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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第20章

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第583話 教師陣のお迎え相談と世界の乗り物事情

 一月十五日――


「アルトラ様、ウィンダルシアさんから明日の十三時に登庁してほしいとの言伝(ことづて)です」


 エリスリーンが我が家を訪れた。


「ウィンダルシア? あ、遂に来たのね?」


   ◇


 次の日――


「お待たせウィンダルシア」

「教師派遣の件ですが、二月一日にこちらへ来る算段が付きました」

「OK! 先生方はどうやってここへ来るの? 迎えは必要? 空間魔術師が送ってくれるの?」

「いえ、基本的に一般人が空間魔術師の世話になることはありませんので」

「そ、そうなんだ……」


 自分がポンポン空間転移してるから、一般の感覚とズレてたわ……

 度々再確認させられるが、空間魔法使える魔術師ってほんの一握りなんだよね……

 何かと国同士で関わりがあると、当然のように魔王や魔王代理の傍らに空間魔術師が控えているから、居るのが当然のことのように感じている側面があったわ……


「もしかして、アスク先生を送って来てくれた時には無理させてた?」

「いえ、あの頃はまだ余裕がありましたから問題ありません。今はジャイアントアントの後処理がまだまだ大変な状況ですので……」

「あ、そうか」


 ほんの数ヶ月前だもんな……風の国の各地で群発的に発生したものだから、規模も広範囲に渡っているのだろう。

 特にカゼハナは焼け野原どころか、赤黒蟻(ブレイズタイラント)によって火山岩地帯のような状態に変貌してしまったから、その後の対処にも苦労していると考えられる。

 私が戦っていたボレアース平原も、魔王同士の激しい戦いがあったためにあちこち穴だらけになって異常な魔素濃度を記録している。対処にも苦慮しているのだろう。

 空間魔術師もあちこち飛び回ってるのかもしれない。


「じゃあ、どうやって来る予定なの?」

「馬車を乗り継いで来るそうです」


 馬車って言うと……一週間くらいかかるのかな? 到着は二月八日辺りか?


「道のり、結構大変なんじゃない? 何だったら私が【ゲート】で迎えに行くけど? わざわざこちらを訪れてくれるわけだし」

「それは願っても無いですね。馬車は長時間乗ってると尻をはじめ、身体中痛くなりますし」

「あなたも馬車で来たの?」

「いえ、私は飛べますから飛んできましたよ。ジェット気流(ストリーム)に乗ってしまえば休んでても移動できますし。馬車なら一週間ほどかかる距離も、飛んでくれば二、三日で着きますから」

「あ、ああ……そうなのね」


 そういえば国は違うが、以前ウォライトさんが飛んで来たって話してたっけ。 (第539話参照)

 この世界、有翼種族は移動が楽で良いな。

 しかし、飛行機の無いこの世界で『ジェット気流(ストリーム)』ってのも違和感があるが……


「ジェット気流(ストリーム)って、普段使いする言葉なの? 飛行機無いのに」

「飛行機というと……確か地球で飛んでいる金属の鳥でしたよね? 亡者の方から聞いたことがあります」

「ま、まあそんな感じのヤツ」


 人が大勢乗れる鳥だが……


「ジェット気流(ストリーム)は、亡者の方が口にするようになって定着したという感じだったかと。その前は『速射風(アローストーム)』という名前でしたね。我々鳥人種がその風に乗ると弓で飛ばすように速く飛べるので、そういう名が付きました」

「へぇ~、なるほど。理に適った名前だね」


 『偏西風』ではないのね。


「でも何で名前が変わったの? 伝統的に速射風(アローストーム)って言われてるなら、中々変えようとは思わないんじゃない?」

「今後、魔界で飛行機というものが出来るのを想定してってところですかね。(アロー)よりも噴流(ジェット)の方が速度が早いですから」

「なるほど。ところで、飛行機が無いってことは、この世界に空を飛べる乗り物って無いの?」

「ワイバーン便がありますが……」

「あれってヒトも運べるの?」

「運ぶこともありますよ。ただ、大分揺れる上に結構な割高ですのである程度お金を持ってる方でないと利用は厳しいですね」


 空飛ぶ乗り物って、現地に行くまでの時間を短縮できるからやっぱりお高めなのね……

 リナさんは我が国の食のためにそれを簡単に手配してくれたわけか…… (第248話から第249話参照)


「最近は雷の国で開発されてる飛空艇なるものがありますね」

「飛空艇!?」


 ファンタジーな乗り物キターー!!


「魔力動力変換で電気を作り、蒸気機関を組み合わせたWエンジンで、木と金属で出来た船を空に浮かばせるそうです。船に沢山取り付けられた風の魔石の浮力によって船体を軽くし、燃料を節約するとか。何年か前に試作機が飛行に成功したとかで、実用も近いと言われていましたね。今何度も試運転されているとの情報を得ています」

「蒸気機関で船が浮くの? 凄いね」

「風の魔石の浮力が肝だとか」

「そっか、あの強い風のヤツを上手く使ってるわけね」


 火の国で体験した時のものですら凄い風だったから (第394話参照)、あれを飛空艇に利用する大きさとなるとそりゃ莫大な風が出るんだろう。


「燃料って、石炭?」

「いえ、現在は液体燃料ですよ。主に土の国、火の国、氷の国などで産出されます。それに加えて乗船する客の魔力ですね。少しずつ吸い取って動力エネルギーにするそうです」

「え? それって乗客が疲れない?」

「乗船人数が少なければそれ相応に徴収されるので疲れるでしょうね。しかし、定員いっぱいまで乗船させるでしょうから徴収される魔力はごく軽微のはずですよ。そのため心臓が悪かったり、衰弱しているようなヒトは乗れないかもしれません。が、魔力徴収を無効化するシステムが開発されればそういった方々も乗れるようになると思います。魔力消費の関係もあるので蒸気機関も合わせたWエンジンなのでしょう。もっとも、私が知っているのはその程度で詳しい仕組みまでは存じませんが」

