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第一章第四節、月が綺麗だ
荒れた街で、私達は月を見上げている。
「月が、綺麗ですね」
魁が急に言うものだから、吹き出してしまった。
「なにそれ!」
「えぇ!?」
魁は驚いた後、何かを待つように私を見つめている。
「えーっと…私も、あなたの為なら死んだっていいよ?」
「漱石って実際は『月が綺麗ですね』って訳した訳じゃないらしいよ」
「えぇ!?」
まじか…。ショック。ていうか、漱石の小説の中で出た言葉だと思ってた。
「はぁーあ。明日からどうする?」
魁は、少し俯いてから言った。
「こんな世の中じゃ、ただ惺葉が襲われたりしないかだけが心配だな。」
「魁…」
自分だって危ないのに。
「…私は、お人好しの魁が誰かのために死んじゃったりしないかだけが心配だけどね!」
そんなお人好しな魁が好きだよ。
「馬鹿言わないでくれよ…。僕は最後まで惺葉を守るって、この前約束したじゃないか。」
「…まぁ、最後までって言っても、後十四日間だけなんだけどさ…」
十四日、か。
「少ない…なぁ」
「もっと…もっと、魁と一緒にいたい…。彗星なんかが、滅びなんかぎどれだけ手伸ばしたって届かない場所で…、二人でずっと、二人だけでずっと、輝いていたい…」
私は本心からそう思ってたけど、魁は笑って、ラッドかよ、と言ってくれた。
考えてなかったけど、『スパークル』の歌詞みたいで、確かに、と私も笑った。




