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残念世界の残念勇者   作者: XT
20/96

魔王編 ⑳

6月13日。ピーが、眠りから覚めた。

6月15日。マオがピーと、修行の旅に出た。

6月17日。レナが、行方不明になってることに気が付いた。

6月19日。ティナとアリッサが、山籠もりに行った。

6月21日。アイリスが、王都商店街の慰安旅行に行った。

俺は、日記をつけている。至って平和な日が続いていた。


「ケイン、今日は私の母校が、甲死園で戦うぞ」

旬のネタが来た。執筆が準決勝当日だ。

「夏と言えば甲子園だが、この世界でも高校野球が、あるんだ?」

「当然あるぞ。でも数が少ないから、4校で争うぞ」

「時期が少し早くないか?まだ6月だよな」

「梅雨の高校野球、甲死園大会だぞ。夏じゃないぞ」

梅雨の大会か・・よく見ると、甲子園の字も、若干男塾みたいだった。


「応援に行くか?母校だろ?」

「この雨だぞ。観戦には向かないぞ」

外は大荒れの天気だ。修行や山籠もりや、慰安旅行に行った方は大変だ。

「この雨だと中止かな?」

「王都の高校野球に、そんな生易しいのは無いぞ。台風でも、決着がつかないときは、天井無しに延長を戦うぞ」

ハードだ。女の子の世界でも、ここ王都は遠慮なしだ。

「若いころから、体と心を鍛えるぞ。健全な肉体に、健全な精神と健全なエロが身に付くぞ」

王都の女性の強さだな。


「皆さん~ただいま戻ったわよ~」

セレスが戻って来た。

「おお、おかえりだぞ。直ったかだぞ?」

「もう、ばっちりよ。全身がほぼ新品。快適よ」

70%が生ゴミで、リサイクル新品だ。

「って、静かね。誰も居ないの?」

「ああ、それぞれ用事や修行でな、みんなお留守だ」

「あら、残念。セイレーンたちも直ったから、遊びに来ないかって」

「行くぞ!私たちも暇してたぞ」

6月22日。来年3月に魔王が来る。俺たちは戦いに備え、日々の鍛錬を怠らない。

「ケイン、何してるんだぞ?」

「ああ、今日の分の日記を書いておいた。これで遊びに行ける」

俺達は、セイレーンのドックに行くことにした。


雨がひどい。

「造形氷魔法 雨合羽だぞ」

造形魔法とは、形あるものを、氷で作り出す魔法だ。アリスが、最近覚えた。

「この雨合羽は、氷でできてるぞ。魔法の氷だから、雨ぐらいでは溶けないぞ」

アリスは、合羽を羽織る。氷だが柔らかく、ビニールで出来ているように見える。

「さぁ、行くぞ。雨の中の進軍だぞ」

俺とセレスは、普通の傘をさす。


王宮の庭は、手入れが行き届いている。機械族の職人が、労を惜しまず綺麗にしている。この大雨の中も、庭に水撒きをしていた。

「あいつ、後で修理に出すぞ。頭のネジが緩んでるぞ」

たぶん、お前も緩んでるから修理が必要だな。

「私だぞ?大丈夫だぞ。頭はしっかりしている方だぞ。ちょっと寒くて、回転が悪くなってるだけだぞ」

当たり前だ。氷を身に纏ってるんだ。寒く無いはずがない。


王都の西門を出ると、海までは、松林の中を通る1本道だ。この松林が防風林に成っている。

「ケイン、寒いぞ・・寝たら死ぬぞ」

唇が紫で、がちがち歯を鳴らしていた。

「脱げばいいのよ。その氷合羽」

セレスが当たり前のことを言う。修理は上手くいったようだ。

「そうかだぞ!気が付かなかったぞ。ケイン、相合傘だぞ」

合羽を脱ぎ捨てると、俺の傘に入って来た。


前から人が来る。深紅の和服に身を包んだ、女性だ。

和傘をさし、しなしなと歩く姿は、品の良さが滲み出ていた。

「王都の外で、人が居るのは珍しいぞ」

王都の外で暮らすのは機械族だけだ。オリジナル以外の機械族には、見分けのために、手首に銀色のブレスレットが装着されている。

この女性は人間だ。


すれ違いざまに、小首をかしげた会釈をする。

仕草の一つ一つが鮮麗されていた。単なる会釈が美しかった。

俺は、挨拶を忘れ、立ち止まり、身惚れていた。


「ケイン、ケイン!どうしたぞ?」

「ああ、今の女性・・・。」

「綺麗な方ね。女神とは違う貫禄があったわね」

「ケインは、ああいうのが好きかだぞ」

不味い、奥さんの前だった。

「・・・何やら怪しげな感じがしたからな」

「確かに、只モノではないわ」

ナイスだセレス!お前、いい感じに直ってきたな。

「見たことのない人だぞ。何者だぞ?」

ああ、何者だろう?