「なるほど」

「私は鳥人なので、これが出来ることの気持ちはよく分かりませんが、もう少し未来では亜人や獣人たちの空の旅が簡単で楽なものになるかもしれませんね」


 じゃあ近い将来、大型の船が空を飛べるのが見れるってことなのか。

 船が飛ぶなんてゲームの世界だけかと思ってたけど……流石魔法のある世界だわ。

 …………そう言えば、この世界の自動車事情ってどうなってるのかしら?


「今思ったんだけど、この世界ってまだ自動車走ってないの?」

「自動車……というと馬を使わないものでしたか?」

「そうそう、燃料で走らせるやつ」

「詳しくは存じませんが、雷の国には走ってると耳にした気がします」

「私雷の国は何回か行ってるけど、見た覚えないんだけど……」

「どこの国もずっと馬車文化でしたからね。今が馬車からの黎明期と考えられます、まだ台数が極端に少ないのでしょう。そういうのは私よりも雷の国の方に聞いた方が詳しく知れると思いますよ?」

「それもそうだね。ちなみに風の国では?」

「もちろん走ってません」


 技術大国である雷の国でも少ないんだから風の国はまだまだか。


「馬を使わないということは、馬車だけで走るのですか? どうやって?」

「御者が必要無くて、操縦者が操作できるようになってる。操るのが生物じゃないから、馬より遥かに簡単だよ。車輪も車体ももっとコンパクト。見た目も馬車のように大仰な感じじゃないし、車体は金属でできてる」

「現在の我々には想像付きませんね……我が国は馬車で走るにもあまり適さない国ですし」


 よくそんなところに国作ったな……


「でも何でそんなとこ住んでるの? 不便じゃない?」

「代々の歴史というやつでしょうか。今は平穏な時代ですが、過去には戦乱の時代がありましたからね。キノコ岩の地は道が途切れ途切れなので外部から攻めるのが難しいんですよ。それに有翼族が多く住むので我々には制空権という協力な優位性(アドバンテージ)がありますし。この地形のお蔭で先日発生したジャイアントアントの侵攻を留めおけたという一面もあります」

「ああ、確かに。飛べない生物にとってはかなり動きづらい地形だよね」」

「今ののどかな生活でも困らないので、引っ越そうと思う者もそれほど居ないのでしょう」

「なるほど」


 私のように地球で利便性の高いところに住んでた人間は不便と感じるが、現地人としたらそれが当然だから、それほど不便とも感じてないわけか。


「でも、他国の都会に憧れたりしないの?」

「若い者にはそういう考えがあると思いますよ。現在は風の国の地方に少し大きめの町も出来てきてますから今後風の国首都(ボレアース)がどうなっていくか分かりません。もう数十年後かそれ以上の年数かすると首都を遷移するという話も出てくるかもしれませんね」

「若い者にはって……あなたいくつなの? 若く見えるけど……」

「四十三歳です」


 結構行ってた……まだ二十代かと……

 ってことは……ティナリスが前々世の私がまだ存命の時に確かまだ雛鳥だったはずだから、彼女は三十歳そこそこ。

 ウィンダルシアからしたら年下の上司ってわけか。 (ティナリスについては第235話参照)

 ルフという怪鳥種はそこまで高い戦闘能力ってことなのね。


「寿命はどれくらいなの?」

「百から百二十というところです。三分の一が終わった程度ですね」


 人間より少し長命だな。


「え? ってことは、前々世で私が女王だった時代も知ってるの?」

「まだ若鳥の頃でしたので、政治についてはそれほど理解してませんでしたが、今と同じく善政を敷いていたことくらいは理解しておりました」


 彼が私をベルゼビュートと信じる寄りなのは、アスタロトに言われたからだけではなく、そういうところもあってなのか。


「話を戻すけど、物資はどうやって運んでるの?」

「馬車が全く走れないというわけではないのですよ。道もそれ用に整備されていますから。ただ、集団で通る場合に道の狭さがネックになるということで、攻めにくい土地なんです。現在では壁を走る登山鉄道でも物資が届けられますからね」

「ああ、あの壁を走る列車、なるほど」


 生活に困らなきゃ引っ越す必要性も感じないってわけか。

 確かに田舎住みでも、野心でも無ければ都会に出てこようと思わないしな。


「飛空艇が作られてるなんて、思わぬ話を聞けたわ。じゃあ話を戻すけど、二月一日は私が【ゲート】で迎えに行きます。出発してしまわないようにあちらへの連絡をしておいてもらえるかしら?

「分かりました」

「当日は同行と橋渡しをお願いしますね」

「はい」

 ファンタジーの飛空艇の仕組みって未だによく分からないですよね。

 現実で船を空に浮かべようとして、できるものなんだろうか?


 次回は2026年1月30日の投稿を予定しています。

  第584話【教師陣のお迎え】

 次話は来週の金曜日投稿予定です。投稿時間は二十一時付近までのいずれかの時間になります。

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