第一章第六節、孤独
両親は狂ってしまった。
自身の半生をかけて積み上げたもの全てが無駄になるのだ。
子供ながらに、彼らには同情してしまう。
はぁ。
「明日香…」
彼らは、妹の明日香まで連れて行ってしまった。
二人でおつかいに行った道も、道路はひび割れ、電線は切れ、すっかり変わり果ててしまった。
そろそろ歩くのも疲れてきた。
お腹も空いてきた。
いつものパン屋さん…のパンももう、食べれないのか。
「あっ」
しまった。誰かがいる。
若い男の人と…、あの後ろ姿は…
「明日香…?」
男の人が腕を広げると、その女の子は抱きついた。
視界の端で何かが赤く光った。
廃ビルの三階の窓から何かが覗いていた。
同時に、二人が爆発した。
爆発したのだ。
脳の理解が追いつかなかった。
足元には焦げた明日香の靴が転がった。
ただ、身体だけが動いた。
「明日香!!」
「魁!!」
女の人の声が聞こえてきたが、耳を傾ける余裕もなかった。
明日香は胸から上だけになっていた。
顔は血と煤だらけで、一瞬見ただけでは誰かわからないほどだ。
髪も燃えて短くなり、眉も焦がしている。
抱きしめても返してくれないし、ほっぺにチューしても返してくれない。
明日香…。
誰だ。こんな事をしたのは。
なぁ誰だよ。答えろよ、オイ。
久家友美、久家誠、お前らか?
死にたいならさっさと死ねよ。僕らは生きてやるからさ。
なぁ、返せよ。明日香を…
「明日香を返せよ!世界!」




