道の真ん中
「……一旦休憩だな。」
道の真ん中だがしょうがない、馬車を止める。
「どうした?」
「見ての通りだ。」
馬車が停まったためヒボラが後ろから声をかけてきた。羊の群れが道を埋め尽くしていた。牧草地へ移動するためか?羊の集団が道を次々に横切っている。
「羊か。」
「わぁ凄い羊だね。」
「えっ何これどうしたの?」
「理由は知らんが通れんから休憩だ。すまんがノアタ飼葉桶を用意してくれるか?」
「うん、良いよ!」
馬に水と干し草を与え俺達もそれぞれ身体を伸ばす。羊飼いが遠くに見える。俺達に気付いたのかすまんと言う意味なのだろう手を振ってきたので手を上げて答える。
羊達が道を渡り終えて俺達はまた馬車を走らせた。
……………………………………………………
途中羊に出くわしてびっくりしたけど、順調に道を進んでいる。少しづつ道も広くなってきているみたいだ。時々荷物をどっさり乗せた馬車とすれ違う。
渡された本を読み終えた。昨日精霊について教わったから加護についてはすんなり頭に入った。
精霊の神殿、どこもとても面白そうで全部行ってみたいって思っちゃった。
試練の泉についてはあまり詳しく書かれていなかったのが不安だ。
「ヒボラさん、聞いても良いですか?」
「うん?読み終わったか?」
「はい。」
ノアタさんと二人で何か話していたみたい。ちょっと邪魔しちゃったかな?ヒボラさんもノアタさんも話を止めてこちらを振り返った。
「試練の泉の事を教えてください。」
「うん?いきなりだな。」
「えっと加護については昨日教わったので。神殿については全部行ってみたいけど無理ですよね……」
「他の神殿は僕も行ってみたいな。神殿の町には別の神殿へ行き来する定期馬車が有るんだよ。それを見つけるとふらふらと乗りたくなっちゃうんだよね。まだ実行出来てないけどね。あと神殿の町にはプロス国やロブド国の珍しい物もたくさん有るんだよ。」
「俺も他の神殿に行ってみたいが……まぁ今回は無理そうだな。どの神殿に行っても良いがとりあえず精霊の泉はひとつしか入れない。」
「そうなんですか?」
「そもそも神官すら普段は入らないらしいぞ。行ってみたらそうだろうなって納得すると思うぞ。」
「はい……えっと神官様に連れて行って貰うんですよね?作法みたいな決り事って有りますか?」
「特に無い。」
「えっとノアタさん本当ですか?」
「何でノアタに確認するんだ?」
「えっと何となくです……」
「まぁヒボラが言ったのは本当だけど……ではではノアタ先生が順番に説明してあげましょう!」
ヒボラさんの説明で不安がさらに増したオレはノアタさんに助けを求めてしまった。ノアタさんは何故か先生口調で教えてくれる事になった。
「お願いします。」
「峰司君、試練の泉に入るのは何のためですか?」
「精霊の守りを貰う為です。」
「はい、正解です。では精霊の守りは一人幾つ貰えますか?」
「えっと1つですか?」
「はい、またまた正解!すると……どうかな?」
「精霊の守りを貰ったらもう精霊の泉に入れないって事ですか?」
「大正解!!」
「えっと、たとえば自分の分の他にお父さんの分を貰うとかダメですか?」
「はい、ダメです。貰えません。あくまでも自分の精霊の守りを貰う為に行くのです。歩け無いとかの場合手助けはしてもらえるけどあくまでも自分で貰うんだ。」
「ノアタそれくらいにしておけ。後は自分で考える事だ。」
「そうだね。精霊の神殿までは峰司君だけじゃなく皆で行くから。その後は神官様の言うことをしっかり聞いていれば良いよ。後は着いてのお楽しみだね。」
「……はい。あの武器は持って行きますか?」
「……そう言うのも必要無いからな。」
結局試練の泉については良くわからなかった。自分で考える事って言ってたな。あと神官様の話を聞き漏らさないようにかな?そのあとノアタ先生から御者の仕方を教わった。止まれ進め、右へ左へ、馬がオレの手綱の指示通り進む。それはとっても楽しい事だったけどなんか誤魔化された感が……
いくつかの町を通り過ぎて夕闇が近付く頃、オレ達は今日泊まるニレデの町へ辿り着いた。明日には精霊の神殿の町へ着く。
かなりの距離を進み身体は疲れていた。だけど楽しみと不安が混ざり有ってその夜は中々眠れなかった。




