峰司(ほうじ)
「えっ、ちょっ、うわっ、あぶなっ」
落ち着けオレ!
さっきのウィンドより魔力を多めに込めたのが良くなかった?
父さんとヒダッカさんに土ぼこりが向かっちゃったから慌てて手をさげた。
そしたら足元に風が吹きつけて自分が浮き上がってた。
落ち着けオレ!
バランス崩したら怪我しそうな高さだぞ!
「ふぅぅ」
深呼吸。
よし。
両手から同じくらいに風は出てるみたいだから腕をしっかり真下に向けて固定しよう。
安定した。
「ふぅ」
手の角度を変えたら動けそうだけど。
いやいやいや、調子に乗っちゃだめだ安全に。
先ずはこのまま魔力がなくなるまで耐えるんだ。
「はぁ」
焦った……
魔法を使うなんて楽し過ぎだ。
身体も軽いし魔力も思ったように練ることが出来た。
全部持ちとかってオレ絶対才能あるって思っちゃったよ。
初魔法で怪我とか、カッコ悪い。
危なかった。
「あ、母さん」
「えっ!」
母さんはぽかんとオレを見上げた。
びっくりさせてごめん。
オレも驚いてる。
1メートル以上浮き上がってるかな?少しの時間滞空した後、練り込めた魔力が消えるのに合わせてゆっくりと着地した。
「母さんが来たよ。」
オレが声をかけるとヒダッカさんと父さんは振り返って母さんを迎えに行った。
「はぁ」
疲れた。
なんか注目を浴びてる。
まぁしょうがないか。
「あの、そんなに見られたら恥ずかしいんだけど。」
「だって、空飛ぶ息子とか見ちゃうでしょう?でもお邪魔だったかしら?」
「いや、丁度良かった。休憩した方が良い所だったからな。」
「えっと峰司、身体はなんともないのか?」
「うん。体の中がすーっとしてる。」
オレは皆に聞かれるまま上の空で返事をしていく。
オレのいくつかの答えに満足したのか、母さんは弁当を広げはじめた。
「ねえ、ヒダッカさん?」
「うん?」
「白い魔法ってどんな物かな?」
「う~ん、昔の魔法か?俺が知らんだけでフォス国で聞けば知っている者も居るかもな。」
「オレもフォス国に行ってみたいな。」
「……そうか、フォス国に来れたら温泉に連れて行ってやるぞ。」
「うん!」
母さんのおにぎりがいつもより美味しい。
こんなに身体が軽いのはいつぶりかな。
熱く硬い不愉快な塊が体につっかえてたのが消えた。
冷たい水で体の中まで洗えた感じ。
でも冷えた感じはなくて、ポカポカと体の中は暖かい。
「眠くなっちゃったよ。」
「ああ、休むと良いぞ。」
大人3人に見守られてオレはその場で寝てしまった。




