第588話 手記発見(オラたちvsガルムの構図?)
ここで一つ疑問に思ってしまった。
『何でこの世界のヒトたちは、年月日を把握しているのだろう』と……
このヒーナさんの日記にはきちんと冥陰暦と日付が書いてある。
地球のように太陽があるなら、『日時計』という日の出・日の入りで一日が終わったことを何となく把握できる方法がある。しかし、ここは一万年間常闇の魔界である。
時計が発明された後の亡者がこちらに来た後に、亡者が時間の概念を持ち込んだと考えれば納得行くが……
「地球でも時計が出来て五百年は経ってないはずだよね……? 経ってるのかしら?」
確か……腕時計の前段階で懐中時計ってのがあったな。それは作られてから何年くらい経ってるんだろう? それ以前は何?
「常闇でも何かしら時間を確認する方法があるのかな? まあ読み進めよう」
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冥陰暦9481年10月16日
昨日から思っていたこと●あるが、この村には灯りが無い。
頭悪すぎて火を起こす知恵も無いらしい。
しかし、同時に疑問に思ったことがある。コイツらすぐに狼を見つけるんだ。
この真っ暗の中で。
その理由が暗視がかなり効●らしく、暗闇でも見えているとのこと。
そして、回復が早●からなのか、少し噛まれたくらいじゃ動じない。
だから今まで全滅せずに生き残ってこれたのかもしれない。
良い機会なので、火の起こし方を教え、小さめの光を出す石を数十個くれて
やった。
これで俺たちが居る間は光の供給が出来る。
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「おかしいな? 旧トロル村の時に光を出す石なんて見た覚えないけど……」
光を出す石に関しては、含有魔力が無くなって、ただの石と変わらなくなってしまったってことかな?
探せばアルトレリア内には、魔力の再供給をすることで光るというような石があるのかもしれない。
私が訪れた時に松明は灯ってた (第10話参照)けど、あれはもしかしたら火を絶やさずに五百年守り続けてきたのか?
木材を持って来てくべるだけだから、作業としては単純なものだし、雨が降らない土地だったから火種がずっと残っていてもそうおかしくはない。トロルたちもフレアハルトほどではないにせよ、かなり乾きに強かったし。
リーヴァントに聞いた時には『雨』を知らなかったくらいだから、彼が生まれてから一度も降ったことがないのだろう。飲み水は離れた川から汲んで来てたし。
この日記から考えると火の点け方を代々伝えられているより、五百年火種を守り続けていたと言われた方がまだ信憑性がある。
まあ……それを五百年続けていたというのが信じられないが……これがどれほど凄いことか……
後で知ったことだが、彼らが水汲みに訪れていたヨントスたち兄弟が石化していたこの川、北東に位置する水の国に源流があって、中立地帯を横断して南西の土の国付近の海まで流れて行ってるらしい。だからあそこに、土の国原産のはぐれカトブレパスが棲息してたってわけ。 (第31話から第39話参照)
ちなみに、私たちが旧トロル村近くを通るように川を整備して、最終地点として繋げたのもこの川。 (第157話参照)
「さて、続き読もう」
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壁作りを開始する前に、まず村全体から村人をかき集めて班を二つに分ける。
村全体で参加してもらわないと●ても終わらんからな。
呼びかけて集まってもらったところ、女子供を除くと百●を少し上回るくらい
が集まった。これら男衆を半分に分けよう。
女子供には狩って来た狼を使って料理をして●らう。これはうちでも家事をや
っていた●リアに任せる。
『鍛冶師が家事をやってる』、フフッ……なかなか良いじゃないか。
