魔王編 ⑳
6月13日。ピーが、眠りから覚めた。
6月15日。マオがピーと、修行の旅に出た。
6月17日。レナが、行方不明になってることに気が付いた。
6月19日。ティナとアリッサが、山籠もりに行った。
6月21日。アイリスが、王都商店街の慰安旅行に行った。
俺は、日記をつけている。至って平和な日が続いていた。
「ケイン、今日は私の母校が、甲死園で戦うぞ」
旬のネタが来た。執筆が準決勝当日だ。
「夏と言えば甲子園だが、この世界でも高校野球が、あるんだ?」
「当然あるぞ。でも数が少ないから、4校で争うぞ」
「時期が少し早くないか?まだ6月だよな」
「梅雨の高校野球、甲死園大会だぞ。夏じゃないぞ」
梅雨の大会か・・よく見ると、甲子園の字も、若干男塾みたいだった。
「応援に行くか?母校だろ?」
「この雨だぞ。観戦には向かないぞ」
外は大荒れの天気だ。修行や山籠もりや、慰安旅行に行った方は大変だ。
「この雨だと中止かな?」
「王都の高校野球に、そんな生易しいのは無いぞ。台風でも、決着がつかないときは、天井無しに延長を戦うぞ」
ハードだ。女の子の世界でも、ここ王都は遠慮なしだ。
「若いころから、体と心を鍛えるぞ。健全な肉体に、健全な精神と健全なエロが身に付くぞ」
王都の女性の強さだな。
「皆さん~ただいま戻ったわよ~」
セレスが戻って来た。
「おお、おかえりだぞ。直ったかだぞ?」
「もう、ばっちりよ。全身がほぼ新品。快適よ」
70%が生ゴミで、リサイクル新品だ。
「って、静かね。誰も居ないの?」
「ああ、それぞれ用事や修行でな、みんなお留守だ」
「あら、残念。セイレーンたちも直ったから、遊びに来ないかって」
「行くぞ!私たちも暇してたぞ」
6月22日。来年3月に魔王が来る。俺たちは戦いに備え、日々の鍛錬を怠らない。
「ケイン、何してるんだぞ?」
「ああ、今日の分の日記を書いておいた。これで遊びに行ける」
俺達は、セイレーンのドックに行くことにした。
雨がひどい。
「造形氷魔法 雨合羽だぞ」
造形魔法とは、形あるものを、氷で作り出す魔法だ。アリスが、最近覚えた。
「この雨合羽は、氷でできてるぞ。魔法の氷だから、雨ぐらいでは溶けないぞ」
アリスは、合羽を羽織る。氷だが柔らかく、ビニールで出来ているように見える。
「さぁ、行くぞ。雨の中の進軍だぞ」
俺とセレスは、普通の傘をさす。
王宮の庭は、手入れが行き届いている。機械族の職人が、労を惜しまず綺麗にしている。この大雨の中も、庭に水撒きをしていた。
「あいつ、後で修理に出すぞ。頭のネジが緩んでるぞ」
たぶん、お前も緩んでるから修理が必要だな。
「私だぞ?大丈夫だぞ。頭はしっかりしている方だぞ。ちょっと寒くて、回転が悪くなってるだけだぞ」
当たり前だ。氷を身に纏ってるんだ。寒く無いはずがない。
王都の西門を出ると、海までは、松林の中を通る1本道だ。この松林が防風林に成っている。
「ケイン、寒いぞ・・寝たら死ぬぞ」
唇が紫で、がちがち歯を鳴らしていた。
「脱げばいいのよ。その氷合羽」
セレスが当たり前のことを言う。修理は上手くいったようだ。
「そうかだぞ!気が付かなかったぞ。ケイン、相合傘だぞ」
合羽を脱ぎ捨てると、俺の傘に入って来た。
前から人が来る。深紅の和服に身を包んだ、女性だ。
和傘をさし、しなしなと歩く姿は、品の良さが滲み出ていた。
「王都の外で、人が居るのは珍しいぞ」
王都の外で暮らすのは機械族だけだ。オリジナル以外の機械族には、見分けのために、手首に銀色のブレスレットが装着されている。
この女性は人間だ。
すれ違いざまに、小首をかしげた会釈をする。
仕草の一つ一つが鮮麗されていた。単なる会釈が美しかった。
俺は、挨拶を忘れ、立ち止まり、身惚れていた。
「ケイン、ケイン!どうしたぞ?」
「ああ、今の女性・・・。」
「綺麗な方ね。女神とは違う貫禄があったわね」
「ケインは、ああいうのが好きかだぞ」
不味い、奥さんの前だった。
「・・・何やら怪しげな感じがしたからな」
「確かに、只モノではないわ」
ナイスだセレス!お前、いい感じに直ってきたな。
「見たことのない人だぞ。何者だぞ?」
ああ、何者だろう?
