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輝星のグランギルド  作者: yuuberu
3章 学園生活編
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第14話 想定外

アスト「ユキト!上に飛んで!」


ユキト「おう!」


僕の声にユキトは翼を使って大きく飛んだ。


アスト「宝石魔法 アクア・フロー!!」


僕の魔法でゴブリンを激流で流した。その先には、切り立っている崖があり、全員が一か所に固まる。


ユキト「どりゃあぁっ!!」


ユキトが大剣を持ち、空から落ちてきた。


ドゴオォン!


大きな衝撃波がこちらにも届いてきた。さすがユキト、破壊力が僕たちとは全然違う。


ユキト「まだまだぁ!!」


さらに力強く剣を薙ぎ払い、あっという間にまとめたゴブリンを一掃してしまった。


アスト「…よし!さすがユキト!」


ユキト「へへっ!いい連携だったんじゃないか?」


アスト「だね!」


ライキ「アスト!ユキト!こっちも頼む!」


アスト「うん!」


近くに大きな岩の壁があって助かった。同じ崖ではあるが、落とす以外にも崖には使い道がある。こういった場面では生き抜くために知恵が試される。僕はそういった知恵はまだまだだけど、足りないならみんなで補う。1人では無理でもみんなとなら乗り越えられる…これが大切なことなのだろう。


シュート「炎魔法 バースト・フレイム!」


遠くの方でシュートが炎を出している。


ライキ「雷魔法 エレクティル・ドライブ!」


炎はゴブリンを包んだ。広範囲に広がった炎のおかげで、ゴブリンからは周囲が見えない状態だ。そこを、炎が消えた瞬間にライキが切り付ける。


アトラ「金魔法 ゴールド・スラッシュ!」


ジル「天候魔法 レイン・スピア!」


アトラが二つのダガーで敵を斬りつける。斬った場所が金に変わり、動けなくなる。そこに、槍の形をした雨がゴブリンに降り注ぐ。2人も、魔法の技術力がかなり高い。おかげでそっちも安心して任せられる。


アスト「この調子なら…行ける!」


ユキト「おう!このまま押し返そうぜ!」


順調にゴブリンの数は減らせていた。と言っても数が多いのは変わりない。倒しても倒しても、どんどん次のやつがどこからかでてくる。


アスト「ユキト!右に3体!」


ユキト「おう!」


目視するまで気配を感じ取れないという仮説が正しければ、今は自分の目が頼りだ。特に周りを見る状況判断も重要。誰かが攻撃に行くと周りが見えなくなる。だからその分の目を別の人が補う。それができるのは、主に遠距離で戦う僕だ。僕はまだ近接での戦いが苦手だから、こうやってみんなの状況を見て指示を出す。


アスト「シュート!左から1体忍び寄ってる!アトラくんは後ろに気をつけて!」


シュート「はい!」


アトラ「…分かった!」


もちろん僕だけでは追いつかないので、たまにシュートやライキが余裕のある時に周りを見ている。ユキトとアトラくんとジルは本能的に分かるのか、たまに目視しなくても敵の位置を理解している。


ユキト「っと…だいぶ減ってきたな!」


ユキトが僕の近くに寄ってきた。離れすぎると僕を守れないため、いつも僕の見えるところで戦ってくれている。


アスト「…何でユキトは僕が指示しなくてもゴブリンの位置が分かるの?」


ユキト「ん?」


アスト「だって…さっき背後にいたゴブリン、目視してないのに急に後ろを向いて剣で薙ぎ払って倒したよね?しかも、まるで分かってたかのような動きじゃなかった?」


ユキト「あぁ…何というか、嫌な予感がするんだよな。確かに気配はないけど、こう…ビビッとくるんだ」


アスト「び…ビビッと?」


ユキト「背筋に何か来るんだよ。寒気というかなんというか…そんな感じなのが」


アスト「わ、分からない…」


ユキト「はは…まぁ後は…音だな。さっきのやつは草むらから飛び出した音がしたし、気配がなくても何かいるって分かるんだよ」


アスト「あっ…なるほど、それは分かりやすかった!僕も周りの音を聞いてみようかな」


ユキト「と言っても集中力も必要なことだから、やるにしても油断するなよ。俺だって常にここにいれるかは分からないんだ」


アスト「分かった、気をつけるよ。でも実際にやって見たいから、周り見てもらっても良い?」


ユキト「おう、任せてくれ」


僕は少しだけ、周りを見ながら音にも注意を向ける。確かに、いろんな方向から音が聞こえる。ユキトたちみんなの居場所は分かる。つまり、そこ以外の場所から音が聞こえれば、そこに敵がいる。