ーーーーーー松林の出口ーーーーーー

「どうだった?」

髭を生やした屈強な男が、女に問う。

「間違いないわね。あの子よ」

和服美人の女は、肩に傘の柄を置くと振り返り、遠く離れたケインたちを見るように答える。

「仕事なんだぜ、わかっているよな」

帽子をかぶった痩せ顔の男は、加えたタバコを吹かしながら言った。

男は二人だ。

「ええ、私たちはプロだもん。仕事は仕事。行きましょう。用事は済んだわ」

3人は、雲をかき消すように、その場から消える。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「やっほーーーーーーー」

大雨の中、海に向かって叫ぶ。

知らないやつが見たら、まるで馬鹿だ。


「ケイン殿~今開けるでござるよ」

スピーカーか?トーレフの声が聞こえた。

砂浜が盛り上がる。円筒形の大きな筒が、現れた。

前面部が左右に開く。

「エレベーターでござるよ。6人迄は乗るでござる」

なるほど、これで地下まで行くのか。


「こんな良いのが、あったのね」

「セレスは、此処から来たんだよな?」

「ええ、でも私は、非常階段だったわよ」

「まだ降りてくぞ。どこまで潜るんだぞ」

「非常用の階段を全力疾走。登りきるまで6時間かかったわよ」

エレベーターは使わしてもらえなかったのか。嫌われてる?


