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露程も知らない幻想組曲  作者: 熱帯長草草原地帯
第五章 護りたいもの
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暖かな居間で

 暖かな居間で食後それぞれに寛いでいた。今日の成果に今まで張り詰めていた分だけ安心したのだろう。


「少し話をしたいんだが良いか?」


 皆が俺を見る。


「少し予定を変更したい。出来るだけ早めに精霊の神殿に向かいたい。」

「急にどうしたの?」

「ノアタには後で詳しく説明する。」

「うん?」

「あの、まだ蜂は避難させられ無いんですが……」

「あぁそこは分かってる。」

「警備計画の変更か?」

「そうだな。柵を傷つけた奴は峰司(ホウジ)が倒した。だからこれからは蜂を守るだけにしたら良いと思うんだ。」

「養蜂場全部を見廻るより蜂だけを守る方が難しくないって事ですか?」

「そうだな。罠で逃げ出す事も確認出来たし。もう少し罠を増やして見ようと思う。逃げた奴は深追いせず蜂だけに集中すれば良いと思う。」

「うん、それで?」

「悪いがあと少し、ノアタとヒボラに警戒を任せたい。俺と峰司(ホウジ)は精霊の神殿に行く準備が出来次第出発する。」


 ヒダッカさんの話を聞いていたヒボラさんがおもむろに口を開く。


「ヒダッカ俺も着いて行きたい。お前だけじゃなんか不安だ。俺と峰司(ホウジ)で神殿に行っても良いくらいだな。」

「いや、案内の依頼を受けているのは俺だしな……」

峰司(ホウジ)はどうだ?」

「あの、オレは依頼を最後までやり遂げたいです。」

「いや、それだと雪が降るまでに帰ってこれないかも知れん。神官との話し次第だが……」

「そうだな。俺は(ツグミ)村にも一緒に行く予定なんだぞ。あんまり時間がかかりそうなら峰司(ホウジ)の親に伝言しに行ってからって手も有るが。」

「え~僕だって行きたいのに!」

「はぁ。話が逸れてるぞ。」

「でも……」

「オレ春になってから帰っても良いですけど、だめですか?」

「それだと峰和(ミネカズ)(コズエ)も心配するだろう?」


 皆の話が纏まらず俺達は黙り込む。


「あの、宜しいでしょうか?」

「うん、なんだ?」


 テノンさんが声をかけて来た。


「今日金木犀が一本だけ満開に咲いていまして。峰司(ホウジ)君が魔法で咲かせてくれたんですよね?」

「えっと、はい。」

「残りの4本の木も咲かせる事は出来ますか?」

「はい。出来ます。」

「でしたら。明日晴れたら、4本の木を咲かせて頂ければ依頼を終了と言うことでいかがですか?」

「うん?良いのか?」

「はい、元々二人で守って来た養蜂場ですし。金木犀が満開になれば3日ほどで冬籠もりさせられます。ベアー討伐の依頼は達成されていますし。ご事情も有るのですよね?」

「あぁ、まあな。」

「あなた、どうかしら?」

「そうだね。あと少し何とかなるだろう。」

「それは助かる。俺は明日罠を増やそう。」

「「宜しくお願いします。」」

「あの、ありがとうございます。」

「いえ、峰司(ホウジ)君には迷惑かけちゃったしね。良いのよ。」


 話が纏りユイムさんとテノンさんは先に休んだ。

 峰司(ホウジ)も明日の為に早めに寝る様に言った。


「はい。おやすみなさい。」

「「「おやすみ。」」」


……………………………………………………


 俺とヒボラはノアタに事情を説明した。


「へー精霊の護り手か。神官に成れって言われそうだね。」

「まぁそこはもちろん断るぞ。」

「あの、俺からも良いかな?」

「うん?なんだ?」

「今日さギルドに行っただろ。」

「うん。何か有ったの?」

「ウルフの事なんだ。町人には混乱が起きるといけないからって知らせて無いんだが。まだ近くで目撃情報が有るって。討伐されたりもしてるらしいぞ。」


 厳しい顔つきでヒボラが続ける。


「ほら、俺たちがイェローツリーの依頼に行く前に砦へ兵士が向かってただろう?」

「あぁ、ウルフと関係が有ったのか?」

「そうだって。ロブド国の森に近い村が襲われたみたいなんだ。砦の兵士が助けに向かったって。死人も出たらしい。」

「村がウルフに襲われた?」

「ああ。森で何か異変が起きてるんじゃないかって。ただあっちはフォス国より寒いだろう?もう雪が降って調べに行くことも出来ないらしい。村の住人は近くの町へ避難させられたって。」

「最悪こちら側も危ないってことか……」

「ああ。ここの養蜂場もロブド国から離れて居るとは言えギルドのウルフ討伐部隊が巡回する予定だって。」

「そうか……」


 考えなきゃいけないことが増えたな。


「とりあえず明日は一旦町へ帰って罠の準備をする。ヒボラは峰司(ホウジ)に着いて居てくれるか?」

「あぁ、もちろん良いぞ。」

「僕はどうしようかな……ねぇヒダッカは精霊の神殿にはどうやって行くつもり?」

「神殿方面に行く馬車に乗せて貰うつもりだが?」

「あのさ、僕も一緒に行くからギルドで馬車を借りない?小さめので良いからさ。そしたら行きも帰りも寄り道しないで早く帰ってこれるんじゃない?」

「ノアタまで着いてくること無いだろう?」

「ここまで来たら乗りかかった船だよ!久しぶりに神殿の街で買い物もしたいしさ。」

「良いね!ヒダッカそうしようぜ!」

「……観光って気分でも無いが……まぁその方が都合は良いか。」

「よし!決まりだね。僕は明日ギルドで馬車を借りてくるよ。出発は明後日の朝で良いかな?」

「「了解。」」


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