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残念世界の残念勇者   作者: XT
25/96

魔王編 ㉕

王都に戻る。

復旧が進んではいるが、王宮は手つかずだ。

アイリスは、街の復興を優先している。良い女王だ。


「婿殿~お早いお帰りで~」

アイリスの濃厚なハグを受ける。

「只今だぞ。お土産に、魔王アズサを連れて来たぞ」

「あら、やだ。公式の場になりましたわ」

エロリスから、女王アイリスへと覚醒する。


「ようこそ、王都へ。歓迎いたしますわ、魔王アズサ様」

「ありがとうございます!アイリス女王陛下」

「魔王様が、こんなにキュートな方とは、思いませんでしたわ」

「て、照れます。私はティナ様から、王都に関しては聞き及んでいました。

 女王陛下は、ティナ様のお話の通り、美しくしいです!こうしてお会いできて、本当にうれしいです」

「はい。アズサさんは、小さいころから王都の話が大好きで、今では魔都一番の、王都フリークです」

「王都の事なら、何でも知っています!聞いてください!」

住人を前に豪語したな?

「良し聞くぞ。王都の街で、生の魚を売ってるのは、何軒だぞ?」

おい、魚は無いだろう。意地悪だぞ。

「3軒です!王都スーパー。王都鮮魚店、王都デパートの3軒です!」

!!!マジか?答えられるのか?

「もう一問だぞ。王都女学院の夏休みは、何時から何時までだぞ?」

「7月10日から9月3日まで。8月10日が登校日です」

!!!!何で知ってる?

「ママ、正解かだぞ?」

って出題者のOBが答えられないのか?

「ママ、私負けちゃったぞ。プリンセス敗北だぞ」

大げさだな。


「待て、まだ私が居る」

ターナ?

「私を倒してから、王都を獲ったと思うがいい」

何の戦いだ?

「昨日放送の王都アニメ『Reこの素晴らしいオーバーですがなにか?』第365話で次回予告タイトルは?」

それはずるいぞ。昨日は遭難して海の上のはずだ。ターナも知ってるだろう?

「答えは『エリリア大地に立つ!』です。王都フリークの私が、遭難ぐらいでアニメを見逃すと、思わないでください!」

なんでだぁ!?

「クッ!まさかこの私が負けるとは・・王都は持っていくがいい」

おい。王都くれたらダメだろ。


「お付きの機械族が、王都放送は受信しています!」

「?お付きだぞ?」

「はい。ここまでイカダを・・・あれ?居ませんね」

「居ませんねではない!一緒に来た奴がいたのか?」

「私にアニメを見せた後、イカダを引っ張る為、海に入ったのですが、何処に行ったのでしょう?」

知るかぁ!