アスト(これなら…もう少し戦いやすくなる!)


僕は、さらに音を集中して聞いた。みんなが戦う音。ゴブリンたちの足音。いろんな音が聞こえる。遠くからはまだファリルさんとオークロードが戦っているのか、大きな音も聞こえる。


…ドスン


アスト「…ん?」


僕はもう一度音を聞いた。


…ドスン


アスト「あれ…?この音は…?」


ユキト「どうした?」


アスト「えっと…みんなが戦ってる音の中に何か違和感のある音が聞こえる…」


僕が言うと、ユキトも耳をすませた。


…ドスン


ユキト「…確かに、何か聞こえるな。これは、足音…」


そこまで言ってユキトの表情が変わった。


ユキト(…いや待て、この辺りは今みんなが戦ってるから、大きな音で溢れてる。それなのに…足音が聞こえる…?)


アスト「どうしたのユキト?」


ユキト「ま、まさか…」


ユキトは音の方向を見ていた。それは、アトラが一度塞いでいた洞窟。そこから音が響いている。気配は…ない。でも、足音があるということはそこに何かいる。


ユキト「…は?」


アスト「…え?」


洞窟の奥を見ていると、暗闇から少しずつ足音の正体が現れた。とてつもなくデカいオーク。そして、黒い姿。さっきも感じた、あの嫌な気配が、見た瞬間にひしひしと感じ始めた。それは他のみんなも気づいたようだ。


アスト「オ、オーク…ロード!?」


シュート「な、なんで…今ファリルさんが戦っているはずじゃ…!?」


遠くから焦った声を出しているシュートが聞こえる。他の3人も、姿を見て驚いている顔が見えた。


アスト「…違う、今こいつの気配を感じれるようになった…それに、まだファリルさんとオークロードの気配は感じてる…!」


ユキト「…まさか…こいつ…2体目か…!?」


完全にやらかした。どうしてそこの可能性がよぎらなかったのか…。オークロードはずっと1体しかいないと考えていた。複数体の可能性…もっといろいろ考えるべきだった。


アスト(ダメだ…!こうなると話は変わってくる!)


オークロードは本気のファリルさんでようやく戦えている。そんな相手に、今の僕たちでは相手にもならない。ここは、やはり撤退するべきだ。僕は…みんなを守る義務がある。判断は間違えられない。


アスト(…ダメだ、まだ村の避難が完了したか分からない!完了してたらこっちにもギルドの人が来るはず…!ということは、まだ時間がいるはず…!)


ユキト「…どうする、アスト」


アスト「ギリギリまで…時間稼ぎ。ギルドの人が来るまで耐えよう」


ユキト「あぁ…!分かった!」


シュート「アストさん!ユキトさん!」


すると、後ろから4人が走ってきていた。


アスト「みんな…!」


シュート「俺たちの方もあらかた片付きました。俺も…手伝います!」


ライキ「6人ならそれなりに戦えるはずだ、やろう」


アトラ「…ゴブリン全員を倒せたかは知らないが、ギルドがフォローしてくれるだろ。俺たちはこいつをどうにかするぞ」


ジル「余計なことはするなよ。危険になったらすぐ撤退だ」


全員が武器を構える。僕も魔力を集めるように集中した。オークロードは睨みつけるような目で僕たちを見ていた。


「ブモォォォ!!」


アスト「うっ…!?」


大きな怒号が響く。それだけで体が吹き飛ばされそうになった。


ユキト「っ!くるぞ!」


顔を上げると、オークロードが既に巨大な棍棒を振り上げていた。


アスト「宝石魔法 クリオライト・バレット!」


棍棒と腕に魔法を放つ。みるみるうちに氷漬けになり、勢いが止まった。その隙に全員が距離をとる。しかし、数秒もしないうちに氷は割られてしまった。


ドゴーン!


