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建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~  作者: ヒロノF
第20章

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【EX】第582.7話 二回目のお正月(休みのアルトラ邸)

 アルトラたちへ視点が移る――


 家に着いて全員すぐに着物を脱ぐ。


『あ~、窮屈だったわ……!』

「派手な服装だから着るのは楽しいんだけド、着続けるのが大変だよナ……」

「じゃあ、夕食までゴロゴロしましょうか」


 と言ったところ、リディアは――


「友達のとこ行って来ル!」


 ――と言って出て行ってしまった。

 若者は元気だ……


 ネッココは――


『私は庭で寝てるわ! 疲れを回復しなきゃ!』


 ――庭に埋まりに行った。


 カイベルは――


「夜食べるおせちの準備をしておきます」


 ――と言ってキッチンに引っ込んで行った。


 私一人……

 ポツンと残されてしまった……

 ゴロゴロしたいのは私だけか……


 じゃあ読書でもするかと本を持ってリビングのソファに寝っ転がったところ、突然ソファの前の影が盛り上がり、黒い半球状の形を形成する。

 直後に黒い半球を破ってクリューが現れた。


「うわおぉぉ!! ビ、ビックリした! と、突然目の前に出現しないでよ! ビックリしたじゃない!」


 思わず『ビックリ』と二回も言ってしまった……


「【闇の道(ダーク・ロード)】で来てほしいって言ってたじゃないですか」

「いや、直接家の中に出現せんでも、玄関とかに出現してくれれば良いじゃない」

「足が汚れるじゃないですか」

「靴履いてればいいでしょ?」

「それで、私を一度家に帰らせた理由は何だったんですか?」


 それを言われて一瞬口ごもる。


「え、と……何か……突然私の周囲で恋愛フラグが立ったらしい」

「? フラグの意味が分からないです。何の用語ですか?」

「ゲームの用語でイベントが発生する前の内部処理のことだよ。例えばAイベントってのを終わらせるとBイベントが起こる前にプログラム内で『このBイベントが起こりますよ』ってスイッチがオンになるの。これが『フラグが立つ』っていう意味」

「説明聞いてもゲームやったことないので分からないですよ……」

「要するに今日あなたが私たちと一緒に晴れ着で神社へ初詣に行ったのを見て、『クリューと私、もしくはカイベルが恋仲なんじゃないか?』って勘繰られたってこと」

「え!? 全くそんな気無いですが……」


 って本気で否定されると、それはそれでちょっとモヤっとするな……


「つまり、勘繰られたからそのまま私をアルトラ邸へ招かず、一旦自宅に帰らせて秘密裏に【闇の道(ダーク・ロード)】で来させたってことなんですか?」

「まあ、そういうわけ」

「亜人たちの心の機微は面白いですね。そんな程度のことで恋愛に直結させるとは」


 神様の一種だから分からんのかな……

 いや、でも不倫しまくる神様とかも居るしな……

 クリューは自分で下っ端って言ってたし、世界中飛び回ってるからこういうことに疎いのかもしれない。


 クリューはその後、特に何も言わずそのままリビングの絨毯の上に座った。


「まあ……どうでも良いですね!」


 その反応はその反応でムカつく……


「じゃあテレビ番組を」


 そして、はよテレビ見せろという催促。


「テレビは十九時から」

「正月くらい良いじゃないですか。今日は仕事も休みですしやることないんでゴロゴロするくらいしかないんですよ」


 あの自宅を見ると趣味という趣味は無さそうだったし、仕事が無い時は何して良いか分からないのかもな……


「はぁ……仕方ない、今日くらいは大目に見るか」


 役所も休みだから多分誰も来ないだろうし。

 十九時からって決めてるから、リディアやネッココが見たら文句を言う(ブー垂れる)かもしれないが……


 パチンと指を鳴らして【千里眼(リモート・アイ)】で地球のテレビを映す。


   ◆


「あははははは!!」


 正月のお笑い番組を見ながら大笑いするクリュー。

 もうこのヒトが我が家に居るのも、あまり違和感無くなってきたな……

 私は構わず読書を続けていたところ、突如真顔になり勢い良く立ち上がった。


「ど、どうかしたの?」

「死神業務です」

「え!? 今から!?」

「なるべく早く行った方が良いですね。地縛霊でなければどこかへ行ってしまう可能性があるので。と言う訳でちょっと行ってきます!」

「え? ちょ……」


 何があったのか聞く暇も無く、義体を置いて【闇の道(ダーク・ロード)】でどこかへ移動して行った。

 初めて目の前で義体から出て行くのを見たが……


「コ、義体(コレ)どうするのよ!?」


 どうしよう……ソファに座らせた方が良いかな?

