表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残念世界の残念勇者   作者: XT
27/96

魔王編 ㉗

グリス、鷲の顔にクマの体、背中には羽を持ち、魔獣族NO2。

背丈2.5mは、ハウルには及ばぬものの、立派な体格と鋭い目、攻撃的な口ばしが特徴だ。

「はぁ、はぁ、み、皆さん、少し休みましょう」

意外と体力のない男だった。

「まだ20時間しか歩いてないぞ。休憩は48時間後だぞ」

「まだまだだよね~」

森を通り、山を越え20時間歩くのは、普通ではない。

「ばかな・・・魔獣NO2の私が?体力負け?」

猛禽類の考えは一般的だ。事実、アズサはナナが背負っているし、俺はセレスの背中でお姫様抱っこされている。あの二人が体力バカなのだ。


「仕方ないぞ、少し休憩だぞ。マオは先行して、先の様子を見てくるぞ」

「ほいさっさ~だね」

「はぁ・・・」

「グリス様は、もう少し鍛えたほうがいいぞ」

嫁のきつい一言も受け付けない程、猛禽類は疲れていた。


「ケイン、今日の散歩に行くぞ」

ああ、毎日の日課だな。

俺はボールを投げる。アリスは尻尾を振りながら取りに行く。

「な、なにをしている?」

不思議そうに見ていた猛禽類が、俺に尋ねた。

「アリスとの日課だ。あいつは体力が有り余ってるからな」

「・・・・」

ざまぁみろ。声も出ないだろ。


2時間ほど休み、軽食を取っていると、マオが戻って来た。

「この先に~滝があるよ~100m位の高さの滝だよ~」

「・・ああ、その滝は登れない。迂回ルートを・・」

「え~登れるよ~楽勝だよ~。って言うか~登ったよ~」

「・・・・登ったって・・」

猛禽類、心も折れそうだな。


マオが戻り、10分後に出発になった。

30分進むと、マオが言うように高い滝がある。ほぼ垂直だ。

「グリス様は~その羽で飛べるから良いよね~」

「ヴぇ?・・いや、この羽は・・」

「立派な羽だぞ。女神の羽みたいだぞ」

「私から行くわね。ケインを落としたら拾ってよ」

おい。落とすなよ。

セレスが飛び跳ねる。岩と岩をうまく使いながら。僅か10秒ほどで登りきる。

アズサを背負ったナナとマオが続く。

「グリス様、先に行くぞ。滑って落ちたら、私たちが拾ってあげるぞ」

「え?いや、あの・・」

「もしかして、登れないのかだぞ・・NO2のグリス様だぞ?」

もう、確信犯だ。高飛車な態度が気に入らないのは、俺だけではなかった。


レナに抱っこされた猛禽類は、無事に登りきる。

最後にアリスが、勢いよく登ってくる。ラストの1mで大きくジャンプ。月面宙返りを決め着地する。

全員が10点と書かれた札を上げた。グリス以外全員だ。

「グリス様、得点カードも持ち歩るかないかだぞ?」

「ああ、魔獣はセンスにも欠けているようだな」

「長旅で~得点カードは~必要だよね~」

元々真ん丸の目が、丸くなる猛禽類。

もはや、いじめだ。


15時間進んだところで、猛禽類が音を上げた。

今日はここまでだ。

「流石に少し疲れたぞ。後は頼んだぞ、先に落ちるぞ。ぐーーーーだぞ」

流石に無理したようだ。もう寝ちまった。

「私も寝るよね~zzzzzzzzz」

マオも即落ちだ。

「ケイン、見張りは私たちでやろう。お前たちも休むといい」

見張りを機械族3人に任せ、俺とアズサも横に成る。

猛禽類も、死んだように寝ていた。



8時間ほど休んだ。アリスが目を覚ます。

「良く寝たぞ!飯の支度をするぞ」

全く元気な奴だ。

マオとアズサも起きる。猛禽類は死んだように寝ていた。

「さて、この鳥だぞ。どうしてくれるかだぞ?」

「また~死のロードかな~」

やはり確信犯だ。

「ねぇねぇ、チンチン摘まんでもいいかしら?」

「ケイン、お前のを尻に入れるというのはどうだ?」

腐ったレナより、セレスのほうが可愛く見えるから不思議だ。

