六十二話 (視点クィム)
誰かの手が加わっている。それはもう疑いようがない……、しかし問題は――それをどう証明するかだ。
「証拠をどうやって集める?このまま放っておくわけにもいかねぇだろ。」とナサンは躍起になっているようだ。
「ふむ……ではこうしたらどうでしょう?」とマルケスは顔を上げた。
私は思わず大きな声で「何か手があるのですか!?」と言った瞬間、ナサンに手で口をふさがれた。
「……方法はいくつかあるのです。一つの手としては――運ばれてきた箱に印をつけるんです。
その中で不良が出た箱にはもう一本足して“×”にする。
当然、――気付かれないように、です。」
そう言ったマルケスに続いてナサンは「それで運んできたやつのリストをクィムが作る。」そう言って私を見た。
「……けど、それだけじゃ足りねぇだろ。」とナサンは腕を組んだ。
「ええ。」
マルケスは頷いて、規格通りのボルトを差し出して、わずかに口元を歪めた。
「だから、一つだけ“絶対に問題のない箱”を混ぜておきます。」
「……それが崩れた時点で、偶然ではないと証明できる、ということですか。」
私の言葉に、マルケスは頷いた。
「とにかく、まずは今見つけ出した規格通りのボルトだけを入れた“絶対に問題のない箱”を作ります。
目印として……中のボルトの並べ方を固定しておきます。」
そう言ってマルケスは木箱にボルトを詰めていく。
周囲では変わらず作業の音が響いている。
だが、その中に――どこか落ち着かない気配が混じっているように感じられた。