エレベーターが止まる。扉が開くと、まるで特撮の科学基地だ。

セイレーン本体の周りには足場やクレーン。大型の作業機械が立ち並んでいた。


「よく来たてくれたでござるよ。・・・3人でござるか?」

「ああ、みんなそれぞれ用事で、俺達しかいなかった」

「そうでござったか。忙しいのに済まなかったでござるな。実は、困った事になったでござるよ。セレス殿に、取り急ぎ来るように、伝言を頼んだでござる」

「いや、遊びに来いと言われた」

「あら?取り急ぎだったの?遊びに来いって、言われた気がしたのよ」

ゴミ70%の性能を、遺憾なく発揮したな。


「あ!あれセイレーンだぞ!」

右側の居住スペースに、セイレーンが居る。

ソファーに腰かけた、支援機の前にしゃがんでいた。脚は人型のものだ。


「ケイン様、マスターようこそ」

敵から様に昇格していた。

「今、ルピとルカの電池交換をやろうと思って」

そうか、なら見ていては悪いな。俺たちは向こうに行ってるよ。

「ケイン、いえ、マスター様。私も電池の交換が必要なので、ご許可をお願いします」

随分と改まったセレスだ。

「ああ、いいよ。自分で出来るのか」

「よし!」

セレスがガッツポーズだ。

「許可があれば、セルフでいけるわ」

嬉しそうだ。


「ケイン殿、こちらに来てもらって、いいでござるか?」

トーレフに呼ばれた。

「私は、向こうで電池交換してくるわ」

「私は、見に行くぞ」

セレスが「ヴェ?」って顔をしたが、アリスは気にしなかった。

俺は、トーレフの元に行く。


「敵の残骸を回収したでござる。これが解析の結果でござるよ」

デスプレイに表示された、意味不明の単語とグラフ。

ここは勇者として、わかりませんでは、格好が付かない。

「なるほど、これは興味深いな」

「そうでござろう。ここから分かることは、敵はセイレーンをスパイしながら、陸の覇王を作ったでござるよ」

まだ、ごまかせそうだ。

「ティナの情報通りだ。セイレーンを模した、と言う事だな」

「セイレーンの素材の中の、このレアメタルは、カモミールには存在しないでござる」

「敵には無い素材を、か。作りは同じでも、素材の差が有るという事だよな」

「そこでござる!流石は勇者でござる。呑み込みが早いでござるよ」

くそ、話を合わすしかなくなった。

「いきなりでござるが、結論でござる」

よし、結論には相槌でごまかせる。俺の勝ちだ。

「奴らの狙いは、このレアメタルを作り出せる、レプリケータシステムでござる」

「うん、そうだな」

「ここが狙われるでござるよ」

「ああ、大変だ・・なんだと!」

「拙者の話、理解していたでござるか?」

ワニの冷たい目線・・初めて体験した。


ワニの強固な顎は、なんでもかみ砕く。

トーレフは、俺にも分かるように、かみ砕いた言葉で話してくれた。


セイレーンと、陸の覇王の違いは、内部構造ではなく、素材に有った。

セイレーンのほうが、強度が圧倒的に高いのだ。

800年前に来た、賢者の作ったレプリケーターシステム。

恐らくは、賢者の生きていた世界が、基準だったのだろう。

カモミールにない素材も生み出せる。

それが、セイレーンと陸の覇王の、強度の差となっていた。


「今回の戦いのスキャンは、陸の覇王との違いを探していたでござる。たぶん素材の事もバレたでござる」

「だが、バレても、ここが襲われるとは?」

「これでござる」

ハエ?

「セレスが捕まえたでござるよ」

このハエ、機械だと!?

「スパイのハエ、スハエでござる」

上手くないから。

「ここの情報は、漏れたと考えるべきでござる」

「ここを攻められたら、まずいな・・・どうする?」


「どうするも、こうするもないわ!こんなとこ、守るに守れん」

パルス。

「守れんのなら、攻めるしかあるまい」

「だが、セイレーンの本体は?」

「大丈夫じゃ。トーレフの機転で、先に直した再生システムと、レプリケーターが役に立った」

「セイレーン本体は、二日で修理が終わるでござるよ」

なら行けるな?戦うか?


「ケインさん、お待たせしました」

セイレーンと、ルピ、ルカだ。

「マスターの旦那様、ご無沙汰」

「マスターの旦那様、お久です」

ルピもすっかり、直ったようだな。

「ここの再生システムは、素晴らしいでござるよ。それだけに敵の手に渡すと、大変でござる」

ああ、パルスの言うように、数が居ない俺達には、ここを守るのは厄介そうだ。

討ってでよう!みんなを招集だ!



「ダメだぞ、間に合わなかったぞ。見るぞ」

アリスがモニターを指さす。

外の映像が、モニターに映し出されていた。

黒いロボットが、隊列を組み、浜辺をこっちに向かって進軍している。

黒いロボットたちは、お洒落なカラフルな傘をさしてやがる。

「もう来たのか?」

「仲間を集めている暇は、なさそうでござるな」

「ちょっと見るぞ。あの先頭に居るの、レナだぞ」

「マジか?アップにできるか?」

「ルカ、映像を拡大してください」

「レナだ」

「あいつ捕まって改造されたぞ。目が逝ってるぞ」

「セイレーンは、動かせないのか?」

「後2日は無理でござる。早くて40時間後でござるよ」

どうする?ここを取られたら不味い。

今のメンバーの戦力・・って、アリスとセレスだけしかいない!?

「ごめんだぞケイン。セレスの電池交換で遊んだぞ。今、煙吐いて止まってるぞ」

なんだとぉ!少ない戦力が半減した。


「敵総数23000。誤差プラマイ2000」

「最低21000から最大25000です」

またとんでもない数だな。

「やつらは良いぞ。工場でいくらでも生産できるぞ。私たちは産んでから育てるぞ。時間がかかるぞ。育成費や教育費もかかるぞ」

ロボットの利点だ。数に劣る俺たちに、最大の利で攻めてきている。


「女神に援助してもらえないかだぞ?」

「無理でござるよ。ここは耐神設計でござる。念は届かないでござるよ」

 それに対魔王軍だと援護は期待できない。ティナですら、情報を出さなかったんだからな。


「脱出だけなら可能でござる。すべてを爆破して、放棄するでござるか?」

ここの放棄は、今後の事を考えると最終手段だ。だが、討って出るにしても、戦力不足。

籠城?本体が動けるようになるまで耐えるか?だが、それは侵入を許すことになる。そして、基地内に侵入した敵は、セイレーン本体では攻撃できない。

「現状、わしらの勝ち目はゼロじゃ」

軍師が速攻投げ出した。


何処か広い場所に奴らを誘導し、アリスのブリザードで一網打尽。

今、考えられる策はこれしかない。

「トーレフ、広い場所は無いか?奴らを閉じ込められる場所だ」

「あるでござるよ!セイレーン本体の発進プールでござる。広さは、丸々ワンフロア分。高さも50mはあるでござる」

そこだ!