「とにかく捜索ですわ。セイレーンさんにお願いして、海を探しますわ」

「軍の部隊を出させるぞ。レナ、海軍の指揮を執るぞ」

「私は千里眼で探すわね」

「拙者はポセイドンを呼ぶでござる」

どうやら魔都からは、2人で来たようだ。途中、機械族が遭難中に遭難した。


「捜索範囲は24時間で移動可能な範囲だ。機械族なら溺れることはあるまい」

レナが海軍の指揮を執る。

「マスター、バードアイで上空から探索を始めます。範囲はレナさん達の外側です」

「ねぇ様、バードアイ発進」

「ねぇ様、探査範囲確認です」

セイレーンは上空から、潮の流れを考慮に入れた範囲を探査する。

「私は、海の底を千里眼で見るわね」

ピーは沈んでいることを考え、海の底の探査だ。


「私のせいです。浮かれていました」

「大丈夫だぞ。機械族なら死ぬことは無いぞ。必ず見つかるぞ」

そうだ。そう、落ち込むな。

これだけ大規模な捜索だ。すぐ見つかるはずだ。

「パルス、今のうちに、俺たちが聞いた話を聞いてくれ。謎が謎を呼んで、また分からなくなった」

「やっとわしの出番か。機械族一の頭脳のわしが聞けば、答えはズバッと丸わかりじゃ」

俺はパルスに話す。



あれから10時間が立つが、まだ見つけたという報告は無い。

探査範囲は、すでに倍に広がっていた。アズサは、心配で海に来ていた。

「時間はかかるが範囲を広げて捜索をしている。機械族なら大丈夫だ」

落ち込み、心配をするアズサをレナが慰める。

「魚に食われたか、爆散したかもだぞ」

空気を読んでくれ・・今、口にしていい言葉ではない。

「でもおかしいわね?これだけ探しても見つからないという事は、何か見落としているのかしら?」

ピーの疑問はもっともだ。確かにおかしい。何を見落としている?

「もう一度状況の確認だ。最後に見た時の事を教えてくれないか」

「序盤から白熱した展開で、予断は許しません。作画も力が入った名シーンの連続でした」

いや、アニメの話ではない。


「私がアニメを見終わると、「もう少しで王都よ」と言って、イカダから海に入りました。イカダに付けたロープを体に結わくと・・・」

ロープだ!イカダに、くっ付いたままだ!