ーーーーーー松林の出口ーーーーーー
「どうだった?」
髭を生やした屈強な男が、女に問う。
「間違いないわね。あの子よ」
和服美人の女は、肩に傘の柄を置くと振り返り、遠く離れたケインたちを見るように答える。
「仕事なんだぜ、わかっているよな」
帽子をかぶった痩せ顔の男は、加えたタバコを吹かしながら言った。
男は二人だ。
「ええ、私たちはプロだもん。仕事は仕事。行きましょう。用事は済んだわ」
3人は、雲をかき消すように、その場から消える。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「やっほーーーーーーー」
大雨の中、海に向かって叫ぶ。
知らないやつが見たら、まるで馬鹿だ。
「ケイン殿~今開けるでござるよ」
スピーカーか?トーレフの声が聞こえた。
砂浜が盛り上がる。円筒形の大きな筒が、現れた。
前面部が左右に開く。
「エレベーターでござるよ。6人迄は乗るでござる」
なるほど、これで地下まで行くのか。
「こんな良いのが、あったのね」
「セレスは、此処から来たんだよな?」
「ええ、でも私は、非常階段だったわよ」
「まだ降りてくぞ。どこまで潜るんだぞ」
「非常用の階段を全力疾走。登りきるまで6時間かかったわよ」
エレベーターは使わしてもらえなかったのか。嫌われてる?
エレベーターが止まる。扉が開くと、まるで特撮の科学基地だ。
セイレーン本体の周りには足場やクレーン。大型の作業機械が立ち並んでいた。
「よく来たてくれたでござるよ。・・・3人でござるか?」
「ああ、みんなそれぞれ用事で、俺達しかいなかった」
「そうでござったか。忙しいのに済まなかったでござるな。実は、困った事になったでござるよ。セレス殿に、取り急ぎ来るように、伝言を頼んだでござる」
「いや、遊びに来いと言われた」
「あら?取り急ぎだったの?遊びに来いって、言われた気がしたのよ」
ゴミ70%の性能を、遺憾なく発揮したな。
「あ!あれセイレーンだぞ!」
右側の居住スペースに、セイレーンが居る。
ソファーに腰かけた、支援機の前にしゃがんでいた。脚は人型のものだ。
「ケイン様、マスターようこそ」
敵から様に昇格していた。
「今、ルピとルカの電池交換をやろうと思って」
そうか、なら見ていては悪いな。俺たちは向こうに行ってるよ。
「ケイン、いえ、マスター様。私も電池の交換が必要なので、ご許可をお願いします」
随分と改まったセレスだ。
「ああ、いいよ。自分で出来るのか」
「よし!」
セレスがガッツポーズだ。
「許可があれば、セルフでいけるわ」
嬉しそうだ。
「ケイン殿、こちらに来てもらって、いいでござるか?」
トーレフに呼ばれた。
「私は、向こうで電池交換してくるわ」
「私は、見に行くぞ」
セレスが「ヴェ?」って顔をしたが、アリスは気にしなかった。
俺は、トーレフの元に行く。
「敵の残骸を回収したでござる。これが解析の結果でござるよ」
デスプレイに表示された、意味不明の単語とグラフ。
ここは勇者として、わかりませんでは、格好が付かない。
「なるほど、これは興味深いな」
「そうでござろう。ここから分かることは、敵はセイレーンをスパイしながら、陸の覇王を作ったでござるよ」
まだ、ごまかせそうだ。
「ティナの情報通りだ。セイレーンを模した、と言う事だな」
「セイレーンの素材の中の、このレアメタルは、カモミールには存在しないでござる」
「敵には無い素材を、か。作りは同じでも、素材の差が有るという事だよな」
「そこでござる!流石は勇者でござる。呑み込みが早いでござるよ」
くそ、話を合わすしかなくなった。
「いきなりでござるが、結論でござる」
よし、結論には相槌でごまかせる。俺の勝ちだ。
「奴らの狙いは、このレアメタルを作り出せる、レプリケータシステムでござる」
「うん、そうだな」
「ここが狙われるでござるよ」
「ああ、大変だ・・なんだと!」
「拙者の話、理解していたでござるか?」
ワニの冷たい目線・・初めて体験した。
ワニの強固な顎は、なんでもかみ砕く。
トーレフは、俺にも分かるように、かみ砕いた言葉で話してくれた。
セイレーンと、陸の覇王の違いは、内部構造ではなく、素材に有った。
セイレーンのほうが、強度が圧倒的に高いのだ。
800年前に来た、賢者の作ったレプリケーターシステム。
恐らくは、賢者の生きていた世界が、基準だったのだろう。
カモミールにない素材も生み出せる。
それが、セイレーンと陸の覇王の、強度の差となっていた。
「今回の戦いのスキャンは、陸の覇王との違いを探していたでござる。たぶん素材の事もバレたでござる」
「だが、バレても、ここが襲われるとは?」
「これでござる」
ハエ?