 でも魂が無いってことは……


「死後硬直っていつから始まるのかしら? カイベルに聞いた方が良いかな?」


 いや、今までこういったことはきっと何回もあったんだろうからそのままでも良いか。

 死神業務で頻繁に出て行ってるんだろうし、流石に長時間行ったきりってことはないでしょ。

 仮に長期間帰って来なくて腐ってしまったとしても、私が創った義体だから創成魔法で修復できるし。

 万が一長時間帰って来なくて、座ったまま硬直したら動くのが大変そうだから、とりあえずリビングに寝かしておくことにする。

 三十分戻って来なかったら、【亜空間収納ポケット】に放り込んで死後硬直しないように時間経過を止めよう。


   ◆


 十分ほどしたら戻って来た。


「ただいま戻りました」

「あ、お帰り。早かったね」


 今度はきちんと玄関から入ってきてくれた。

 そして自分の義体の前で止まって一言。


「アルトラ……もうちょっとこう……何とかならなかったんですか? 私の義体(からだ)をリビングに転がしておくって……ソファとかにでも座らせてくれれば……」

「だっていつ帰って来るか分からなかったし、魂入ってないんだから座らせた状態で死後硬直しだしたら大変でしょ?」

「そんな、傷むほど長い間離れませんよ……。場所移動も【闇の道(ダーク・ロード)】なら一瞬ですし」


 少々愚痴りながらリビングに寝っ転がった義体に入り込むクリュー。


「で、突然出て行って何があったの?」

「運悪く行商人の車輪に巻き込まれてしまったようです」

「あなたが出動したってことは亡くなったのよね? 助かる見込みは無かったの?」

「流石に馬に()ねられて心臓付近を轢かれてしまっていては……」


 うわぁ……元日から可哀想……


「どこのヒト?」

「樹の国の猫獣人でした。もっと頑丈な種族なら大丈夫だった可能性もありますが……運が悪かったです。そのヒトの魂を精霊門へ送り届けてきました」


 え……猫獣人って……


「そのヒト、アーニャさんってヒトじゃないよね? 猫獣人の女性なんだけど……」 (第579話参照)

「そのヒトではないですね。男性でした」


 ホッ……

 ヒトが死んでるから『ホッ……』もおかしかもしれないが、とりあえず知り合いじゃなくて良かった……


「お疲れ様。ところでさ、精霊門の先ってどうなってるの? そっち側にも審判場や天国や地獄みたいなところがあるの?」

「さあ? 私は精霊界までは行けませんので分かりません」

「あ、そう……」


 こっちでも分からずじまいか……


   ◆


 読書に夢中になってしまった。いつの間にかもう四時半を回っている。

 クリューはテレビを見疲れたのか、寝転がってコクリコクリと舟を漕いでいる。

 もうこれ以上テレビ見ないだろうと、パチンと指を鳴らして【千里眼(リモート・アイ)】を消したところ――


「……あ! まだ見てます!」


 ――突然目覚めてこの言葉である。うたた寝あるある。今まで音がしてたのに急に消されると起きるアレ。

 リビングでうたた寝してるお父さんか!


「眠くなってるみたいだし、もう消して良いでしょ?」

「ですが、テレビの独り占めというのもあまり無いことですので……」


 今まで独り占めしてみたかったのかな……?


「少々お疲れのようですね」


 と、クリューのために掛布団を持ってくるカイベル。


「ええ、魔界生活で初めて長期の休みってことで気が緩んでるんですかね。肉体を持つまで眠くなることを知りませんでしたよ」

「まだ夕御飯まで時間がありますし、ひと寝入りしてはどうですか?」

「じゃあ、お言葉に甘えて……」


 カイベルから掛布団を受け取って寝てしまった……

 自分ちでもないのに随分リラックスしてるなぁ……まあ寝るくらい別に良っか。


   ◆


 五時を回ってリディアとネッココが帰って来た。


「ただいマ!」

『ただいま!』

「あれ? 何でクリュー居るんダ?」

「何でって……いつものことじゃないの?」


 これくらいの時間に来ることもあるし、そう特別なことでもない気がするが……

 と思って聞き返してみたところ、


「ナナトスとカンナーとレイアが、クリューの家の方をずっと見てたから家に居るのかと思ってたゾ?」


 三人が尾けてたのはクリューの方だったか。

 いや、これは多分私にも関係あることか? 今日ゼロ距離ドアをくぐって我が家へ向かうかどうか見張ってたってところだろう。


「クリューが家に居ないことアイツらに知らせて来るカ?」

「いや~、別に良いでしょ。いつまで待っても出てこないの分かったら帰るだろうし」


 教えたら、ゼロ距離ドア以外で我が家に来れる手段があるってことを教えちゃうようなもんだし。

 しかし、寒さに弱いはずのレイアが長時間外に居るってのが気になるわ。


「レイアの様子はどうだった? 体調悪くなってたりとか」

「? 別に普通だったゾ?」

「それなら良いわ」


 まあ、何とか暖を取ってたんでしょう。

 しかし、噂話好きなヒトは何時間も待ってでもパパラッチしたいもんなのか?

 私は芸能界の誰々がくっ付いただ、誰々が破局しただ、なんてことにほぼ興味無かったから分からないわ。


「今日はおせちです。もう少しで出来ますので少々お待ちください」

「手洗って来ようっト」

『私も!』

「んあ? リディアとネッココ帰って来たんですね」


 ガッツリ眠っていたクリューが目を覚ます。

 その後、今年の多幸を祈って魔界風おせちを皆で頂いた。 (どんなおせちかは第209話参照)

 さて、物語中でも現実でも年始めです!(もう19日経ってますが……)

 今年も頑張りましょう!


 次回は2026年1月23日の投稿を予定しています。

  第583話【世界の乗り物事情と教師陣のお迎え】

 次話は今週の金曜日投稿予定です。投稿時間は二十一時付近までのいずれかの時間になります。

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