第12話 2人の出会い
視点 ライキ
ライキ「はぁ……くそ、全然寝れねぇ……」
つい独り言がでてしまった。4人でギルドを作るという話がまとまったまでは良かったが、すでに夜も遅くなり、不本意だが研究所で夜を明かすことになった。研究員たちは俺の属性の目の爆発と、ユキトの攻撃で誰も目を覚ましていないのでそこは安心だ。ついでにユキトが牢屋にぶち込んでくれたので安心して眠れる…と思ったが、床は想像以上に硬くて冷たい。こんな状態で眠れるわけがなかった。体を起こして周囲を見ると、シュートとユキトはすやすやと寝息を立てていた。
ライキ(なんであいつら、こんな状態で寝れるんだよ……)
すると、不意に後ろから声がした。
アスト「あれ…ライキさんも目が覚めたの?」
振り返ると、アストが壁に寄りかかってこちらを見ていた。
ライキ「アストくんも寝むれなかったのか?」
アスト「うん、ちょっとね……やっぱり床が固いから、体が痛くなっちゃって…このままじゃ朝起きた時に体がバキバキになりそうだよ…」
ライキ「だよな……俺もそんな感じだ」
そう言って、俺もアストくんの隣に腰を下ろし、背中を壁に預ける。無言のまま、しばらく2人で同じ夜の空気を共有した。すると、アストくんが口を開いた。
アスト「傷はもう大丈夫?かなり酷い傷だったけど…」
ライキ「あぁ、シュートから聞いた。アストくんが治療をしてくれたんだろ?おかげで助かった。アストくんがいなかったら…俺は今頃死んでたからさ」
アスト「…そうだろうね、あんなに酷い傷は…初めてだった…あまり派手に動いたりしないでね?僕は応急処置しかしてないから…国に戻ったらちゃんとした治療を受けてね?」
ライキ「分かってる、せっかくアストくんが繋いでくれた命なんだ。ちゃんと…大切にするさ」
そう言って俺は自分の胸に手を当てた。俺の中で、アストくんは命の恩人だ。俺は最後、生きたいと願った。死を覚悟してたが、結局シュートたちとまだ一緒に居たくて、そう願ってしまった。叶う訳ないと思っていたが、柄にもなく星にまで願った。そして、その願いが叶うかのように、アストくんたちが現れた。
ライキ(奇跡って…本当にあるんだな…)
俺はもう一度天井の穴を見た。先ほどと同じ綺麗な星空が広がっている。
アスト「…どうして、こんなことしたの?」
ライキ「こんな…こと…?」
アストくんは何故かむすっとしている。何か不服そうな感じだ。
アスト「…ライキさん、自分から命を犠牲にしてまで属性の目を使ったんだよね」
ライキ「っ!?」
アスト「やっぱりそうなんだね…ユキトとシュートは気づいてないみたいだったけど…」
ライキ「…どうしてそう思ったんだ?」
アスト「…普通に考えたら、天井に穴を開けて地上が見えるほどの火力…そんな危険な代物を、オルドフェクスの人たちが警戒しない訳がない。暴走したとしても、いろんな対策を考えてたはずだよ。でも…結果的に大きな被害が出た。それは…オルドフェクスの人たちとって、想定外が起きたってこと。オルドフェクスの人たちは想定外が起きないようにしてたはず。だからそんな想定外を起こせるのは…属性の目を持つライキさんだけなんだよ」
アストくんは、まっすぐに俺の目を見る。その力強い眼差しに、俺は負けを認めた。これ以上はおそらくごまかすことはできない。
ライキ「…そうだ、あの時俺は…奴らに一矢報いたくて…わざと目を暴走させたんだ」
アスト「…」
ライキ「俺にとって…シュートはとても大切な存在なんだ…そのシュートを失うのが…俺にとって1番恐ろしいことだった。シュートが病んで引きこもったって聞いた時…すごく怖かった。生きているのに、心が死んでしまっているかのような…そんな状態…。俺の知っているシュートは…もう死んでしまったんじゃないかってそう考えてしまって…何度も自分を責めた。だから…もうあんなシュートは見たくない。俺のせいでそうなるくらいなら…俺が死んで…シュートを守ろうって…そう思ったんだ」
俺にとって、シュートは自分の命よりも大切だ。目を持つことで嫌われ続けた俺にとって、唯一心を許せた大切な存在。だから、例え自分の命を犠牲にしてでも、俺はシュート守り切って見せる。…そう決めたんだ。