「セレスが捕まえたでござるよ」
このハエ、機械だと!?
「スパイのハエ、スハエでござる」
上手くないから。
「ここの情報は、漏れたと考えるべきでござる」
「ここを攻められたら、まずいな・・・どうする?」
「どうするも、こうするもないわ!こんなとこ、守るに守れん」
パルス。
「守れんのなら、攻めるしかあるまい」
「だが、セイレーンの本体は?」
「大丈夫じゃ。トーレフの機転で、先に直した再生システムと、レプリケーターが役に立った」
「セイレーン本体は、二日で修理が終わるでござるよ」
なら行けるな?戦うか?
「ケインさん、お待たせしました」
セイレーンと、ルピ、ルカだ。
「マスターの旦那様、ご無沙汰」
「マスターの旦那様、お久です」
ルピもすっかり、直ったようだな。
「ここの再生システムは、素晴らしいでござるよ。それだけに敵の手に渡すと、大変でござる」
ああ、パルスの言うように、数が居ない俺達には、ここを守るのは厄介そうだ。
討ってでよう!みんなを招集だ!
「ダメだぞ、間に合わなかったぞ。見るぞ」
アリスがモニターを指さす。
外の映像が、モニターに映し出されていた。
黒いロボットが、隊列を組み、浜辺をこっちに向かって進軍している。
黒いロボットたちは、お洒落なカラフルな傘をさしてやがる。
「もう来たのか?」
「仲間を集めている暇は、なさそうでござるな」
「ちょっと見るぞ。あの先頭に居るの、レナだぞ」
「マジか?アップにできるか?」
「ルカ、映像を拡大してください」
「レナだ」
「あいつ捕まって改造されたぞ。目が逝ってるぞ」
「セイレーンは、動かせないのか?」
「後2日は無理でござる。早くて40時間後でござるよ」
どうする?ここを取られたら不味い。
今のメンバーの戦力・・って、アリスとセレスだけしかいない!?
「ごめんだぞケイン。セレスの電池交換で遊んだぞ。今、煙吐いて止まってるぞ」
なんだとぉ!少ない戦力が半減した。
「敵総数23000。誤差プラマイ2000」
「最低21000から最大25000です」
またとんでもない数だな。
「やつらは良いぞ。工場でいくらでも生産できるぞ。私たちは産んでから育てるぞ。時間がかかるぞ。育成費や教育費もかかるぞ」
ロボットの利点だ。数に劣る俺たちに、最大の利で攻めてきている。
「女神に援助してもらえないかだぞ?」
「無理でござるよ。ここは耐神設計でござる。念は届かないでござるよ」
それに対魔王軍だと援護は期待できない。ティナですら、情報を出さなかったんだからな。
「脱出だけなら可能でござる。すべてを爆破して、放棄するでござるか?」
ここの放棄は、今後の事を考えると最終手段だ。だが、討って出るにしても、戦力不足。
籠城?本体が動けるようになるまで耐えるか?だが、それは侵入を許すことになる。そして、基地内に侵入した敵は、セイレーン本体では攻撃できない。
「現状、わしらの勝ち目はゼロじゃ」
軍師が速攻投げ出した。
何処か広い場所に奴らを誘導し、アリスのブリザードで一網打尽。
今、考えられる策はこれしかない。
「トーレフ、広い場所は無いか?奴らを閉じ込められる場所だ」
「あるでござるよ!セイレーン本体の発進プールでござる。広さは、丸々ワンフロア分。高さも50mはあるでござる」
そこだ!