「うむ、わしも考えておった!誘導作戦じゃ!」

お前、今さっき投げたろ?


「作戦を確認する。奴らをあえて招き入れる。そしてプールに誘導して、アリスのブリザードだ」

「ワシの策と全く同じじゃ。わしらの勝率は95%じゃ」

0から95に跳ね上がった。

「拙者たちは、逃げながら奴らを誘導するでござる」

「完璧だ!すぐ準備にかかろう」

「あ、あの・・・」

どうしたセイレーン?

「地下の発進プールに行くには、ココ・・通ります」

なんだとぉぉ!!


「本体は、下降エレベーターを使う」

「作業員は、向こうの階段です」

「ここは人間が入ることを想定してません。内部や、外部への通路は、建造当時のメンテナンス用です。迂回ルートとかは、ありません」

ルピとルカ、セイレーンの説明だが、ここを通られたら意味がない。

「ここに奴らの目的のものがある。ここ迄来られたら、意味がない」

「うむ。思わぬ落とし穴じゃ。他に策は無いのぉ」

っか、考えろよ。策が無ければ、ただの腐さったロリばばだ。


「ケイン!大変だぞ」

どうしたアリス?

「モニターにテロップが流れたぞ。私の母校が負けたぞ」

おい。

「下手すると最後の大会だったぞ。乙女の夢はついえたぞ」

縁起でもない。俺が魔王を倒せば、来年もある。

「魔王どころか、ここで最後の時を迎えるかもだぞ。今、絶体絶命だぞ」

理解していて、高校野球か?

「私だって状況の把握ぐらいできるぞ。勝利への道は、険しいぞ。細く長い道だぞ。この窮地を脱して、あれやこれやと危機を乗り越えて、やっと魔王を倒すぞ。そして、来年こそ、1回戦突破だぞ。遥か遠い道のりだぞ」

 ・・・・そうだな。その通りだ。流石は、俺の奥さんだ。


「見るでござる。レナ殿が地面の匂いを嗅いでるでござる」

「この真上じゃと?レナの奴、わしらの匂いに気が付いたか?」

「ここがバレるのも、時間の問題です」

ああ、奴らは気が付くだろうな。だが、俺は策が見つかった。俺たちの勝ちだ。



「非常階段のゲートを開けろ!」

セレスが昇った階段だ。セレスのスピードで6時間かかった非常階段だ、広くはない。せいぜい2~3列で降りて来るしかない。

奴らが全部階段に入ったら、地上側の出入り口を閉鎖する。

適当に奥まで来た時に、アリスのブリザードをお見舞いだ。

逃げ場所は無い。階段で凍り付いて貰おう。

「セレスが6時間かけて登った階段だぞ。長さは相当なものだぞ」

そうだ、広くなくてもいい。細く長い道があればいいんだ。


「作戦開始でござる」

トーレフがスイッチを押すと、浜辺と森の境にゲートがせり上がる。

非常階段の出入り口だ。

「レナが気が付いたぞ。入り口で匂いを嗅いで、安全確認してるぞ」

どんな改造を受けたんだ?犬か?

「こっちの非常階段の中に、セレスねぇさんのパンツを置いてきました。脱がしたてです」

「ナイスだぞセイレーン。いい餌に成るぞ。これでレナは突入するはずだぞ」

レナが何かに気が付いたようだ。にたりと笑った。

「レナが階段に入ったぞ。成功だぞ!」

ああ、ロボットたちも続いたな。第一段階成功だ。


「ここは地下2200mにあるでござる。階段の長さは3倍近い6500m。

 1mに2人が2列で、100m400人。敵の総数25000人は、6300mに収まる計算でござる」

「ワシの計算では、最後の敵が突入するまで、4時間20分かかると見た。ウノで時間つぶしゃ!」

おい。

「拙者は、セレス殿の修理をするでござるよ」

「私たちは、モニターで階段の監視をします」

「ケイン、私は大量の魔力を使いうぞ。6500mの階段を凍らせなくてはいけないぞ。愛が欲しいぞ。愛で私の魔力を増幅するぞ」

と言う訳だ。パルス、一人で楽しんでてくれ。


居住スペースのソファーに、並んで座る。

こんな時だが、アリスの魔力がHで増幅するなら、今はHが優先だ。

「今度は弟が欲しいぞ」

ああ、行くぞアリス!久々の夫婦共同作業だ!


