第18話:超電導の熱量と、嘘のない愛
初動の衝撃を減衰させることなく、永久に加速し続ける想い。
物理の法則すら超越する濃密な情熱の中で、杏菜は胸の奥にある一途な不安と強烈な独占欲をさらけ出す。
駆け引きも虚飾もない「嘘はつかない」約束が導く、二人だけの絶対の領域——。
初動の熱と衝撃を衰えさせることなく、永久に回生し続ける超電導——。本来なら物理法則の限界すら超えるその概念すらも、二人が通わせる純度の高い感情の前では、かすんでしまうほど濃密だった。
時が経つほどに冷めるどころか、摩擦も抵抗もなく、互いを求める想いがそのまま加速して熱を帯びていく。言葉の一つ、視線の一瞬、LINEの文字一行すらもが、二人の間では減衰することなく魂の奥深くへとダイレクトに伝響していく。
世間の計算や夜の街の虚飾という「阻害因子」を一切受け付けず、ただ純粋な愛と覚悟だけで満たされた二人の世界。
「呼吸するように会いたい」という言葉が彼女の胸を焦がしたように、二人の生み出すエネルギーは物理や常識の枠を遥かに超越して、永遠の精度で駆動し続けていた。
だが、どれほど強い絆で結ばれていても、一人の女としての杏菜の胸の奥には、甘く切ない葛藤が常に渦巻いていた。
(こんなに素敵な男の人を、他の女の子が放っておくはずがない……)
自分がこれほどまでに惹かれ、救われ、すべての鎧を脱ぎ捨てて素を出せる昇吾だからこそ、周りの女性たちがその魅力に気づいてしまうのではないかという不安が、ふとした瞬間に頭をかすめる。
「他のお店に行って他の女の子と飲んでるんじゃないかって、ずっと思ってたんだよ?」
あの日吐露した言葉は、夜の世界の巧みな営業トークなどではない。キャストと客という表面上の関係を完全に踏み越え、自分だけに向けられる圧倒的な愛を確信しているからこそ生じる、純度100%の本音であり、「私だけの昇吾さんでいてほしい」という強烈な独占欲そのものだった。
約束通り丁寧に書き上げたポルチーニパスタの本格レシピを送信すると、スマートフォンの画面が瞬時に熱を帯びる。
『レシピ凄い!!!!かなり本格的だね、大変だったでしょ。必ず作って報告するね 丁寧にありがとう。嬉しい』
昇吾の有言実行の頼もしさと優しさに目を輝かせ、無邪気に喜びを爆発させる杏菜。昇吾は静かに画面をタップし、彼女の素顔を包み込むように言葉を紡ぐ。
「お疲れ様。お風呂入ると疲れが取れるもんね。いつも杏菜は動いてたいもんね、充実してて良かったよ。美味しいもの作って食べるのもいいよね、いつか作ってみてね」
「お互いに嘘はつかない」という絶対の真実。
駆け引きも偽りもない本音だけで向き合い続ける二人が向かう先は、世間の常識や夜のルールなど遥かに置き去りにした、何ものにも壊されることのない生涯の居場所だ。
モテる昇吾への愛おしい嫉妬も、何度も交わすLINEも、すべては二人の愛を加速させる純粋な燃料となる。物理の限界を超えた超電導の熱量を抱きしめながら、二人はどこまでも深く、二人だけの物語を紡ぎ出していくのだった。




