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輝星のグランギルド  作者: yuuberu
3章 学園生活編
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おまけエピソード 猫になったリーダー (最終話)

視点 ユキト



その日の夜、ご飯を食べた俺たちは、アストと遊んでいた。猫のアストはいつも以上に元気がある。せっかくだから最後に遊んであげることにしていた。


アスト「にゃっ!」


ユキト「おっと…こっちだぞ!」


アストは俺の尻尾に飛びついてくる。咄嗟に横に動いてかわした。


アスト「んにゃっ!」


シュート「わっ!次は俺ですか!」


今度はシュートの動く尻尾に狙いを定めた。シュートは捕まらないように尻尾を動かした。


アスト「にゃにゃっ!」


ライキ「来たな!」


次はシュートの先にいたライキの尻尾に狙いを定めた。ライキはこの中で1番素早い。アストが捕まえようとした瞬間すぐさまギリギリのところで避けた。


アスト「にゃあ〜っ!」


俺、シュート、ライキと尻尾をぐるぐる追いかけている。誰かがちょっと尻尾を振るだけで目が変わり、それを追いかけてくる。


シュート「やっぱり尻尾はおもちゃなんですね」


ライキ「1番はシュートだな、多い分食いつきが良い」


ユキト「羨ましいな…」


シュート「その分捕まりやすいんですけどね!?」


アストの反応が楽しくて、ついつい長い時間やってしまった。


アスト「んみゃあ〜っ……」


ユキト「あっ…」


アストはとうとう体力が尽き、地面に座ってしまった。


ユキト「やりすぎたな…」


シュート「ですね…アストさん、俺の尻尾で寝ます?」


アスト「にゃっ」


シュートはベッドに横になって尻尾を広げた。すると、1つの尻尾を手に取り、くるまって寝てしまった。


ユキト「完全に寝具扱いだな」


ライキ「おもちゃにもなるし寝具にもなる。アストにとっては1番良い尻尾だな」


シュート「…それ褒めてる?」


ライキ「褒めてるぞ」


シュート「何か複雑な気持ちなんだけど…」


ユキト「まぁまぁ…とりあえず…明日の朝になればアストも戻るはずだ」


シュート「…ですね、大変でしたけど…楽しかったですね」


ライキ「あぁ、普段のアストからは考えられないことの連続だったな」


ユキト「…猫でもアストだったところはあったけどな」


料理の時は野菜で怒られた。そして、俺が危なかった時は助けてくれた。あの瞬間は、いつものアストに見えた。


ライキ「猫でもアストはアスト…ってことだ。俺たちのリーダーなのは変わらない」


シュート「驚きましたよね!ずっとにゃ〜かみゃ〜かシャーしか言わなかったのに、あの時だけ普通に詠唱して喋ってましたよ」


ユキト「ホントにな…喋れたのかよ!?って突っ込みたかったほどだからな」


ライキ「それほど、守りたいって思ったってことだと思う」


全員がアストを見る。幸せそうに寝ている猫のアスト。いつもは体は弱いけど、俺たちのことを常に考えてくれる頼れるリーダーだ。今日1日…大変だったけど、これでお別れだと思うと…少し寂しい。


ユキト「明日の朝には…戻ってるんだよな?」


シュート「ですね、記憶は…なくなるんですかね?」


ライキ「…それなんだけどさ、少し断片的に残るらしい」


ユキト、シュート「えっ?」


ライキ「さっき読んだんだ。最後のとこに書かれてた。薬での治療なら消えるらしいが、時間経過だと残るって」


ユキト、シュート「……」


もう一度アストを見た。


シュート「これ…朝起きたらアストさん驚きますよね?」


ユキト「恥ずかしくなりすぎて魔法がとんでくるかもな」


シュート「それやめてください!?」


ライキ「シュート、頑張れよ」


シュート「ライキまで!?」


アスト「…にゃ」


大きな声でアストの耳がピクンとたった。それに気づき、声の音量を急いで下げた。


ユキト「…俺たちも寝るか」


シュート「うっ…明日大丈夫かな…」


ライキ「…アストだから大丈夫だ」


シュート「さ、最初の間が怖い…」


俺たちは笑い合った。明日になった時のアストの反応も少し楽しみだ。


アスト「…みんな」


3人「!?」


その時だった。目を瞑ったままのアストが人の言葉を喋った。


アスト「…ありがと」


ユキト「……」


シュート「しゃ、喋った…」


ライキ「…ちょっとずつ魔法が切れてきたから…少しずつ人間の理性が戻ってきた…ということか?」


2人は困惑している。でも、俺はそこは気にならなかった。アストが今言った言葉が、耳に残る。今のセリフはアストとしては…ではない気がした。どちらかと言うと、猫アストの言葉な気がする。俺はゆっくり猫アストに近づいて頭を撫でた。


ユキト「俺も…楽しかったよ。ありがとな、猫アスト」


シュート「…俺も、楽しかったです。また会えたら良いですね」


ライキ「もし会えたら、次も俺たちと遊ぼうな」


シュートとライキも頭を軽く撫でた。目を閉じたままのアストは少し笑顔になった。尻尾も嬉しそうに揺れている。こうして、猫アストとのたった1日の夜が過ぎ去っていった。



◇◇◇



視点 アスト



アスト「…あれ、ここは…」


僕はゆっくり目を覚ました。ユキトと出会って、本が光って…そこから先の記憶が思い出せない。


アスト「…えっと…確か…ん?」


ゆっくりと、頭に何かが入ってくる。知らない…はずの記憶。ユキトに威嚇したり、眠くなってライキの肩で寝たり、シュートの尻尾を追いかけたり…。


アスト(ま、待って…待って…!?)


