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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第20章

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第587話 手記発見(旧トロル村発見)

「お? これか?」


 本の形をしたものが数冊積まれているのを発見。


「本の束の中でもひと際古い日記だ……」


┌───────────────────────────────────┐


 冥陰暦942●年6月24日


 今日●10歳を迎えた。やっと●●が俺を雇ってくれる!

 く●●ぉ、親方めぇ……こ●●に待たせやがって!

 早く●を雇わな●ったことを後悔させ●やるぞ!


 妹と弟たちに羨ましがられたが、兄ちゃんたんまり稼いでやるからな!


└───────────────────────────────────┘


「十歳!?」


 働くには大分早い年齢だが……日本とは違うと考えれば、まあ全然有り得る話か。

 冥陰暦のところが破れてしまって、何年なのか分からない。

 ところどころ破れてて、破損具合も酷い。予想しながら読むしかないか……


「しかし、随分若いけど、これはヒーナさんの日記で合ってるのかしら?」


 ちょうど五百年くらい前のものだが、日記に自分の名前なんか書くわけがないから、これがヒーナさんのものだという確証は無い。

 何気なく表紙に戻ってよく見ると――


「あ!」


 ――何年から何年までという記述があった。この日記はどうやら冥陰暦九千四百二十一年から九千四百二十四年。三年分だ。

 厚さを考えると、どうやら毎日付けてるってわけではないらしい。

 しかし、日記は大量にある。確認できるだけでも九千六百七十五年まで。

 妹と弟たちってのは誰のことだろうか?


「二百五十年以上日記付けてたのか……毎日じゃないとは言え、凄い根気……」


 さて、三年ごとに新しくしてると考えると、単純計算でも八十冊以上ある計算になる。どこを読めばトロル村に関連した記述が出てくるのやら……


「カイベルに、何歳の時に土の国を出たかも聞いておくべきだったわ。と言うか……この日記、ここに全部あるってことはわざわざ持参して移住したのか……」


 その後、数冊読むも見つからず。


「これは……とてつもなく面倒くさいな。日記持ってカイベルのところに帰った方が早いかもしれない」


 ……

 …………

 ………………


 だが、それも面倒、もう少しだけここで読み込むことにする。数年分を飛ばし飛ばし読んで、何となく関連ありそうな記述になるところを探す。

 その過程で、妹と弟たちが『マリアさん』と『ローゼンさん』のことだと判明。その他に私が知らない弟『パラディス』なる人物が出てきた。

 マリアさんとローゼンさんの名前が出てきてることを考えると、この日記はヒーナさんのもので間違いなさそうだ。


 なおも読み進めるうちにようやく水の国の話が出て来る。


┌───────────────────────────────────┐


 冥陰暦9481年10月2日


 今日、アクア()()ィアの特使()来て、水の国へ移住しないかと誘われた。

 親方にそ()話をしたところ「移住? 面白れぇ話じゃねぇか! あっちでここ

 の技術を存分に広めて来いよ!」と言われた。


 親方としては、俺が居()くなろうがどうなろうが問題無いらしい。

 自分で言うのもなんだが、手塩にかけた弟子を簡単に手放すか?

 俺はその程度の弟子だったのか?

 親方がそういう考えだっ()のは残念でならないが、そ()ならなおのことこの話

 を受けるのは悪くないかもしれない。

 妹と弟たちに話したところ、一緒に付いて行きたいと言うから同行させること

 にする。


└───────────────────────────────────┘


「お、遂に土の国を出るのか?」


 しかし、この時点で既に最初の日記から六十年経ってるのか……時間感覚が人間と違うわ……

 六十って言うと……人間換算ではまだ二十歳前後か。まだまだ若者の年だ。

 この日記もところどころ破れてるけど、幸いにも重要なところが抜けてないから何とか読める。予想もしやすい。

 何だか最後の方がちょっと不穏な感じだが……


┌───────────────────────────────────┐


 冥陰暦9481年10月9日


 ヒュ()()()ルフェを発つ日。

 親方から餞別で工房の紋章入りの『高純度のミスリル銀』で出来たハンマーを

 贈呈された。

 ミスリル銀は魔力を蓄える性質があり、武()を鍛える時、魔力を付与するのに

 適しているって話だ。

 憧れていた鍛冶道具の一つを餞別に貰えるなんて!


 水の国への招聘(しょうへい)について、先に親方()話が言っていたらしく、親方は行けない

 からと、俺の名前を挙げたらしい。

 どうやら、戦力外と考えているのではなく、その逆で俺の腕を買ってくれてい

 て、水の国の要望に適う人材として俺の名を出したとか。

 かなり良い待遇を約束してくれるとのことで、そこで親方が了承の上、俺のと

 ()ろに打診に来たらしい。

 俺は勘違いし()いたようだ。あの言葉は愛のある突き放しだったわけか。


 ありがとう親方。この『マウアー』の名を世界に轟かせ()やるぜ!