「レナ!イカダを引き上げるぞ!」


クレーンでイカダが吊り上げられる。

イカダに結わかれたロープの先に、機械族がぶら下がっていた。

「ナナ!ナナではないか!」

イカダを引き上げる船の上で、レナが叫ぶ。

「ナナをご存知ですか!?」

「私の妹だ。400年前の戦いで、魔王に叩きのめされ、海に沈んで以来、行方知れずだった」

「ナナはレナ様の妹!?」

「そうだ。聞いていないのか?」

「メモリがどうのこうので、記憶がバカになったと言っていました。あ!そうです!時折「胸が無い」と言う言葉を懐かしく感じる、と言っていました」

「作業員!イカダをそのまま海に投棄しろ!」

おい。


「レナさん!この機械族は、電池が切れただけのようです」

ナナを引き上げた作業員が、レナに伝えた。

「デッキにあげてくれ!誰か魔道電池を」

ナナがデッキに引き上げられた。


ナナはソバカス巨乳、アメリカ人タイプだ。

レナは、手早くハッチを開けると電池を交換した。

ナナが目覚める。

「ナナ!私だ!レナだ!分かるか?」

「oh!ミラクル貧乳デスね。抉れてます~うぷぷデスね」

喋り方もアメリカンスタイルのジャパンニーズだ。

「・・間違いなく、こいつはナナだ」

レナは、怒りを抑えながら言う。


「ナナ!」

アズサが駆け寄り抱き着いた。

「アズサ!ひどいデス。私ヘルプしました!」

「ごめん!すっかり忘れていました!」

「oh!アズサデス。アズサなら忘れて当然デス」

分かりあえる仲か。

「ケイン、連れて来たぞ、ミーちゃんケーちゃんだぞ。肛門医よりは役に立つぞ」

「ミーです、頭の中を拝見しますね」

「ケーです。痛かったら手を上げてくださいね」

機械族の感情のプロだ。感情も記憶も変わらんだろう。

「NO!ミーはお医者嫌いデス!」

「ああ、私は知っているさ。お前の姉だからな。だからハッチは開けっぱなしだ」

レナはナナの電源を落とす。

黒ずんだ笑顔でレナの顔が笑っていた。


パルスが答えを出したようだ。王都食堂に一同が集まる。

「わしの完璧な答えの前に、ティナ様に質問じゃ。貰った答えで、最後のピースを嵌め、より完璧な答えとなすじゃろう」

「はい。お答えできることは、真実をお話しします」

「サラ族は、まだ生きておるよな?生き残りがおるじゃろ」

そうか!その可能性があったか。流石はパルスだ。

「・・・いいえ。サラ族の方は、魔王を封印する際に全滅しました。生き残りはいません」

「なんじゃと!?・・・ダメじゃケイン。根底から崩れおった。もう、わしには分からん」

くその役にも立たないやつだ。


セレスとトーレフが居ない事に気が付いた。

「トーレフ、ナナを探しに出たまま」

なら、そのうち戻るよな。

「セレスは船だぞ。ブリッジで、舵と戦っていたぞ。剣を抜いて『あなたなんか、怖くないから!かかって来なさい!』って、叫んでいたぞ」

後でミーちゃん、ケーちゃんな。要修理だ。


「では。こんな場ですが、両国の発展と平和を祈って、乾杯ですわ」

「乾杯だぞ!」

「乾杯よ!」

「乾杯だね~」

「完敗」

ターナは、まだ敗北を引きずっていた。気のせいか?ティナの元気がない。


「しかし、王都は凄いです!魔都は狭く、建物もボロボロです」

「今は、再建中ですわ。まだ王宮も手つかずですわよ」

「パパ!ママ!アズサ様の泊まるところだけでも、取り急ぎ建築したら?」

アリッサ、いいことを言うな。

「分かったぞ。王宮の庭に、離れを建築させるぞ」

「私は!お構いなく!」

「そうはいきませんわ。魔都の代表の方にテントは失礼ですわ。アリス、すぐ手配を」

「はいだぞママ!ちょっと行って来るぞ。マオも行くぞ」

「はいな~」

金の力にモノを言わせるつもりだな。


「アズサ様、私たちは、魔王を倒さねばなりません。どのようの魔王を呼び出すか?お考えはありません事?」

「今の手掛かりは、サラ族と考えています。サラ族について調べることが、唯一の手掛かりではないでしょうか?」

「ですわね。ティナ様のご意見は?いかがですか?」

「・・・私は・・それでいいと思います。唯一の手掛かりです」

なんか、変だ。気のせいか?


「では、皆さん、方針が決まりました。私たちは、最優先でサラ族に関する情報を収集します」

「了解だよ!おばぁちゃん!」

「ああ、手掛かりを見つけないとな」

「敗北・・わたしが・・」

ターナ、いつまで引きずってる?


アリスが戻った。獄中3姉妹も連れて来た。

「アズサ様!」

そうだった、お前たちは魔都から来たんだった。

「あなた達は!・・・どなたでしたか!?」

「魔都先鋭部隊の「ローズ」ですよ」

「同じく「シルビア」です」

「同じく「たんぽぽ」ですけどぉ」

「ああ!第160使節団の!よく無事でした!」

こいつらが来たから、俺たちは魔都を敵でないと知った。

意外と役に立つ連中だし、今があるのは、こいつらのおかげカモだな。


「早速ですが、ローズは魔王軍を脱退したいと思いますの」

「私もです」

「私も良いですか?」

おい、大将を前に、何を言い出す?

「魔王様には忠誠を誓った身。ですが王都の勇者様には、食事をごちそうになった恩があります」

「飯は忠誠より重い」

「王都のご飯美味しくて~」

おいおい・・・・

「なるほど!わかりました」

わかるんか?

「食事の恩は命で返せ!これは魔王軍の軍規にもある言葉です。ですが優秀なあなた達に抜けられては、大打撃です。魔王軍、王都派遣戦士の地位で如何でしょうか?」

なるほど、さすがにトップに立つだけの事はある。判断が早く、的確だ。

「私たちは、このまま王都で食事をしても良いと?」

「飯が食えるなら、何処にでも行く!」

「また美味しい、ご飯が食べられます」

「皆さんは優秀ですわ。こちらとしても大助かりですわよ」

助けられたこともあるし、いい戦力になった。


食事が出て来た。

王都食堂なので、大したものは出ない。

パン。リブステーキ。サラダ、コーヒーだ。が、「おお!」と、アズサは声を上げる。

「いや、お恥ずかしいです。卑しいと思われても仕方ありません。美味しそうな料理に、思わず声が出てしまいました」

「喜んでいただけて、何よりだぞ」

「そうですわ。さぁ食べましょう」

「頂きます!美味しい!涙が出そうです」

「皆さん!聞いてください」

ティナが立ち上がる。

「魔都の方達は、500年を結界の中だけで過ごしました。結界の上に建てられた魔都は、まだ4世代です。田畑は少なく、周りは魔獣域です。海は海王が住み、食糧が・・・」

訴えるティナの言葉の途中で、アズサが割って入る。

「ティナ様、良いのです。500年間、ティナ様が食料などの援助をしてくださったから、祖先は生き延びられました。貧乏は苦痛ではありません。苦しい時を共有したからこそのキズナも出来ました」