棍棒が地面にぶつかる。勢いは落としたはずなのに、それでも巨大な穴が空いている。


アスト(こんなの喰らったら…)


死の危険を感じ、足が一瞬すくみかけた。だけど、しっかりと足を地面につけ、力を入れる。


ライキ「雷魔法 クラッシュ・ボルト!」


オークロードに雷が直撃する。しかし、雷をくらったにもかかわらず、全くダメージを受けていないようだった。お構いなしにどんどんこちらに歩いてきている。


ライキ「俺の雷魔法…全く効いていないのか?」


ジル「おい、お前ら2人は戦ったことがあるんだろ!何か情報はないのか?」


横にいたジルが、少し焦った声で僕とユキトに聞いてきた。


アスト「僕たちが戦った時は…確かに魔法は効いてなかったかも…」


ユキト「そして見てわかる通り、一撃の力がとんでもなく強い。だがその分移動スピードは遅いってところだな」


アスト「あとは…喉元が弱点だよ。剣か何かで貫けば…倒せると思う。ただ肉が凄い厚くて丈夫なんだ。ちょっとやそっとの力じゃ…倒せないと思う」


ユキト「それに…俺たちが戦ったのは普通のオークだ。だから、もしかしたらまだ知らない情報もあるかも知れない」


ジル「そもそも、あいつには再生能力があるんだろ?」


シュート「その再生能力よりも高い攻撃力かつ…喉を貫けるほどの破壊力をもつ攻撃…そんなの、誰も出せないですよね…?」


ライキ「…ユキトは…厳しいか」


ユキト「…あぁ、悔しいけど、今の俺じゃまだ攻撃力が足りない」


そう言ってユキトは歯をギリリと噛み締めた。


ジル「もう考えてる暇はない!全員で遠距離で攻める、それで行くぞ!」


ジルの言うことは最もだった。もう近いところまでオークロードが迫っている。


アスト「ま、待ってジルくん!」


ただ、あのオークロードに他の力があるとまずい。だから、何とか作戦も立てておいた方が良い。


アスト「みんな、ちょっとお願いがあるんだけど…」


ユキト「なんだ?」


全員が僕の方を見た。


アスト「ちょっとだけ、僕に攻撃がいかないように時間を稼いでくれないかな?」


シュート「何をするんですか?」


アスト「僕が魔力を貯めて、あいつをクリアライト・バレットで完全に凍らせる」


全員が驚いたように息を呑んだ。


ライキ「そんなこと…できるのか?」


アスト「かなり魔力を貯める必要があるけどね。ただ、その間僕は無防備になるし、確実に当てないといけないから、あまり距離も取れない。だから、みんなにちょっとだけオークロードが僕に意識が来ないようにもして欲しい」


ジル「…はっ、ずいぶん注文が多いもんだな」


アスト「そ、それは………ごめん…」


ジル「…いいぜ、やってみろよ。その代わり、絶対失敗すんじゃねぇぞ」


そう言ってジルくんは斧を構えた。その横で、アトラもダガーを構え直していた。


アトラ「やれるだけはやってやる」


アスト「2人とも…!」


ライキ「…頼んだぞリーダー」


シュート「絶対にアストさんには攻撃させませんよ!」


ユキト「…よっしゃ、やってやるか!」


5人が僕の前に立っていた。すごく頼もしい背中だ。僕も失敗するわけにはいかない。


アスト(絶対に成功させる…!みんなで…一緒に帰るんだ!)


自分の魔法を信じろ。こんな状況になった時に、これまで鍛え続けてきたんだろ。だから、絶対成功させろ。


アスト(この一撃で…決める!)


意識を集中させ、魔力を集める。そして、オークロードに照準を合わせた。

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