ベアー討伐⑥
「俺も上手く説明出来るか分からんけど。」
ヒボラさんは少し考えてから話し出した。
「精霊の護り手ってのはな、特別な魔力を持ったものが訓練して成るもんなんだ。
まぁ峰司は精霊についてあんまり知らないんだよな?先ずはそこからだな。」
……この世界には精霊って言う力が有る。俺達はその恵みを受けて暮らしているってのが基本の考え方だ。
今はシュタリア大陸の各地に精霊の神殿が有る。そこは精霊の力が特に強い場所だ。もちろん試練の泉もそこに有る。
ただな、精霊は必ずしも俺達に恵みを与えてくれるだけの物ではない。力って良くも悪くも使えるのは何となく分かるだろう?
試練の泉も心が清い者だけが入ることを許される。試練ポイントってシステムもその為だな。
かつては力を奪い合って戦が起きたことも有る。だが争いがあった後には精霊の力は弱まり、疲弊した恵み少なき土地だけが残された。
そこで精霊の護り手が現れるんだ。
精霊の声を聞く者とか、精霊に愛されし者とかの呼び方も有る。
火、水、風、土、木、の5系統とは別の魔力を生まれながらに持っていて、傷ついた精霊を癒す力が有るらしい。今のシュタリアが豊なのは精霊を癒し護っているからだと考えられている。その特別な魔力を持っている事が分かると精霊について学び神官となる。神官の家系にはその魔力を持つものが産まれる事が多い。もしかしたら【フォス国の大男】ってのも神官の家系かもな?まぁ家系じゃなくて産まれて来る場合も有るが……
「まぁ大体こんな感じだ。」
「ありがとうございます。」
精霊を癒し護る?オレが思ってた【フォス国の大男】って嵐を倒しちゃう強く逞しい男だった。ヒダッカさん見たいに。でも、もっと暖かい優しい人だったのかも知れないな……
「とにかく峰司は特別な魔力を持ってるって事だ。俺が知ってるのはそれぐらいだから神官に詳しく教わった方が良いだろうな。」
「えっと、はい。」
「早めに神殿に向かわんとな……まぁ飯でも食べながらそこは考えるか。」
「あぁ。」
飯と聞いてお腹がすいている事に気付いた。
「お腹空きました。」
「今日はベアーを使った料理らしいぞ。テノンさんとノアタが張り切ってた。栄養も有るからいっぱい食え。」
「うん!」
オレ達は話を切り上げ居間に向かった。
居間に居たユイムさんから身体は大丈夫でしょうか?鍵を閉め忘れて悪いことをしましたと謝られた。
「ベアーを倒せたし、蜂も無事だったんですよね?びっくりしちゃったけど倒せて良かったです。それにユイムさんがベアーに対峙してたのかっこ良かったです。」
ユイムさんはほっとしたように笑顔を浮かべた。
「いやぁびっくりしたと言うか峰司君こそ格好良かったですよ。攻撃魔法なんてはじめて見ましたし。アサシンチェイサーでしたっけ?凄い魔法ですね。」
「おっそれは俺が考えたんだ。」
「俺も遠くからだが峰司が魔法を放ったのは見えたぞ。そのあとガクンって座り込んだだろう?肝が冷えたな。」
「ヒダッカさんが柵を飛び越えたのもかっこ良かったよ。」
オレ達が話していると良い匂いがしてノアタさんとテノンさんが料理が出来たと呼びに来てくれた。ベアーの蜂蜜漬け焼きって言うのと、ベアーの鍋。今日食べる分だけ先に解体してもらったそうだった。温かな湯気と肉の焼けた甘い匂い美味しそうだ。
「食前の祈りはノアタさんと峰司君にお願いしたいのですが。」
ユイムさんに急に言われてノアタさんと顔を合わせる。ノアタさんはニコッと笑ってオレに言った。
「初ベアー討伐おめでとう峰司君。それから皆もお疲れ様。」
ノアタさんに促されてオレも何か言わなければならない。
「えっと、ベアーを倒せて良かったです。まだ終わりでは無いと思いますが、今日皆が無事に戻れたことを精霊に感謝して。いただきます。」
「「「「「いただきます!」」」」」
上手く言えたかな?凄く恥ずかしかったけどスコットさんの祈りを思い出しつつ話した。顔が赤くなっていないかな。
癖の無いベアーの肉は蜂蜜の甘さに引き立てられて今まで食べたどんな肉よりも美味しかった。改めてベアーを倒せたことに嬉しさが込み上げてきた。
「美味しい?」
「はい、凄く美味しいです!」
テノンさんに聞かれて答えた。
「自分で討伐したベアーがこの美味しさじゃ病みつきだよね。蜂蜜とお肉最高!」
「我が家に伝わる秘伝の浸けだれなのよ。」
「フッフッフッ!僕も浸けだれの作りかた教わっちゃった。これで焼いた他の肉も絶対美味しいよ!」
「それは俺も教わりたいな。」
「俺も!」
「オレも!」
皆で作り方を教えてもらいながらベアーをお腹いっぱい食べた。
「「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」」