「お腹一杯だぞ。魔力充分だぞ」

おお、俺は魔力ゼロだ。。全部吸い取られた。

「ケインさん、レナさんが5500m地点を通過です」

あれから3時間40分か。ほぼ予定通りだな。

「地上の方は、どうなっている?」

「マスターの旦那様、入る順番で、譲り合いやお礼を言い合って、予定より若干の遅れ」

「マスターの旦那様、譲り合い精神と、感謝の気持ちが、プログラムされているようです」

買い物かごに、割烹着とか、譲り合い精神とか、いらんプログラムをされた連中だ。


「良し!最後の敵が侵入した!トーレフ!地上側閉鎖じゃ!アリス!第2段階じゃ!わしの策に敗北は無い!」

一人ウノは楽しかったか軍師?

「レナねぇさん、200mまで接近です」

アリス、もう少し引き付けろ、レナのバカ面を拝んでやる。

「OKだぞ。いつでも撃てる状態だぞ」


レナだ!なるほど、バカ面に成ってやがる。

ここで凍り付いて反省しやがれ!行けアリス!!

「氷魔法ブリザードだぞ!だぞ!だぞ!だぞ!だぞぉぉぉ~~」

「換気システム逆作動」

「冷気は逃がさないです」

「2300mまで凍結を確認しました」

「よし、次は地上側だ。エレベーターに乗るぞアリス」

「はぁはぁはぁ・・だぞ。いくぞ」

流石にブリザードの5連発だ。アリスの魔力も残り少ないか?


俺はアリスに肩を貸し、エレベータに乗った。

「ケイン、追加の愛が欲しいぞ。上につくまで、私を愛で満たすぞ」

おお!この際いろいろ言ってられるか!

若さの回復力、見せてやる!行くぞアリス!エレベーター内ラブだ!


上についた。…アリスはぐったりしていた。

「ごめんだぞ。魔力も体力もゼロだぞ。燃え尽きたぞ。真っ白だぞ」

!?魔力の増幅はどうした?

「やっぱ、H増幅は、サキュバス属性持ちのママだけだったぞ。わたしがHしても、体力が減るだけだったぞ。もうだめだぞ。私、先に落ちるぞ」

ネッゲーのチャットみたいな落ち方するな!


くそ!頼みのアリスが、落ちちまった。

このままでは、奴らが地上ゲートを壊して出てくる。

策が失敗だ。



「ケイン~~~」

マオ?

「やはり、ここだったのね」

ピーか?

「ピーちゃんが~ケインやアリスと~テレパシーが繋がらないって~心配で戻って来たんだよ~」

どうしてここが分かった?

「千里眼よ。敵がいたので来てみたの」

くそぉ!!ナイスだ!ナイスすぎる!


「うん、わかったよ~この中に魔法を撃てばいいんだね~」

ああ頼む

「トーレフ!ゲートオープンだ!」

「了解でござる」

スピーカーから、トーレフの声が聞こえると同時に、ゲートが開く。

「闇魔法!毒霧だよ!!」

中から出てこようとしたロボットが、真っ先に溶けた。


「連発で行くよ~毒霧~毒霧~だよ~だよ~だよだよだよ~」

プラチナチケットの特権で、マオには使用回数上限が無い。撃ち放題だ!

「ケインさん、聞こえますか?階段内の敵、殲滅成功です」

良し!俺たちの3連勝だ!!


マオは毒を浄化した。

先頭で凍っていたレナを掘り出し、トーレフが見てくれている。

「今回の攻防は、わしらの勝ちじゃった。だが奴らは、またここを狙うじゃろう。先手必勝じゃ!セイレーン本体の修復が終わり次第、赤道の魔王軍に殲滅戦を行う!」


次回予告 800年の戦いに終結。



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