アズサ・・若いができた人物だ。


「私は女神です。殺生のできない私が提供できるのは、野菜とか果物だけでした。動物の肉は、女神には扱えません」

今、目の前にある、皿の上に乗ってる肉は?

「提供できるたんぱく質が、大豆でした」

扱えないが、フォークとナイフで切るのは良いんだ?

「あ、すみません、私レアはダメなので、はい。女神ですから、血はちょっと・・ミリアムでお願いします。皆さんに、肉を食べていただきたかったです」

ウエイトレスさんに、皿を渡しながら言うか?

「ティナ様!任せてください!このステーキと言う肉の塊を食べて、魔王アズサは、祖先の無念を晴らします」

「お~い、お代わりだぞ。晴らすと言ってる皿に、もう肉が無いぞ」

出来る子だが、やはりこの世界の住人だった。


ナナが戻る。

「レナ、久しぶりですデス。ミーの記憶は甦りましたデス」

カーボーイハット、開発コンセプトはエセアメリカ人だ。

「ナナ、400年ぶりだな。無事でよかった」

「レナもデス。私心配していました。夜も眠れない位心配したデス」

嘘だ。メモリがバカになって、完全に忘れていたはずだ。

「紹介しよう。オリジナル7番機のナナだ。高性能な対人戦闘システムを搭載している」

ナナが手を見せる。指先から銃口が飛び出す。

「私と握手するのは、勇気がいりますデス」

「うぉ!かっこいい」

ターナが蘇った。

「肘と膝には、ミサイルが搭載されてるデス」

004だな。

「ナナは、この世界では珍しく、短時間だが飛行可能だ」

空中戦もできるのか?

「短時間デス。高度2mを7秒間だけデス。777m飛行できますデス」

地味な飛行機能だ。だが1秒で111m移動できるのは武器だ。

「私が疾風を使えば、1秒で112mは移動できる。ジャンプすれば778mは飛べるがな」

「空気抵抗のない体は、羨ましいデス」

自分の胸。巨乳を下から持ち上げ、目線はレナの胸に置きナナは言う。

「・・・貴様、何が言いたい?」

「ノー。400年ぶりデス。レナの乳が無いとは言いませんデス」

明らかに挑発している。

「貴様!表に出ろ!400年前の決着をつけてやる!」

「OK。面白いデス!その抉れた胸に墓標を立ててあげますデス」

「こら、止めるぞ!今は王都と魔都の懇親会だぞ」

「構わん、遣らせておけ。昔からこの二人はこうじゃ」

パルスは落ち着いていた。いつも、こうなのか?

「ああ、会えば必ず、胸があるとかないとかでな」

2人は表に出て行った。


サラ族の情報だが、どこから手を付けていいモノか?

「魔都には、サラ族の写真が残っています。幾つかの文献もあります」

アズサのステーキは、お代わり3皿目に突入していた。

「王都には何も残っていませんわ」

「ティナ、以前に話してたよな。誰が戦争の記憶を封印したか?サラ族なのか?戦争の記憶を封印したのは?」

「はい。そうです。サラ族の方は、戦争の記憶は必要ないと」

「そうか、やはりサラ族か。分かった」

やはりティナは、なにかを隠している。

サラ族は、魔王を封印した際に滅んでいる。

そのサラ族が、戦争の記憶を封印できるはずがない。

理由は分からんが、嘘を付いているのは間違いない。



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