第二章第二節、生存
この街には、まだ人がいる。
家族を捨て、友人を捨てたような人たちが集まっている。
だが、そいつらで結束しているわけではない。
誰もが他人を警戒し合っていて、息が詰まる、とかいうのだろうか。
そんな街を闊歩する少年は、奇異の目で見られている。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
お、コンビニがあるじゃないか。飯とかまだ残ってるかな。
手動になってしまったドアをガラガラと滑らせると、中で物音がするのが聞こえた。
なんだ、先客か。
「こんにちはー。僕の分も残ってますかー」
………返事はない。
まぁ、いいか。
食いかけでもぶん取って食べるしかない。
物音の方は歩みを進める。
そこで目にしたものには、少し驚いた。
こりゃあ食えないや。
「…にゃあ」
白と黒の鉢割れ猫が、袋を裂いてキャットフードを食べていた。
「利口なこった」
「きみ、名前は?」
その猫は不思議そうに首を傾げた。
「ま、喋れるわけないか」
うーん、そろそろ一人でいるのも飽きてきたしな。
猫でも連れてくか。
「着いてくるか?」
何も反応しないので、丁度横の棚にあったビスケットを手にとってコンビニを出た。
すると、てくてくと後ろをついてくるものだから、可愛いやつだ。
袋を開け、星型のビスケットを齧る。
そうだ、名前でもつけてやろう。
呼ぶ名前がないと不便だ。
そうだなぁ。『吾輩』かな。
名前知らないし、妥当だろ。
「なぁ、猫ちゃん。きみの名前『吾輩』でいい?」
吾輩が地面の虫を見つめたのが、僕には頷いたように見えた。