アスト「…そっか、ごめん…今から僕は…ひどいことを言うよ」
ライキ「…え?」
アスト「そんなこと…ライキさんの…いや………ライキの自分勝手だよ」
ライキ「!?」
アストくんの目はすごく怒っている。どうしてこんなに怒りを向けられているのか…どうして怖い顔をしているのか…さっぱり分からない。
アスト「そんな自分の命を犠牲にして…誰が喜ぶのさ?自分から生きるのを簡単に諦めて…誰が幸せになるのさ?そんなことをされてまで生き残ったシュートが…本当に喜ぶと思ってたの?」
ライキ「っ!!そ…それは…」
…考えたこともなかった。自分の命を犠牲にした…後のこと。でも…俺がいなくなったところで…悲しむ奴なんて…。
アスト「もし…自分がいなくなっても…なんて考えてたら、それは違うよ。さっきライキはシュートを失うのが何よりも恐ろしいことって言ってたけど…それは逆も同じなんだよ。シュートにとって1番恐ろしいのは、ライキを失うことなんだ。それが、あなたを生かすために死にました…なんて知ったら…僕だったら絶対に病むよ。自分が殺したんだ…って」
ライキ(…シュートが…俺を…?)
アスト「どうしてシュートがここまで来たと思ってるの?どうして勇気を出したと思うの?どうしてあんなに強くなったと思うの?全部…ライキを助けるためなんだよ。ライキだって…逆の立場なら、自分を責めたくなるんじゃないの?」
俺は何も言い返せなかった。もし…シュートが俺と同じ選択をしたら…アストの言う通り、絶対に立ち直れる気がしない。むしろ…生きたくなくなってしまうほどだ。
アスト「だから…君は自分勝手だって言ったんだ。残された人のことも考えずに、自分のエゴで勝手に決めつけて…シュートのことを、何も考えれていないよ」
アストと目を合わせることができない。ここまで言われてやっとそんなことに気付けるなんて…情けなくてしょうがなかった。
アスト「たかが自分の命…そう考えるのは勝手だと思う。でも、考えるだけであって行動に移すのは…絶対に違う。もっと…自分の命を大切にしてよ。君は今まで、その目のせいでつらい思いをしたと思う。何度も後悔をしたと思う。でも、だからといって君がそのつらいことを背負い続ける必要はない。君には…幸せになる権利があるんだよ」
自然と涙があふれてきている。こんな風に説教をされたのは初めてだったし、人から幸せになっていいなんて始めて言われた。
ライキ「バカなことをしたって…分かってる…でも…俺に幸せになる権利なんて…」
アスト「ある。絶対に。生まれた時からみんなが持っている最初の権利だよ。生まれた時点で幸せになってはいけないひとなんて存在しないんだ…」
ライキ「アスト…」
アスト「本当は…生きたかったんでしょ?だから、今度は命を大切にしようって…思ったんじゃないの?」
ライキ「…そう…だ」
アスト「ならもう自分の命を犠牲にしようなんて…絶対に考えないで。もし…またそんなことになりそうになったら、僕たちを頼ってよ」
ライキ「なんで…そこまで俺に…優しくするんだよ…」
アスト「友達であり、仲間だからだよ」
その瞬間、俺はビックリして顔をあげた。気づけば、アストくんは俺の体の前に座っていた。アストくんのその目は輝いていて、つい目が離せなくなりそうだった。その背景で、星空が輝いている。光は、アストくんを照らしていて、すごく…カッコよく、美しく見えた。
アスト「…教えてよ、本当はどう思ってるの?君は…どうやって過ごしていきたいの?」
今まで、俺はどんな風に過ごしてきたか…目のことを怖がられ、ずっと1人で過ごし、生きてきた。悪魔の目と勘違いされ、誰も俺に話しかけてきてくれなかった。この目のせいで、つらい経験もたくさんしたし、俺が生きてたら、誰かが不幸になってしまうとも思っていた。俺は…ずっと孤独で生きてきたんだ。だけど…まだ、死にたくはない。ここ最近は…幸せだったんだ。せっかく…学園という、幸せになれる場所を見つけることができたんだ。
俺は…本当に死にたいか?
