宿に戻ると峰司君は
宿に戻ると峰司君は直ぐに眠ってしまった。
「疲れたみたいだね?」
「ああ。」
「……もしかして魔力切れか?」
「どうかな?何も言って無かったけど……」
僕はそっと峰司君の額に触れてみる。熱は無いみたいだ。試練の泉で精霊の守りを拾うだけなら魔力は使わないけど……
「熱は無さそうだよ。ぐっすり寝てる。」
「そうか。起きたら聞いてみるか……」
「そうだな。さて、俺達もやるか。」
「俺は本なんて読めんぞ。」
「まだ見ても無いのに諦めるの早すぎだろ!」
ヒボラがクダナさんから借りた本を取り出したらヒダッカは早速逃げ腰だ。僕もあんまり得意じゃ無いけど。
「ヒボラ先生が読んで僕達に聞かせてよ。」
「えぇ……面倒くさい。良いから一緒に読んでくれよ。」
「……しょうがないな読むぞ、分からんところは説明してくれよヒボラ先生。」
「……ああ。」
僕達はヒボラを真ん中に並んで本を読んだ。
分厚い表紙に題名は書かれていない。
開いて見ると見たことの無い字が並ぶ。
「えっとこれ読むの無理だよ?」
「まぁ待て。」
ヒボラがゆっくりとページをめくって行く。
所々僕の読める字も出てきた。
「……古文書の解説か?」
「ああ、そうみたいだな。」
「100年戦争より前の物みたいだね?」
「そんな文書良く残ってたな。」
「ユーノーとプルートー?」
「クファルさんも言ってたな。」
【古代の王】(概略)
光の女王は光を司り誕生の祝福を行う者
闇の王は闇を司り死の祝福行う者
世界は死と誕生を繰り返し存在する。
光の女王と闇の王もまた死と誕生を繰り返す。
光の女王は死ぬと闇の王として産まれる。
闇の王が死ぬと光の女王として産まれる。
さんざん苦労して読み進めて行くとやっと精霊の道について書かれている場所が出てきた。
【光の女王の謎】
有る時に光の女王が愛したシュタリアに強い加護を残したまま死んだ。
するとシュタリアは富み栄えた。しかし栄華は長く続かず死すべき者が影となりシュタリアを襲った。
新たに生まれた光の女王は精霊と人の子の力を借りて影を闇に返した。
再び影が現れるのを恐れたシュタリアの民は結界を張る。平和が訪れたが大地の繋がりは途切れ精霊の道のみが大地を繋ぐ。
世界の均衡を取り戻すため弱った光の女王は眠りについた。
「これだけか?」
「いや、まだ有りそうだ。」
死して戻りし者、影、精霊の道等の文字が散らばる欠けた古文書がその後も続いていたけど意味が繋がらない。
「難し過ぎるパズルだね?」
「ああ、それに全部のピースが最初から揃っている訳じゃないんだろう。疲れた。」
「うん僕も疲れた。光の女王と闇の王って聞いたこと有った?」
「いや、知らないな。」
「俺も知らん。とりあえず、目は通したから後は明日ケットさんに話しを聞けば良いのか?」
「そうだな。そろそろ飯にするか?」
「うん。峰司君は起きるかな?」
ヒダッカが峰司に声をかけたけどすやすやと気持ち良さそうに眠っている。僕達はそのまま寝かせておく事にした。
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「峰司起きてるか?」
「峰司君おはよう?」
ヒダッカさんとノアタさんの声で目が覚めた。何か良い匂いがする。
「おはようございます。」
「身体は何とも無いか?」
ヒボラさんが俺の顔を見る。良く寝ちゃったみたいだけどスッキリ頭が冴えている。
「うん、大丈夫です。」
「食事を持ってきたよ?食べられる?」
部屋に食事が用意されてるなんて初めてだ。そんなに寝過ぎちゃったのかな?
「ノアタさんありがとうございます。心配かけてすみません。急いで顔を洗って来ます。」
皆を待たせたら悪いので急いで身支度を整えた。昨日は朝食を食べた後はお茶を飲んだだけだった。急に空腹を覚えて食事にかぶり付く。
「本当に身体は何とも無いか?」
ヒダッカさんに聞かれたけど口がいっぱいだったのでうなずいて答える。
「それだけ食欲が有れば心配ないな。」
ヒダッカさんに笑われた。急いで食べ終えオレ達は先ず塔へ向かう。
精霊の護り手について習いに行く。昨日は魔力を使いすぎたのか頭が痛くなって凄く寝てしまった。今日は何とも無いけどしっかり制御を覚えたい。
「こんにちは。峰司君ですか?」
昨日の待ち合い室を覗くと既に神官様が待っていた。
「はい、遅くなってすみません。」
「いえ、私も今来たところですよ。」
ノーマさんと昨日の神官様と同じ飾りを頭に乗せた優しい目のお婆さんだ。
「今日は宜しくお願いします。」
「あの、宜しくお願いします。」
ヒボラさんが挨拶してくれたのでオレも慌てて続ける。
「はい、頑張りましょうね。お急ぎと伺っています、夕方の祈りの前迄に出来るところまでしましょう。宜しいでしょうか?」
オレはヒダッカさんを見る。うなずいてくれた。
「はい、宜しくお願いします。」
「じゃぁ峰司また後でな。」
「はい。頑張ってきます。」
オレはヒダッカさん達を見送る。皆はケットさんと言う人の所へ精霊の道について教わりに向かった。
「では峰司君改めまして、私はノギアと言います。空いている教室が有るのでそこへ行きましょうか。」
「はい。ノギア先生。」
塔の1階は真ん中に螺旋状に階段が有りその周りに個室が並んでいる。2階も同じ造りみたいだ。階段はそのまま上にも上がれるけど俺達は先へ進まず2階の一室に入る。