「皆さん、グリス様が何か?」

「アズサ分かりませんデスか。高飛車な人が、罰を受けてますデス」

ナナも分かっていたようだ。


「同じ手は面白くないぞ。私とマオのガチ喧嘩に巻き込むぞ」

「それ~おもしろいね~」

いや、さすがに可哀そうだ。

「甘いぞケイン。こういう奴は、心を一回砕くぞ。砕いてから優しくするぞ」

怖い奥さんだった。こういう時に、ティナが居ないと止めるやつが居ない。

「ねぇ、マオ。一度話してみたら?」

おっと!ピーが居たか。

アリッサと並び、この世界では、まともランク1位の鳥だ。

「ピーは反対かだぞ?このまま痛めつけて、従順な犬にした方がいいぞ」

「あのね、見ちゃったのよ。この魔獣さんのカバンの中」

カバン?持ち物が入ってるカバンの事か?

アリスが、カバンを開ける。


!!ウノカード、トランプ、花札。人生ゲーム。遊び道具が沢山出て来た。

こいつ遊びに来たのか?

「違うわ。仲良く遊びたかったのよ」

猛禽類がか?

「なるほどだぞ。立場が微妙だぞ。魔獣軍でNO2。敵だけど、上司の奥さんの友人との共同作戦。これは微妙だぞ」

舐められてはいけない。でも上手くやらなくては・・か。

「彼も、困ってるのよ。ちゃんと話をしたほうがいいわ」

流石は良識のある鳥だ。

「可哀そうなことしたかもね~」

「ああ、少しやりすぎたかもしれないな」

「このチンチン、カリが無いわ」

「少し優しくしてあげましょう!」

そうだな。俺たちも態度を改めよう。

「分かったぞ。じゃ起こすぞ」

アリスは、猛禽類の頭を蹴っ飛ばす。おい。今の話の流れはどうした?

「起きるぞ、出発だぞ」

猛禽類は、頭を押さえながら、既に泣きそうだ。

「12時間頑張ったら、ウノだぞ。私は強いぞ」

猛禽類の顔に明るさが戻る。

「魔獣軍に、敗北の文字はありませんよ」

グリスは12時間の移動に耐え、ウノでボロボロにされた。

俺以外のメンバーに、カード類で勝てると思うなよ。



目的の場所まで2/3を過ぎた。相変わらず、森の中を進む。

先頭を行く、レナとセレスが立ち止まった。

「気配だ!?誰か居る」

「みんな!気をつけるのよ」

アリスとマオが、俺の前に立つ。ナナはアズサに付く。

「魔獣か?こんなところに人は居ないはずだ」

「この匂い。覚えがあるぞ」

「ここに魔獣はいません。今は全員が獣都に集まっています。王の挙式に参加しているはずです」

と、いう事は・・・。

前方から、複数のナイフが飛んでくる!が、レナが全て剣で叩き落す。

「ほう・・やるな」

帽子に、くわえタバコ、痩せ顔の男が表れた。

「貴様!?何者だ!」

レナが問う。セレスが双剣を抜く。

「俺の名はザイク。クローバーのザイクと呼ぶ奴もいる」

深く帽子を被り直す仕草・・余裕と貫禄がある。只モノではない。

「クローバーが何の用だ?」

「なに、道に迷ってな。交番はどっちだ?」

「ナイフを投げる奴に教える道は、人の道だけだ!」

レナが斬りかかる。セレスも続く。


レナが疾風を使い、セレスが双剣を使う。だがザイクと名乗る男は、余裕で二人の剣を躱していた。

「油断するなだぞ。まだ他にもいるぞ。最低2人だぞ」

俺はアズサと並ぶ。前にナナ。左右に アリスとマオ。

後ろに猛禽類。

お前は前で戦ったらどうだ?NO2だろ?

「大将は、前線には出ません」

何時から大将になった?魔獣なら戦えよ!

「・・・実は、実践は初めてで・・」

足が震えてやがる。

体力は無い。戦えない。ウノも弱い。良いところ無しだ。


「そこだぞ!氷魔法!氷弾だぞ!」

アリスが、左側の林に魔法を撃ち込む。

「よくわかったわね。気配は消していたのよ」

樹の後ろから女が出てくる。!!!深紅の和服?

王都から海に続く、松林の道ですれ違った女性だ。

「匂いだぞ。一度嗅いだ臭いは、忘れないぞ」

「ほう!なかなかのものだ」

!?背筋が凍る。ナナの目の前。いつの間に?