ライキ(違う…違う!!)
ライキ「俺はっ…!もっと…もっと生きたいんだっ…!この目に関係なく、普通に過ごしたい…!もう…この目に怯えたくない…!他のみんなみたいに友達を作ったりしたいんだ…!もう…孤独で過ごしたくないんだよ…!!」
アスト「…良かった、本音を話してくれて」
そう言うと、アストくんはゆっくりと俺に近づいたかと思うと、俺の頭を優しくなでてきた。
アスト「つらかったよね…よく今まで我慢してきたよ。もう大丈夫、君は1人じゃない。僕もいるし、ユキトもいるし…シュートもいる。だから、二度とつらいことを1人で背負う必要はないんだよ」
ライキ「う…ぐすっ…」
俺はひとしきり泣いた。泣き続けた。我慢ができなくなって…アストくんにつらかったことを、色々と話してしまった。だけどアストくんは話を止めることもなく最後まで聞いてくれた。
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アストの前で泣き続けて数分、俺は考え続けた。正直、いろいろあったせいで全部の考えがまとまったわけではないが、心はすごくすっきりしていて、ずっと抱えてきたものをやっとおろせたようなそんな気分だった。
ライキ「悪い…情けないところを見せて…」
アスト「そんなことないよ、今まで頑張ってきた分が込み上げてきただけなんだから」
ライキ「はは…まさか、アストから説教を言われるなんてな…」
アスト「うっ…ご、ごめんね…あんな偉そうなことを言うつもりじゃなかったんだけど…」
ライキ「いや…良いんだ。おかげで…目が覚めたよ。アストくんは俺の命の恩人だけじゃなくて、人生の先生だな」
アスト「そ、そんな…僕は思ったことを言っただけで…」
ライキ「誰もそうやって言ってくれる人なんていなかったんだ。だから…間違いに気づけなかった」
アスト「ライキ…」
ライキ「ちゃんとシュートと向き合う。もう二度と同じ過ちはしない。でも…もしまた俺が間違えようとしてたら…またしかってくれるか?」
アスト「もちろん!僕たち仲間でしょ?」
そう言ってアストは拳を突き出してきた。俺も軽く、だけど力強く拳をぶつけた。…不思議な人だ。アストくんといると、自然と心が落ち着く。これまでにこんなに心を許そうと思った人は出会ったことがない。
アスト「……あ、そうだ、これを返さないと」
ライキ「それは…ペンダント…!」
そう言ってアストくんがポケットから取り出したのは、シュートがくれたあのペンダントだった。
ライキ(そう言えば…攫われた時に落としてしまったんだよな)
アスト「無くしたらいけないと思って…ずっと持ってたんだ」
ライキ「そうだったのか…ありがとう」
俺はもらったペンダントを早速つけた。やっぱりこれがあるとどこか安心する。
ライキ「…ん?これ…紐が新しくなってる…?」
アスト「あぁ…それシュートが新しくしたんだよ」
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時は遡り城下町…
実はアストたちが城下町でライキを探していた時、シュートは古くなっていたことに気づいた。そのため、シュートは新しい紐を買って直してあげていたのだ。
アスト「あれ…シュート何してるの?」
シュート「ライキのペンダントが古くなってたんです。だから変えてあげようと思って…」
そういいながらシュートは慣れた手つきで新しい紐をつけていく。