└───────────────────────────────────┘


 『マウアー』って名前が出てきた。

 ってことは、やっぱりヒーナさんの手記っぽいな。ビンゴだ!

 この感じからすると、『マウアー』はこの親方から貰った姓ってことかな?


 続きを読むと……


┌───────────────────────────────────┐


 冥陰暦9481年10月11日


 しまった……アクアリヴィアに()かうという隊商に相乗りさせ()もらったが、

 どうやら禁()の土地を通る予定の馬車に乗ってし()ったようだ。

 商人曰く、禁忌の土地を突っ切る方が距離()近いし、金銭面でも安く済むから

 だ()うだ。

 金払ってる()はこっちなんだが? 禁忌の土地を通る()ら先に行ってくれれば

 別の馬車を探したものを……


 何も無ければ良いがな……

 だが……この隊商メンバーが親切だったのは救いだ。


└───────────────────────────────────┘


 お? ここで中立地帯に入ったらしき記述。

 やっぱり『禁忌の土地』って噂は独り歩きしてて、なるべくなら通りたくないヒトが多いわけか。

 レヴィやアスモが平気で訪れてるのは、その強さ故に禁忌によってもたらされる (と予想している)呪いとかそういったものを跳ね除ける自信があるからってことなのかな?

 近年の場合は、私が住み着いて改造しまくってたから、その噂が広がって『禁忌』って部分が薄れていったからとかかも?


┌───────────────────────────────────┐


 冥陰暦9481年10月12日


 荒野も同然()場所だがアーマーホースが限界とのことで、今日はここで寝泊ま

 りするらしい。 (※)

 隊商メンバーである妖精の光におびき寄せられて、()い狼やでかい豚が来る。

 こん()何も無い場所で寝泊()りはキツイな……


 都合の良いことに石壁()ある場所を見つけた。

 ここに土魔法を施し、即席の家として整えた。

 これ()ら俺たちが食われることもないだろう。

 この場所は比較的暖かいし、凍死するこ()も無さそうだ。


└───────────────────────────────────┘

   (※アーマーホース:土の国原産の馬。ダイヤモンド硬質で覆われている。詳しくは第381話)


 あ、これがアルトレリアから大分離れた場所で見つけたあの遺跡っぽいところか。 (第191話参照)

 現在、私が古代遺跡に改造してる場所だな。 (第438話参照)


┌───────────────────────────────────┐


 冥陰暦9481年10月13日


 肌が緑色の亜人の子供が狼に襲われ()いるところに遭遇し、急いでそれを助け

 た。

 村へ送って行()たところ、なぜか勘違いされて()まって四人ほどで襲撃された

 が、返り討ちにした。

 その後、勘違いだということが分かると、手のひらを返されて歓迎してくれ、

 和解。


 しかし、この男たちも子供も随分細い。

 まるで骨と皮だけでガリッガリだ。背の高さは、俺たちの方が随分低いが、女

 のマリアですら太刀打ちできるくらい体力が無いぞ?


 子供は腕の骨が見えるくらい一部の肉が食いちぎられてかなりの大怪我だ。

 だが、そのまま放っておいて良いと言う。このままだと傷が悪化して死にかね

 ないが……それでも放置しておいて良いのだろうか?

 そう思っていたが、三十分もするとちぎられた部分の血が完全に固まり、既に

 塞がっ()いた。凄い再生能力だ! 確かにこれ()ら放っておいても問題無さそ

 うだ。


 そこで片腕の無いヤツがいることに気付いて、慌てて治療を勧めたところ、そ

 れも放っておいて良いと言う。

 俺が同行させてもらっている隊商には光魔法で治療できる妖精族がいるから、

 何度か勧めてみたが、「よくわかんねからいらね」だと。


 そんな暢気に構えてられる傷じゃないんだがな……

 まさか、あれも治るのか? 俺たちドワーフだと放置したら腐って死ぬ可能性

 まであるような重傷度合いだぞ?

 治療のことすらよく分かっていな()ようだったし……


 しかし、それにも増して気付いたことがある。


 この村の惨状だ。

 村人は飢えて骨と皮ばかり、村と外界を隔てる壁()ども無いから、狼に襲撃さ

 れ放題。よくこの状態で村の全滅を免れていたと感心するほど酷い有り様だ。

 話を聞いたところによると、要領を得ない。

 必死に何度も聞いたことによると、昔はもっと沢山居たということを知ってい

 る少しだけ頭の良いヤツが居た。ソイツによると徐々に減って、今は百人くら

 いし()居ないらしい。

 そう言われて数えてみたら、百人どころじゃない。少なく見積もっても二百人

 以上は居る。下手したらもっともっと多い。

 彼らから見ると百人に見えるらしい。

 もしかしたら、自分の行動範囲外の者はカウントしていないのかもしれない。


 まあ、そんなことはどうでも良いとして、このまま見過ご()ないし、しばらく

 この村に残って村の防衛網を作ってやることにする。

 隊商は「禁忌の土地の生物だから関わらない方が良い」と言うが、流石にこの

 惨状を放っておけるほど冷徹に()なれない。このまま行くとコイツら絶滅だ。

 隊商には礼を言ってここで別れ()


