「うん!パパはパパだ。変わらなくてもいいよ!」

「だね~ケインらしいよね~」

「ああ、そうだ。勇者スキルなどなくても、ケインは勇者だ。何も問題ない」

「うぷぷぷ。ハウル笑え」

「妻よ。流石に笑えない」

「ワシでも読めなんだ」

「ケイン殿らしいでござるよ」

みんな特別驚いていない。俺だけか?ビックリマンは?

「はい。ケインさんですから」

ティナの一言は、全員を納得させた。


「だがケイン、お前が勇者なのは間違いない。怒りで剣を振るうなど、許されない立場だ。勇者の名を冠に持つ重みは、理解しろ」

ああ、分かってる。昨日の事は反省してるよ。

「怒りはマイナスのエネルギーだぞ。勇者が振るう剣には、ふさわしくないぞ」

だよな。マイナスはレベルだけ・・・・・マイナス?だと・・・。

怒りはマイナス。。マイナス。。負のエネルギー。魔王は負のエネルギーの集合体だ。

「どうしたぞ?」

そうか!そうだったのか。

「アリス!分かったぞ!魔王の倒し方が!」

「だぞ?」

「魔王は負のエネルギーの集合体だ。怒りや憎しみで剣を振るえば、攻撃はマイナスのエネルギーに成る。

マイナスの力では、魔王には勝てない。プラスのエネルギーの攻撃をするんだ」

「なるほど!確かに論理的だ」

「それだわ!ケイン!それよ!」

「パパ!凄いよ!」

「だぞ。確かに私たちは、魔王を憎んでいたぞ」

「だね~。だから倒せないんだよね~」

「ああ。マリーの言葉を思い出せ。マリーと魔王が触れたらどうなるか、聞いた時だ。「対消滅しますよ」と、言っていた」

「婿殿!」

「ああ、間違いない。魔王は憎しみで攻撃してはダメだ。慈しみの心で攻撃するんだ」

「ティナだぞ!ティナの顔はだぞ?」

ティナは?…笑っている!正解だ!

「なんか、頬が引きつってる気がするぞ」

「あまりの嬉しさに、ひきつって居るんだ。間違いならティナは、口笛を吹いて、明後日の方向を見るはずだ」

とうとう、俺は答えに辿り着いた。

これで魔王は倒せる!


「宴会ですわ!前祝いですわ!」

「良し!遣るかだぞ。もし全滅してもいいように、残りの予算は全部つぎ込むぞ!」

「パパ!ママ!私もお酒飲んでいい?」

「いいぞ。全滅したら、もう飲めないぞ。今のうちに飲んでおくぞ。パパも許可するぞ」

お。おう。全滅前提かよ。

「よし!魔王討伐まであと3日だ。飲みまくるか!」

「私は脱ぎまくるわ!」

「ワシも、たまには参加じゃ」

勝ち方が分かった俺たちは、大宴会に突入した。

「惜しい」

ターナが一言呟いた。

魔王討伐まで、あと2日だ。



「私がアリスだぞ」

「私もアリスだぞ」

ヨッパが二人だ。

「パパ!どっちがママだか、分からないよね!?」

今、分かった。


「婿殿!私の飲みっぷりと脱ぎっぷり、見てくださいな」

「ケイン!私も負けてないからね。服だけでなく皮膚も脱いだから」

アイリスはスッパ。

セレスは、下半身外骨格状態のロボだ。余りエロくない。


「セイレーン、聞いてくれ。わしだって活躍したい」

「パルスさんは頑張ってます。お家で一生懸命引き籠っていました」

パルスは、酔うと泣き上戸。

セイレーンが慰めに成って無い言葉で、慰めている。


「アズサ、ナナ!なんで無駄を出すんですか?食べ物を無駄にしたら駄目ですよ。ナナもそこに座りなさい」

お寿司のエビの尻尾を捨てたとして、酔ったマリーは、アズサとナナに説教中だ。


みんなが、それぞれ楽しんでいた。

他の戦いとは違う。魔王との戦いは、死んでも蘇生が出来ない。

考えたくはないが、万が一・・・これが最後の宴会に成るかもしれない。



ーーーー王宮の庭から、少し離れた森の中、ターナ、ティナ、アルテミスーーーー

「ターナさん、魔王の倒し方、気が付いたんですか?」

「私じゃない。村の人」

「ケインさんには?」

「教えられない。私が気が付いたのと違う。名もない村人Aだから」

「何でケインは気が付かないのかしら?」

「アルテミスさん、ケインさんは、頭が良すぎるから、考えすぎているんです」

「過ぎたるは・・・なのね」

「ティナ達、戦いに参加?」

「私たちは、女神なので戦えません。防御系、支援系の加護なら使えます」

「なら、私も女神に成る。知った以上戦えない」

「分かりました。ターナさんの美しさは、女神の域です。当日は、女神ターナとして登録します。ハウルさんは、ターナさんのペットで登録します。良いですか?」

「OK。支援魔法で援護する」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


宴会は、翌日の昼まで続いた。

俺は、アリスと二人で、人魚族の村へ行く。村は閑散としていた。

「あら、ケインさん」

アヤメさんが気が付いてくれた。

「ここで生活するのも、あと僅かです。立つ鳥、後を濁さずです」

・・・・。

「気になさる必要はありません。私たちは800年前に死んでいるのですから」

と、言われてもな。山彦さんんは、ケロっと言うが・・・

「そうだぞ、こうして話をしているぞ。それが居なくなるんだぞ。悲しいのが当たり前だぞ」

「私たちが、思念体に成ってまで見届けたかったこと。それは、魔王の最後です」

「魔王が倒せるような心の温かさと、優しさがあれば、この世界は私たちが望んだ世界です」

・・やはり、憎しみで戦わない事だったんだ。

「おお!勇者、来ておったのか」

部屋から爺さんが顔を出した。

「上がれ、上がれ。アヤメ、羊羹と茶じゃ」

随分上機嫌だ。毒キノコでも食ったか?


「編集が下手だぞ。ここで続くだぞ」


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