第二章第五節、吾輩は猫?
吾輩は猫である。
名前は吾輩。
…?
意味がわからないかもしれないが、僕は先ほど、吾輩、と名付けられた。
目が覚めたら、僕は猫になっていた。
理解が追いついてから僕が最初に思ったこと。
それは、人間じゃなくなった、という悲しみと解放だ。
やけにお腹が空いていたから、コンビニにご飯を探しに行った。
当然の様に、僕らが普段食べているグミやクッキー、おにぎりなどを探していたが、そうだ。僕は猫だった。
猫用の食べ物は沢山あった。
僕だってもとは人間なわけだから、食べるのは少し抵抗があった。
だが、背に腹は変えられないし、僕の体は猫になってしまっているのだから、何も問題はない。
鋭い爪を袋に押し込むと、簡単に破裂した。
中の茶色いものをぺちゃぺちゃと音を立てて食べた。
入り口の方から物音がしてすぐ、少年の声が聞こえた。
「こんにちはー。僕の分も残ってますかー」
トーンや喋り方でわかった。
この少年は自分と同じタイプの人間だ。
彼は、僕を見つけると、目を丸くして驚いていた。
「きみ、ここは何処かな?」
彼はしばらく僕を見つめると、利口なやつめ、と呟いた。
「声が届いていないのか…?」
そう質問しても、彼は僕に何かを聞くか独り言を呟くだけだった。
彼がコンビニから出て行こうとするので、すかさず僕はついていった。
猫だから、匂いには敏感だ。
この少年からは、自由の匂いがする。
その時、僕は「吾輩」と名付けられた。