 妹と弟たちには先に行ってくれと言ったが、一緒に残ると言って聞かない。

 だが、俺たちがここにしばらく滞在することを水の国に伝えてもらわないとな

 らないということで、パラディスには先に行ってもらった。

 心情的には心細いのはあったし、残ってくれたことには感謝している。


 しかし……この場所は大分暑いな……

 マリアが水魔法の使い手で良かった……


└───────────────────────────────────┘


 ここで遂にトロル村についての記述。

 パラディスさんってのは、どうやらヒーナさんの末弟みたいだ。四兄妹ってことになるのかな? まあ何にしてもカイベルに聞けばすぐに判明するか。

 彼の名前はお札を作る時にカイベルの口から出てこなかったが、トロル村の壁建築には関わらなかったからってことかな?

 しかし、トロルたち……急に襲って来るところは私が初めて遭遇した時と同じだな…… (第2話参照)


┌───────────────────────────────────┐


 冥陰暦9481年10月14日


 歓迎してくれた()はありがたいが、昨日初めてコイツらに接触したが、思って

 た以上に頭が悪い。

 村の名前を聞いても、「オラたちの村」としか分からなかった。男に聞いても

 女に聞いても「オラた()の村」。村に名前は無いのか?

 種族名聞いても分からんから、彼らが何の種族の亜人なのかも分からん。

 「しゅぞく? なんだソレ?」状態だから、仮に『オラたち族』とでも呼ぼう

 か。自分で仮定しておいてだが、何て変な名前なんだ……


 その後に、お前たちの生活を守るために村に壁を作ってや()という話を、何度

 も何度も何度も!説明してやっと理解してもらえた。


 だが、その中に突出して頭の良いヤツが居た。

 『ウォルニール』という青年だ。

 もっとも……突出してとは言うが、他のヤ()らに比べて各段に理解力があるっ

 て程度なんだが……

 まあ、彼に村の統率を頼んで、この村に壁を作ってやろう。

 そうすれば狼に脅かされることも無くなるだろう。

 その話をしたところ、彼がこの村での仮の住まいを用意してくれた。


└───────────────────────────────────┘


 お! ここで遂にリーヴァントのご先祖様『ウォルニール』登場!

 しかし、随分とコミュニケーションに苦労してたみたいだな……

 彼ら同士の会話がどうやって成り立ってたかすら分からない。私が観察してる時も訳の分からない謎の行動が多かったしな…… (第10話参照)


┌───────────────────────────────────┐


 冥陰暦9481年10月15日


 一昨日大怪我していた子供と村人が気になった。

 本当に放置しておいて大丈夫な()か心配して、彼らの住まいを見に行って来た

 のだが、その再生能力の高さに驚いた。

 ()供の方は、骨が見えるくらい腕の一部を噛みちぎられていたはずなのに、今

 日にはもう塞がって、ピンク色の皮下組織に変わっていた。

 片腕が無かった村人も、肩が形成され始め、腕が再生しかけていた。

 まさか、こんなヤツらが禁忌の土地に住んでいるとは……

 彼らのためを思うと、これは黙っていた方が良さそうだ。()くら禁忌の土地で

 他の者たちが侵入を嫌がる土地とは言え、下手にこの特徴を開示すれば『オラ

 たち族』狩りが起こって研究材料にされて()まうかもしれん。

 彼らの再生能力はそれくらい突出()ている。


└───────────────────────────────────┘


 ヒーナさん、知っていながらこの情報を秘匿したんだな。

 もしここで、他国に伝わっていれば、本当に研究目的でトロル狩りが行われていたかもしれない。

 ここでの判断がこの村の命運を分けたってわけか。

 もっとも……もっと早く知られていれば、もう少し良い生活だったという可能性も有り得たわけだが……

 まあ……商人が禁忌の土地の生物に関わりたくないといった様子を見ると、その可能性は低かったと見れるが……


「え~と、ここから先はしばらく訓練と壁建築の話になるな。壁については掻い摘んで読めば良いか。それにしてもこのヒト、ぶっきらぼうに見えて随分マメだわ」

 今回、虫食いを●で表現しましたが……見にくいですかね?

 そういった感想があれば記述を変更したいと思います。


 先日のぎっくり腰が思いのほか重く、投稿が大分遅くなってしまいました……

 まだ痛い……


 次回は2026年2月27日の投稿を予定しています。

  第588話【手記発見(壁の建築)】

 次話は来週の金曜日投稿予定です。投稿時間は21時付近までのいずれかの時間になります。

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