「うむ、わしも考えておった!誘導作戦じゃ!」
お前、今さっき投げたろ?
「作戦を確認する。奴らをあえて招き入れる。そしてプールに誘導して、アリスのブリザードだ」
「ワシの策と全く同じじゃ。わしらの勝率は95%じゃ」
0から95に跳ね上がった。
「拙者たちは、逃げながら奴らを誘導するでござる」
「完璧だ!すぐ準備にかかろう」
「あ、あの・・・」
どうしたセイレーン?
「地下の発進プールに行くには、ココ・・通ります」
なんだとぉぉ!!
「本体は、下降エレベーターを使う」
「作業員は、向こうの階段です」
「ここは人間が入ることを想定してません。内部や、外部への通路は、建造当時のメンテナンス用です。迂回ルートとかは、ありません」
ルピとルカ、セイレーンの説明だが、ここを通られたら意味がない。
「ここに奴らの目的のものがある。ここ迄来られたら、意味がない」
「うむ。思わぬ落とし穴じゃ。他に策は無いのぉ」
っか、考えろよ。策が無ければ、ただの腐さったロリばばだ。
「ケイン!大変だぞ」
どうしたアリス?
「モニターにテロップが流れたぞ。私の母校が負けたぞ」
おい。
「下手すると最後の大会だったぞ。乙女の夢はついえたぞ」
縁起でもない。俺が魔王を倒せば、来年もある。
「魔王どころか、ここで最後の時を迎えるかもだぞ。今、絶体絶命だぞ」
理解していて、高校野球か?
「私だって状況の把握ぐらいできるぞ。勝利への道は、険しいぞ。細く長い道だぞ。この窮地を脱して、あれやこれやと危機を乗り越えて、やっと魔王を倒すぞ。そして、来年こそ、1回戦突破だぞ。遥か遠い道のりだぞ」
・・・・そうだな。その通りだ。流石は、俺の奥さんだ。
「見るでござる。レナ殿が地面の匂いを嗅いでるでござる」
「この真上じゃと?レナの奴、わしらの匂いに気が付いたか?」
「ここがバレるのも、時間の問題です」
ああ、奴らは気が付くだろうな。だが、俺は策が見つかった。俺たちの勝ちだ。
「非常階段のゲートを開けろ!」
セレスが昇った階段だ。セレスのスピードで6時間かかった非常階段だ、広くはない。せいぜい2~3列で降りて来るしかない。
奴らが全部階段に入ったら、地上側の出入り口を閉鎖する。
適当に奥まで来た時に、アリスのブリザードをお見舞いだ。
逃げ場所は無い。階段で凍り付いて貰おう。
「セレスが6時間かけて登った階段だぞ。長さは相当なものだぞ」
そうだ、広くなくてもいい。細く長い道があればいいんだ。
「作戦開始でござる」
トーレフがスイッチを押すと、浜辺と森の境にゲートがせり上がる。
非常階段の出入り口だ。
「レナが気が付いたぞ。入り口で匂いを嗅いで、安全確認してるぞ」
どんな改造を受けたんだ?犬か?
「こっちの非常階段の中に、セレスねぇさんのパンツを置いてきました。脱がしたてです」
「ナイスだぞセイレーン。いい餌に成るぞ。これでレナは突入するはずだぞ」
レナが何かに気が付いたようだ。にたりと笑った。
「レナが階段に入ったぞ。成功だぞ!」
ああ、ロボットたちも続いたな。第一段階成功だ。
「ここは地下2200mにあるでござる。階段の長さは3倍近い6500m。
1mに2人が2列で、100m400人。敵の総数25000人は、6300mに収まる計算でござる」
「ワシの計算では、最後の敵が突入するまで、4時間20分かかると見た。ウノで時間つぶしゃ!」
おい。
「拙者は、セレス殿の修理をするでござるよ」
「私たちは、モニターで階段の監視をします」
「ケイン、私は大量の魔力を使いうぞ。6500mの階段を凍らせなくてはいけないぞ。愛が欲しいぞ。愛で私の魔力を増幅するぞ」
と言う訳だ。パルス、一人で楽しんでてくれ。
居住スペースのソファーに、並んで座る。
こんな時だが、アリスの魔力がHで増幅するなら、今はHが優先だ。
「今度は弟が欲しいぞ」
ああ、行くぞアリス!久々の夫婦共同作業だ!