屈強な体に力強い顎髭。ハウルにも似た雰囲気の男は、いつの間にかナナの目の前に立っていた。


林から出て来た女は、自己紹介を始める。

「名乗らせて貰うわね。私はセシル。紫の炎を纏う女よ」

良い女だ。だが、敵だったとはな。

「俺はパルム。永久凍土のパルムだ」

「ケイン、こいつツンデレだぞ!」

違う!ツンドラだ。

何かやばい感じがする。こいつらの醸し出す雰囲気が、やばすぎる気が・・

「マオ。合図で毒魔法だ」

「はいよ~」

俺は、マオに耳打ちをした。


「oh!なんと逞しいボディー!私好みの殿方デスね」

ナナ!離れろ、そいつは危険だ。

「この胸板、鍛え上げた証デス!。鍛えられた肉体は尊敬デスね!是非握手してくださいデス!」

ナナがパルムに手を差し出した。

「お?おお、握手か?いいぞ」

パルムも右手を差し出した。意外とバカか?

「サンキューデス!握手からの、フィンガーマシンガンデス!」

ナナの指先から銃口。ゼロ距離乱射だ。

銃声が響き渡る。が・・・・

「面白いギミックだ。だが永久凍土の名の俺には、通用せん」

!!手が凍り付いた。着弾より早く、自分の手を氷で覆い、銃弾を止めやがった。

こいつ強敵だ!

「マオ!いけ!」

「闇魔法!毒霧だよ!」

マオの魔法、毒霧が周囲を覆う。


「この魔法は、見たからな」

「やだ、袖が少し溶けたわ」

「紫の・・毒・・か」

なんだと!マオの毒霧が通用しないだと!?

「なんだぞ、こいつら。なんでマオの毒の中で、平然としてるぞ」

3人は、俺たちの前方に集まり、平然と立っていた。

「言ったろ。俺は永久凍土のパルムだ。氷に守られた俺に、攻撃は通用しない。仲間にもな」

「ケイン!ツンデレってすごいぞ」

ツンドラだってばよ。

「今日は此処迄ね。坊や、楽しかったわ」

「なに?」

3人は、かき消すように消えた。

「気配が消えた」

「匂いも消えたぞ」

なんなんだ?あいつらは?


「ケイン、あいつらは・・」

まるで分からんが、勝てる気がしない相手だ。

「ええ・・まるで歯が立たないわ」

「逃げてくれて~助かったね~」

ああ、だが目的も分からない上に、戦えば負けますでは、不安要素が大きすぎる。

「私たちもレベルアップが必要だぞ。特にケインは、まだレベル1だぞ」

この世界に来て、半年近くが過ぎたが、未だ戦闘で、相手にダメージを与えていない。

「凄い勇者ですね」

「oh!ミラクルデス」

そろそろ本腰い入れてレベル上げだ。このまま魔王と対峙では、ミラクルすぎる。


パルムたちは、その後現れなかった。

俺達は、北の大国の首都、北都の入り口まで来た。

「ここからが、北都です。一応気を付けてください。報告では、魔法によるトラップがあるようです」

「トラップ?魔法は、まだ生きているのか?」

「魔法は呪いとは違うからな。術者が死んでも、効果が残るものもある」

「そうだぞ。一度かけると、効果が消える迄残るぞ」

「永続魔法と言うのもあります」

侵入防止用か?厄介だな。

「識別法は無いのか?」

「あるわよ。罠に掛かればいいのよ」

流石はセレスだ。お前が先頭な。

「ああ、それが無難だ。反射能力は、私たちが上だからな」

・・・正攻法だったのか?


樹々に覆われ、殆どの城壁は崩れて入るが、それでも城壁の名残は残っている。

ここは、城門の後だ。

「呼び鈴が付いてるぞ。押してみるぞ」

まて!トラップの可能性が!

「ごめんだぞ。押しちゃったぞ」

!!!骸骨兵が現れる。それも10体。武装している。

槍を手に持つ骸骨兵の一人が、レナに槍を突き付けて言う。

「アカウントとパスワードを言え」

魔法の国と聞いていたが、近代的だ。

「そんなもの言えるか!」

レナが切りかかる。骸骨兵は一瞬で砕け散った。

いわゆる、逆切れだ。それを見た残りの骸骨兵は、白旗を上げ、中に入れてくれた。

セキュリティーの意味をなしていない。


俺達は、城壁の内側に入った。

「今のもトラップなのか?」

俺の質問に、答えようとしたアリスが転んだ。

「今のは違うぞ。私が呼び鈴を押したから出て来ただけだぞ。トラップは、私の足に引っかかってる、紐を引っ張ると発動するぞ」

今転んだのは、足を引っかけたからだよな?