他にも、シュートの尻尾で寝たり、ユキトたちに野菜を食べろと怒ったり、高いところに登りたくなって木に登ったら降りられなくなったり…。


アスト「し、知らない知らない…こんなの知らない!?」


…後は、レイブンアクトと戦った気がする。そして、ソファの下が気になって行こうとしたら頭を打ったりも…して気がする。


アスト「い、いやいや…そんなわけ…僕がそんなこと…!?」


と、その時だった。ふわっとした感触が頬に当たる。


アスト「……」


よく見ると、僕がシュートの尻尾を抱き抱えて寝ている。思い返すと…最後にシュートに誘われて寝た気もする…。


アスト「うわぁぁぁぁ!?!?」


恥ずかしさが上限を超えてしまい…僕は朝から大声を出すハメになってしまった。



◇◇◇



ユキト「…なぁアスト、俺たちもう気にしてないからさ…」


シュート「そ、そうですよ、だから布団から出てきてください」


アスト「うぅ…ちょ、ちょっとしばらくは無理…まだ恥ずかしい…」


自分のやってきたことが恥ずかしく、布団を被って部屋の隅に行った。今はいつも通りにみんなの顔を見れる気がしない…。


ライキ「…可愛かったぞ、猫のアスト」


アスト「やめて!?」


シュート「癒されましたね、色んな意味で」


アスト「だからやめて!?」


ユキト「野菜や野菜の時は相変わらずアストだったけどな」


アスト「…それに関しては猫の僕が正しい」


ユキト「ホントに容赦なかったからな…」


アスト「でもちゃんと食べたんだよね?えらいよ」


ユキト「…その後は木から降りられなくなってたけどな」


アスト「うわあああああ!?」


聞いた話によると、やっぱり頭に残ってる出来事は実際にあったことらしい。もう頭から火が出そうなほど恥ずかしすぎる…。


アスト「もう…猫の話はしないで欲しい」


ユキト「…あっ、そう言えば聞きたいことがあった。最後のことなんだけど」


アスト「いや待ってしないでよ!?」


ユキト「いやいや…気になることなんだって!最後、アストは猫だったのに、ちゃんと言葉を喋って俺たちにありがとってお礼を言ったんだ。アスト覚えてるか?」


ユキトに聞かれ、僕はゆっくり思い出す。確かに言われれば…そんなこと言ったような気もする。


アスト「…多分…言った。でも僕…じゃないと思う」


シュート「アストさんじゃない?」


アスト「ほ、ホントに思い出したくないけど…猫だった時、すごい楽しかったっていう感情をなんとなく覚えてる…猫になった僕だから結局同じなんだけど…どちらかと言うと、猫の僕が言いたかったこと…だと思う」


ユキト「…やっぱりそうか」


アスト「…猫の僕はずいぶん満足したんじゃないかな」


3人にずっと遊んでもらい、好き勝手に生きれた。気まぐれな1日だけど、きっと猫の僕にとっては、とても楽しかったんだと思う。


ユキト「なら良いんだ、でもまぁしばらくはもう良いかな。久しぶりにアストの手料理を食べたいし!」


アスト「僕はもう2度と変身魔法の魔導書は読まない…」


シュート「次は犬になるかもですね」


アスト「…想像したくない」


昨日の出来事で、僕は今まで図書館から借りた変身の魔導書は全て返すことにして、もとから持っているものは本棚の奥にしまうことにした。


ユキト「でも俺、嬉しいこともあったんだ。猫になっても、俺が危なかった時、アストが助けてくれた」


ユキトの言ってるのは、おそらくレイブンアクトと戦っている時のことだろう。


シュート「あれはすごいアストさんだなって思いましたね。仲間を想っている感じが」


アスト「…ちょっと覚えてる。居ても立っても居られなくなって…なんとかして助けなきゃって…そうしたら、自然と魔法を使ってたんだ」


ライキ「さすが俺たちのリーダーだな。どんな時も1番に考えるのは仲間のこととは」


アスト「何でだろう…褒められてるのに猫になってたせいで褒められてる感じがしない…」


そう言うと3人の笑い声が聞こえてきた。


アスト「わ、笑わないでよ!」


ユキト「だ、だって…昨日まであんなに素直で可愛かった猫アストが…こんなに恥ずかしがってるのがつい…」


シュート「何というか…思ってた反応と同じですね!」


アスト「…2人とも今日肉抜き!」


ユキト「えっ!?う、嘘だろ!?」


シュート「ほ、ホントに料理に影響でた!?じょ、冗談ですよー!」


ライキ「はは、2人とも自業自得だな」


結局、この日の僕はいつも通りに料理をした。もちろん肉抜きに本気でしてあげようかなと思ったけど、泣きつかれたので少し減らすということで手を打ってあげた。それでもしょんぼりしてたけど。


アスト(でも、猫になっても、みんなのことを大切に思えていたのは、少しだけ良かったかな)


いつもとは違う何気ない1日…だけど、ちょっとした猫騒動の事件はこれで終わり。改めて、リーダーがいかに仲間のことを大切にしているかを知ることができた3人であった。

次回から本編を書いていきます。

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