ユキト「すごいボロボロだな…?」
アスト「うん…すごく大切にしてたんだろうね」
シュート「…ライキ」
ユキト「早く見つけないとな、そしてあいつに会ったら、大切にしてるならちゃんと管理しろって説教してやろうぜ!」
シュート「…ですね!」
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ライキ「シュートが…」
アスト「大切な物なんだよね?シュートからもらったって聞いたよ」
ライキ「…あぁ、あいつが初めてくれたプレゼントなんだ。俺、この目のせいでエリューレア国では友達なんていなかったけど、シュートだけは唯一友達でいてくれて、ずっと俺のそばにいてくれた。だから、プレゼントをもらった時は本当に嬉しかったし、これは俺の大切な宝物なんだ」
ペンダントがきらりと光を放つ。このペンダントはシュートとの思い出がたくさん詰まっている。どんな時も、俺はこのペンダントを離さなかった。
ライキ(次は紐も見とかないとな…もう離さないように)
アスト「そう言えば…2人の出会いを聞いたことがないかも」
ライキ「確かに…話してなかったな」
アスト「せっかくだから教えてよ、どんなきっかけで2人は出会ったの?」
ライキ「そうだな…俺が始めて出会ったのは…6才の時だ」
———
今から6年前のこと。小さい頃から嫌われてた俺は、自分の家しか居場所がなかった。外にでても、みんな俺の姿を見ると逃げるようにどこかに行ってしまう。話しかけても怖がられて無視される。そんな生活が続いて、俺はいつしか家から出なくなった。両親は俺のことを大切にしてくれる人で、いつも俺の属性の目のことを考えてくれたり、俺の心を支えてくれていた。
だけど、そんなある日、母が突然体調を崩してしまった時があった。ずっと俺の面倒を見たり、周りからも非難されたして、ストレスが溜まっていたんだと思う。それを見て俺は、居ても立っても居られなくなり、家を飛び出して近くの森に向かった。森には薬草や、栄養のある果物があることを知っていたから、それを取って持って帰ろうと思っていた。
シュート「うわぁぁ!?」
その時、俺の耳に誰かの悲鳴が聞こえてきた。何事かと思い、俺は声の方向に向かった。すると、そこにはゴブリンに襲われていた狐族の少年がいた。だけど、普通の狐族と違って尻尾が9つあり、最初俺は戸惑ってしまった。
ライキ(な、なんでこんなところに俺と同じくらいの子供が…!)
シュート「こ、来ないで…!」
ライキ「くそっ…!おらぁっ!」
そんな少年の声を聞いた時、俺は居ても立っても居られなくなった。考えるよりも身体が動いていて、気づけばゴブリンに向かって思いっきり殴っていた。
「ギャァッ!」
ライキ「ウグっ!?」
しかし、ゴブリンも反撃をするように、持っていた大きな木の棒で俺を殴ってきた。当時の俺は引きこもっていたせいで、体力もなく、身体も鍛えていなかったため、攻撃を避けれず頭に思いっきり攻撃を喰らってしまった。
ライキ(や…ばい…!)
頭から血が流れ始め、俺はその場に倒れてしまった。その時初めて血が出てくるのを見たから、死ぬんじゃないかと恐怖を覚えた。だけど、ゴブリンは追い打ちをかけるように、倒れた俺にまた殴りにかかってくる。
ライキ(あ…ぶない…!)
俺は振り下ろされた棒を何とか掴む。そのまま棒を奪おうとするが、ゴブリンも必死に抵抗をしてくる。
ライキ(くそ…力が強い…!……っ!そうだ!)
