窓を開けたら
窓を開けたら巨大な建物がたくさんそびえ立っている……
外を見下ろすと地面が見えない程の高さ。
その建物へ向けて何かが飛来して攻撃を加えている。
破壊された建物は黒い煙をあげる。音は聞こえない。
視界いっぱいに並ぶ建物。見たことの無い飛行物がたくさん飛び、狩りをするように建物を襲う。建物は次々と黒い煙をあげ赤い炎に包まれていった 。
近くの建物が突然崩れ落ちた、煙りが立ち上ぼり視界を塞ぐ。
怖い 怖い 怖い……
いつの間にか何処かの暗い森を進んでいる。進む速さについていけず目がくらくらする。オレの体は動いて無いのに風景が近寄ってきて通り過ぎていく。体の後ろにどんどん森が吸い込まれて行くみたいだ。道なんて無い、けど向かっている場所は分かっている。木々や草がどんどん近付き通り抜けていく。……行きたく無い……近寄りたく無い……あぁまた行くのか……
「…………ホ………ホウ…ホウジ…峰司!おい、大丈夫か?」
「ゴホッ……ゴホッコホッ……はぁ……」
急に肺がいっぱいになってむせてしまった。ベッドの上に上半身を起こし呼吸を整える。全力疾走した後のように心臓がどくどくと脈打っている。
「大丈夫か?」
「……苦しかった。……ゆめ?」
「夢?怖い夢でも見てたのか?苦しそうにしてたから起こしたんだ。大丈夫か?」
「うん、大丈夫です……また?」
「またってなんだ?」
「なんか良く分かんないけど……」
ヒダッカさんがオレの額に手を当てる。ひんやりと冷たくて気持ち良かった。
「熱が有るな。喉は渇いたか?」
「……うん。」
「ちょっと待ってろ。」
「……」
……………………………………………………
峰司はまた寝てしまったようだ。
「どうかしたの?」
まだ夜も遅い、峰司のうなされる声に起きたのは俺だけだった。酔って眠りが浅かったせいだろう。灯りを点すと二人が起きてしまった。
「起こしてすまんな。峰司が熱を出した。」
「えっまずい、俺が窓を開けたまま寝たからか?」
「うん?そうかも知れんが……うなされていたからな……もしかして魔力病か?」
「魔力病?そう言えばそんな病気本当に有るのか?」
「分からん。取り敢えず宿の者に医者を呼んでもらおうと思う。こんな時間に来てくれるかは分からんが。ついでに水も貰ってくる。」
「そうか……俺が峰司についてるよ。」
「ああ、頼む。」
「僕が行って来ようか?ヒダッカも心配でしょう?」
「そうだな……ノアタありがとう。」
ノアタは頷くと部屋を出ていった。
峰司は苦しそうに浅い呼吸を繰返している。
元気そうだったから油断したが一度こちらの医者に見せておけば良かった。峰和や梢の心配そうな顔が浮かんだ。
思えば峰司に出会ってから約一ヶ月慣れない事も多かっただろう。言葉だって違うこの国で依頼をこなし魔法を学び家の手伝いもロイと一緒にしてくれていた。いつも嫌な顔を見せず遠慮がちだったし気も遣って居ただろう……
「ヒダッカ、そんな顔するな。」
「……ああ。」
俺は無理矢理笑って見せた。まだ何か言いたそうだったがノアタが戻ってきた。宿の者に医者を呼ぶよう頼むと快く引き受けてくれたそうだ。長旅で体調を崩す者もいるらしく医者のあても有ると。水を飲ませようと峰司に声を掛けたが返事が無い。濡らしたタオルで頭を冷やしつつ医者が来るのを待った。
窓の外が少し明るくなってきた頃医者がやって来た。
一通り峰司を診ると訝しげな顔で聞いてきた。
「この子は精霊の護り手でしょうか?」
「はい、そうです。大丈夫でしょうか?」
「……何度も熱を出して居ますか?」
ノアタとヒボラが俺を見る。医者に返事をする。
「小さい時から何度も有るようだ。聞いただけだが……」
「学校へは行って無いのですか?」
「神官学校か?通ってはいないが今魔力の制御を習い中だ……」
「そうですか。安静にして、起きたら栄養の有るスープを飲ませてあげてください。後で別の者を寄越しますね。」
「大丈夫なのか?」
「放っておいて良いものでは有りませんが今は安静にするしか有りません。」
「そうか……」
礼を言って医者を見送り、峰司の近くへ座る。何とも言えない空気が漂う。顔を洗ってくると告げ部屋を出た。