「ごめんだぞ。古典的な罠に掛かったぞ」

俺達の目の前にサイクロプス!1つ目の巨人だ。

「ここは~私が行くよ~闇魔法!毒霧だよ~」

マオが毒霧で、サイクロプスを攻撃した。が、効果は無い。

「こいつは、闇魔法に耐性を持っている!」

「耐魔法効果が使われているわ。私とレナさんの出番よ」

レナとセレスが剣で戦う。苦戦するが、なんとか倒す。

表の骸骨とは、一味違うようだ。


マオの毒霧は、絶対的優位ではなかった。

パルムやサイクロプスに防がれた。

だが、変な話だ。北の大国は、東の大国と戦っていた。

東の大国は機械文明だ。耐魔法効果を付ける必要などあるのか?


「私も、おかしいと思うのよ。今のサイクロプス。パンツを履いてたわ。サイクロプスにパンツは必要あるのかしら?」

「ああ、ケインの疑問と、セレスの疑問。確かに、変な話だ」

同列にするな。俺の高度な考えと、エロセレスは同列ではない。

「全ての属性に耐魔法効果など着けられない。動きが重くなるからな」

アプリみたいだな。

「マオの闇属性と光属性は、表裏一体の神聖属性だ。下界で使える奴など、早々は居ない。その闇属性に耐性を付けるのは、無駄な気がする」

「そう言えば、ティナが天界が絡んでいると、言っていた」

「天界だと?それは本当かケイン?」

「ああ、ティナから聞いたから間違いない。戦争なのに、800年前に勇者が呼ばれたのは、天界が絡んでいたからだそうだ」

「そんな!女神さまが下界の戦争なんかに」

アズサの疑問はもっともだ。

女神は下界の守護者だ。あり得ない話だ。だが、事実だ。



「私に考えがあるぞ!」

おい、なにを?なぜ紐を引っ張てるんだ?

「もう一度サイクロプスを呼び出すぞ」

なんだと!?

「レナ、セレス、私の考えが正しいか調べるから、手を出すなだぞ。ダメなら任すぞ」

「ああ、こいつの相手はしんどいが、仕方あるまい」

「パンツを切ってみるわ。中を見てから倒すのよ」

策があるなら、みんなに伝えてからにしてくれ。


サイクロプスが現れた。

「氷魔法!ブリザードだぞ!」

アリスのブリザード、氷属性だ。

効果がある!と、いう事は、闇魔法に耐性があるという事だ。

「思った通りだぞ。この国は、天界からの攻撃を受けていたんだぞ。女神は、神聖属性だぞ。闇と光のどちらかだぞ」

「ティナの話と辻褄が合う。だが、よく天界の攻撃に耐えられたものだな」

「レナ、セレス、後は任せたぞ」

「私に任せて!そのパンツ、叩き斬ってやるわよ」

「ならば私は、命を絶つ!疾風のレナ参る!」

「私も参戦デス!おっぱいミサイルデス!」

「私は指揮をとろう。応援は任せるんだ」

「こいつ!女だわ!グハぁぁぁぁ」

セレスは、股間の確認後にやられた。馬鹿みたいに、上を見上げているからだ。

「ナナ!私を狙っただろう!」

「no!レナが軸線上に入りましたデス」

サイクロプスは倒した。

レナが、セレスの残骸を回収した。



ここが、北の宮殿跡か?

「大分崩れているぞ。結構危ないぞ」

「だが入らない訳にもいかない。チームを分ける。探査チームと、万が一の時に救助するチームだ」

「私は力には自信がある。救助に回ろう」

猛禽類、逃げ足は速いな。

「私は~探査の方だね~」

「私もナナと待機しています。救助に時間停止魔法は有効です」

「よし、俺とアリスとマオで、中に入ろう」

「迷子にならないように、マーキングをしながら行くぞ」

「私は邪魔な瓦礫を~毒で溶かすよね~」


俺達は、宮殿跡に入った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