「お腹一杯だぞ。魔力充分だぞ」
おお、俺は魔力ゼロだ。。全部吸い取られた。
「ケインさん、レナさんが5500m地点を通過です」
あれから3時間40分か。ほぼ予定通りだな。
「地上の方は、どうなっている?」
「マスターの旦那様、入る順番で、譲り合いやお礼を言い合って、予定より若干の遅れ」
「マスターの旦那様、譲り合い精神と、感謝の気持ちが、プログラムされているようです」
買い物かごに、割烹着とか、譲り合い精神とか、いらんプログラムをされた連中だ。
「良し!最後の敵が侵入した!トーレフ!地上側閉鎖じゃ!アリス!第2段階じゃ!わしの策に敗北は無い!」
一人ウノは楽しかったか軍師?
「レナねぇさん、200mまで接近です」
アリス、もう少し引き付けろ、レナのバカ面を拝んでやる。
「OKだぞ。いつでも撃てる状態だぞ」
レナだ!なるほど、バカ面に成ってやがる。
ここで凍り付いて反省しやがれ!行けアリス!!
「氷魔法ブリザードだぞ!だぞ!だぞ!だぞ!だぞぉぉぉ~~」
「換気システム逆作動」
「冷気は逃がさないです」
「2300mまで凍結を確認しました」
「よし、次は地上側だ。エレベーターに乗るぞアリス」
「はぁはぁはぁ・・だぞ。いくぞ」
流石にブリザードの5連発だ。アリスの魔力も残り少ないか?
俺はアリスに肩を貸し、エレベータに乗った。
「ケイン、追加の愛が欲しいぞ。上につくまで、私を愛で満たすぞ」
おお!この際いろいろ言ってられるか!
若さの回復力、見せてやる!行くぞアリス!エレベーター内ラブだ!
上についた。…アリスはぐったりしていた。
「ごめんだぞ。魔力も体力もゼロだぞ。燃え尽きたぞ。真っ白だぞ」
!?魔力の増幅はどうした?
「やっぱ、H増幅は、サキュバス属性持ちのママだけだったぞ。わたしがHしても、体力が減るだけだったぞ。もうだめだぞ。私、先に落ちるぞ」
ネッゲーのチャットみたいな落ち方するな!
くそ!頼みのアリスが、落ちちまった。
このままでは、奴らが地上ゲートを壊して出てくる。
策が失敗だ。
「ケイン~~~」
マオ?
「やはり、ここだったのね」
ピーか?
「ピーちゃんが~ケインやアリスと~テレパシーが繋がらないって~心配で戻って来たんだよ~」
どうしてここが分かった?
「千里眼よ。敵がいたので来てみたの」
くそぉ!!ナイスだ!ナイスすぎる!
「うん、わかったよ~この中に魔法を撃てばいいんだね~」
ああ頼む
「トーレフ!ゲートオープンだ!」
「了解でござる」
スピーカーから、トーレフの声が聞こえると同時に、ゲートが開く。
「闇魔法!毒霧だよ!!」
中から出てこようとしたロボットが、真っ先に溶けた。
「連発で行くよ~毒霧~毒霧~だよ~だよ~だよだよだよ~」
プラチナチケットの特権で、マオには使用回数上限が無い。撃ち放題だ!
「ケインさん、聞こえますか?階段内の敵、殲滅成功です」
良し!俺たちの3連勝だ!!
マオは毒を浄化した。
先頭で凍っていたレナを掘り出し、トーレフが見てくれている。
「今回の攻防は、わしらの勝ちじゃった。だが奴らは、またここを狙うじゃろう。先手必勝じゃ!セイレーン本体の修復が終わり次第、赤道の魔王軍に殲滅戦を行う!」
次回予告 800年の戦いに終結。




