朝陽が射し込み
朝陽が射し込み眩しさに目を覚ます。
昨夜は異変がないか起きていようと思ったが眠ってしまったようだ。
隣で峰司がもぞもぞと動き、起き出してくる。
「ヒダッカさんおはよう!どうかな?着いたかな?」
今にも外に飛び出しそうな峰司を手で留め俺は言う。
「俺もいま目が覚めた所だ。少し外に出て見るが、中で待っていろ。」
「うん。」
俺の真剣な様子に気を引き締めた顔をして峰司はうなずく。
うろから顔を出し周囲の気配を探る。そっと抜け出し辺りを見回す。
すぐにフォス国だろうと分かる。ウルフの気配はない。
「出てきて良いぞ。」
俺の真似をして、まず顔を出した。
そしてゆっくりとうろから出てくる。
「槐の木を見てみろ。」
「実がなってる……秋、だね。やった!着いた!」
「そうだな。俺は帰れて良かったが、峰司は本当に着いてきて良かったのか?」
「もちろんだよ。精霊の守りはすごく欲しいし、何て言うか数百年越しの夢を叶えたんだ!って気持ちも有るよ?」
「ああ、そう言われると凄いな。」
「だよね。ねえどっちに行くの?早く行こうよ!」
先ずは俺の家に向かう。
簡単に食事を済ませ歩き出す。
ウルフに出会ってから5日もたってしまった。もう集合場所に二人は居ないだろう。
イェローツリーの近くは避けるように進む。
槐の木は良く見れば何度も通った事の有る場所にたっていた。大きな木なのに今まで気付けなかったのは、周辺の木々がうまく隠してしまっていたからだ。
「しっかり着いてこい。」
俺の歩く早さで町へ2日程の距離だ。
峰司はどれくらいのペースで行けるか見極めながら歩く。
さすがに森の歩き方は上手なようだ。目印を教えながら進む。
水分をとりつつかなりの速度で進む。
「魔力を使いながら歩いているか?」
「うん、大体教わったように出来ていると思う。ちょっと魔力の練り込みが多すぎたり少なすぎたりしちゃうけど。」
「そうか。慣れて行くしかないな。魔力が無くなって倒れる前に言えよ?」
「うん。」
小さな身体で俺の速度に着いてくるのは大変だろう。魔力で筋力を強化しつつ進ませている。
黙々と進むが不満な様子は無い。真剣だがどこか明るい雰囲気を漂わせ森の様子を見ている。
初秋の森は穏やかで、時おり聞こえる鳥の声が美しかった。
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陽が暮れる前に野宿をしようと思っていた場所に着いた。
「はぁ。」
「さすがに疲れたか?良く頑張ったな。」
「うん。体もだけど頭も疲れちゃったよ。」
「はは、頭もか。」
「うん。あとお腹も空いたね?」
「そうだな、飯にしよう。」
峰司が焚き火に火をつけてみたいと言う。
火事にするなよといってから頼んだ。はじめてのファイアで小さな火種を作り上げた。魔法を使うのがよほど楽しかったらしく消したりつけたりをしばらく繰り返していた。
峰司の焚き火でスープを作り、梢が持たせてくれたいくつかの料理と一緒に食べる。峰司はスープが気にいったようでお代わりをして食べていた。
夜は冷えるので交代で焚き火の番をしながら休む事にする。
峰司には先に寝てもらう。
大きな荷物の中から毛布を取り出す。くるりと体を包み横になる。
「ヒダッカさんありがとうございます。」
「うん?どうした?」
「何でもない。おやすみなさい。」
峰司は疲れたのだろう、すぐに眠りに着いた。
ウルフに警戒しつつ、ノアタ、ヒボラ、家族の事など頭に浮かぶまま体を休める。
試練の泉か懐かしいな。
試練とは言うものの難しい事はそれほど無い。
精霊に認められるための依頼をいくつかこなし、泉に行く。
精霊の神殿に向かうと神官に連れられ泉から光る精霊の守りを拾うそれだけだ。
依頼も8~12歳くらいの子供が出来る手伝いの様なものだ。
10歳だった俺はそれなりに真剣に依頼を完了させた。
そういえば、父親と母親と一緒に町を出たのはその時くらいだったな。
行商の馬車の後ろに乗せてもらい、なぜだかその時はいつもより良く笑う母や父と一緒で楽しかった気がする。
弟が神殿に行った時には森で依頼を受けてしまっていたが、一緒に行けば良かったかな……
つらつらと想いを巡らせていたが空が少し明るくなってきた。俺も少し休むとしよう。
「峰司、起きろ。」
「う、うん?」
寝ぼけた峰司に警戒の仕方と火を絶やさないこと、何かあったらすぐに起こすよう伝えて俺は眠りについた。