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「………………このヒト、ダジャレとか言うのね……いや、日記だからこそか。まあヘパイトスさんのご先祖様だし、ユーモアを口にすることもあるか。しかし、料理か……」
料理なんて……トロル村時代にあったかなぁ……
これも廃れたと考えるのが辻褄が合いそうだ。
肉を火で焼いてるところを見たことはあったけど、あれがもしかして料理か? ただ焼いただけだったが…… (第10話参照)
「まあ、続きを読もう」
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さて、まずは一つ目の防衛組。
五十人をこちらに配備する。比較的頭の良いやつが十人に一人くらいいるから
そいつをリーダーにして●人一組で行動させる。
でかい豚他、狼以外の別の生物は気温が高いせいか、この村まで寄って来ない。
狼の動向●だけ注力すれば良いだろう。
とは言え、三、四匹の集団で襲って来るから中々対処も難しい。
防衛組には、村に放置されていた木から棍棒を作って●って持たせた。
この木を何で取って来たのか分からんが、もしかしたら家の素材にでもしよう
としたのか? 建て方が分からなくて放置されたのかもしれない。
そして、この狼たちは主に子供を狙って来るから、子供たちを村の中央に匿ま
った。ただ、●人でも小柄な者は狙われるから、壁作りの最中にはその周りを
防衛して●らわにゃならん。
狼自体も痩せこけてあまり体●があるようには見えないから戦い方次第では何
とかなる。
何とか防衛方法を習得してもらう。連携方法を主に教え、一匹ずつ確実に叩き
潰すことを覚えてもら●う。
戦術面では俺たちも素人の域を出ないが、考え無しのこの村のヤ●らよりはま
だマシだ。こんな侵略され放題で本当によく今まで生きて来れたものだと、逆
に関心する。
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「あれ~? 何だか生態が合わないぞ? あの狼って私が来た時には単独で行動してたヤツが多かったと思うんだけど……確か……メイフィーの話では共食いするから団体では行動しないって (第154話参照)。この時代と今とで何か違いがあるのかな?」
もしかして、トロル村に壁が無いから食べ放題だったとか?
昔はもっとトロルたちも居たのが、この日記の時点では少ないって言うと………………つまり、トロルとガルムで小規模な戦争やってて、お互い食い食われる関係をやってると、そんなところか?
ガルムは繁殖力が強いって言ってたから、トロルが押し負けて今この状態?
今トロルたちが少なくなったのをガルムたちも理解していて、トロルを生存させてる。何せ、数日で噛みちぎられた傷が再生するような種族だ。生かしておいてちょびっとずつ食べれば、トロルは減りもしないし、自分たちは食料の調達ができる。体の良いガルムたちの食料生産庫になってるのではないか?
それで、ギリギリの極限状態をヒーナさんが見つけて壁作ったとか、そういう想像ができるが……
その後は、ガルムたちが食うに困るようになって共食いを始めた……とか?
何で他の生物が居ないかについては……この二種族が特に熱に強いからと考えればそれほどおかしくはない。
「ただ……コイツらって、高熱にも強いのに現アルトレリアの環境でも普通に生きてるのよね……何で別のところに行かないんだろう? そっち行けば別の生物も居るから食料はあると思うんだけど……」
そっち行ったら寒かったからこの辺りに居るとか? だとすると、現環境で生きてられるのが不思議だが……
最近は暑くなかったところから別の生物が流入してきて、それを食べるようになったから共食いやめたって話も聞いたし。
フレアハルトたちも寒くなっても生きてられないわけではないから、彼らも寒くても生きてられるとか?
何せ、溶岩の中で生きるような彼らが、アルトレリアで寒いながらも生活できていたわけだし。
あ、もしかしたら涼しい方には天敵が居るのかもしれないな。それならこの辺りで屯してるのはおかしくないが……
「どう考えても気温差で矛盾してしまう……後でカイベルに聞いてみるか。あと、注目は棍棒だね。初めてリーヴァントに遭遇した時に持ってた棍棒、あれってこの時に作られたものなのかしら?」 (第2話参照)
………………材質は木だし、流石に五百年残ってるってことは無いか。
まあ、現代までの間に五百年もの時間があればその中には、このウォルニールやリーヴァントのような頭の良いトロルも生まれているだろうから、作り直した可能性は大いにある。
「それに……連携は頭良くしてから初めて使ったって言ってたのに、五百年前にもう教えてるじゃないか。壁できて安全になったから五百年の間に忘れ去られたのかしら?」 (『頭良くした』については第15話から第16話参照)
何だか、ところどころ今の旧トロル村に無い物が出てくる……
まあ……続きを読めばまだ色々判明するだろう。
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●つ目は壁製作組。
村の周囲に、狼から守●ための防壁を作ってもらう。
こちらも一人リーダーを決めて、十人一組で行ってもらう。
ここは乾燥地帯だし、版築工法が良いだろう。
まずは材料を集めてもらおう。
だが、その前に全員で戦闘訓練だな。
素材集めに行く●しても、狼のいる荒野を歩かなければならない。
身を守る術を先に習得しておかないと、そこまで行けない。
水を汲みに遠いところまで行ってたらしいが、よくもまあ生きてられたものだ。
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「この日の日記はここで終わりか」
そのまま次を見ようとしたところ、少し日にちが飛んでいる。
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冥陰暦9481年10月26日
十日ほど訓練に明け暮れた。
コイツら、少し厳しくするとサボりやがる!
「お前らの生存戦略の●めにやってんだぞ!」
ってのをそのまま口にしたが理解しねぇ……
ここではウォルニールが癒しになってくれた。彼は比較的理解力がある。
彼が他の『オラたち』と俺たちの間に入ってくれなければ、とっくに投げ出し
ていただろう。
まあ、そんなわ●で、多少の戦闘技術は教えることができた……と思いたい。
そろそろ素材集めに移行しても良い頃合いか。
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「めちゃくちゃ苦労してるわね……」
私はすぐに頭良くしたから、十日も彼らと付き合うとかなりストレス溜まってくるのかしら?
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冥陰暦9481年10月27日
今日から素材集め開始。
そこで藁クズと石灰を集●●よう命令し、水を汲んでくるよう指示をした。
が……
あぁ~~~~!
コイツら、ほんっとうに要領を得ない!
藁クズを拾って来てくれと言ったら枝拾ってきやがる!
石灰も拾って来るよう頼んだら。●灰がどれなのか分から●らしい。白い石っ
て言っただろうが!
貝殻のことも知らんようだから、更に要領を得ない!
何度も何度も「違う!」、「それじゃない!」、「藁クズだって!」と言って
も「藁クズってどんなんだ?」と違うヤツが代わる代わる聞いて来やがる!
ソイツ一人に伝えたら共有してくれよ!
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「な、何だか凄く荒れてらっしゃるわ……」
この頃のトロルは、報告・連絡・相談が全く分かってないみたいだな……
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ただ、幸いだったのは全く狼が近寄って来なかったことだ。
護衛メインの五人と壁の素材取りメインの五人。これを五グループ。
残りは村●防衛に残した。
流石に十人一塊になってると、狼たちも手出ししにくいらしく、寄って来なか
った。
まあ、何度も教え込んで、狼の毛皮で作った袋に藁クズと石灰を入れて大量に
手に入れた。
この毛皮袋も俺●ちで作ってやった。
さて、ようやく壁作りに着手できる。
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お! ついに壁作りに入るわけね。
でも、水はどうやって汲んだのかしら? 狼の内臓とか? トロルは彼らドワーフが来る前はどうしてたんだろう?
投稿が遅くなってしまいすみません。特に追って読んでくださってる常連の方々、すみません。
先々週からのでまだ体調悪くて……
何とか今日中には投稿できましたが、満足に推敲できていないので、あとあと少し内容が変わっているかもしれません。
来週は大丈夫だと思いますが、来週も遅れる可能性を留意していてもらえるとありがたく思います。
次回は2026年3月6日の投稿を予定しています。
第589話【手記発見(壁の建築)】
次話は来週の金曜日投稿予定です。投稿時間は21時付近までのいずれかの時間になります。