ライキ「雷を…喰らえっ…!!」
咄嗟に魔力で雷の力を貯めた。俺は属性魔力が雷だったので、雷の魔法にはそれなりに得意だった。
「ギャァァァッ!?」
電流が木の棒を伝って流れていく。そのおかげでゴブリンは痺れ、木の棒を離した。俺はすぐさまチャンスだと思い、木の棒に魔力を込めながら、思いっきり木の棒をゴブリンにスイングした。
ライキ「いっけぇぇ!!!!」
「グギャァァ!?」
ゴブリンは吹き飛び、大木に頭から直撃した。そのままゴブリンは倒れてピクリとも動かなくなった。
ライキ(な、なんとか…倒せたのか…。)
俺はその場に座り込んだ。初めて戦闘をして、疲れがいっきにきた。
ライキ「その…大丈夫か…?」
俺はまだ怖がっていたシュートに話しかけた。
シュート「お、俺は…大丈夫…です。で、でも君の頭から血が…!」
ライキ「俺は…大丈夫だ。」
シュート「そんなわけないじゃないですか…!は、早く止血しないと…!」
そう言って、シュートは持っていた小さな鞄から、包帯と薬を取り出す。
ライキ「君…治療できるのか…?」
シュート「い、いや…簡単なことしかできないですよ…。でも、これで血は止まると思います…!傷が浅くて良かった…」
処置ができたシュートは一息ついていた。
ライキ「それより…君はどうしてこんなところにいるんだ?」
シュート「え、えっと…俺の祖母が病気になっちゃって…いつも俺に優しくしてくれるから、好きな果物でも取ってきて元気づけようと思って…」
ライキ「…はは。何だ、俺と一緒か」
シュート「えっ…?一緒?」
ライキ「俺も…母さんが寝込んじゃってさ、薬草とか、果物とか、その辺を取ってきてあげようって思ってたんだよ。」
シュート「そ、そうなんですね…!じゃあ…俺と一緒に薬草と果物を探しに行きませんか!」
ライキ「…は?俺と…?」
シュート「はい!あっ…もしかして迷惑ですか…?」
俺はシュートの言っていることに困惑した。そんな提案をされたのは、人生で初めてだったから、言葉が出てこなかったのを今でも覚えている。
ライキ「いや…その…お前俺のこと知らないのか?俺は…属性の目を持ってるんだぞ…。怖くないのか?」
シュート「えっ!?き、君が噂の悪魔の目を持つ…!?」
やっぱりそうなると思った。俺のことを知れば、誰でもそんな反応になるに決まってる。また同じような態度を取られると思ったけど、シュートは違った。
シュート「…でも、悪い人とかではないですよね?」
ライキ「…は?」
シュート「あの悪魔の目を持ってたとしても、それで悪い人とは限らないし、事情だってあるかも知れないし…というか、身を挺してまで俺を守ってくれた君が悪魔と契約してるなんて俺には思わないですよ!」
ライキ(な、何…言ってんだ…こいつ…)
シュート「あ、えっ!?な、何で泣いて…!?俺何か言っちゃいました!?」
自然と涙が溢れていた。誰も、契約なんてしてないって言っても、信じてくれるのは両親だけで、他の人には恐れられて話すら聞いてもらえなかった。だから、あっさり信じてくれたシュートが、俺にとっては救いになった。気づけば、俺はシュートに今までのことを話していた。孤独で育ってきた俺にとって、シュートはかけがえのない存在だった。シュートも、ずっと話を遮ることなく最後まで聞いてくれて、俺にとっての唯一分かってくれる理解者になってくれた。
シュート「そう…なんだ、辛かったよね…」
ライキ「…ごめん、初対面なのにこんな姿見せてしまって…。」
シュート「何で謝るんですか…!辛い思いをしてきたのは君なのに…!」
ずっと誰も信じてくれないと思っていたから、他人と関係を作るのはやめようとまで思っていた。だけど、シュートだけはそんな俺の想像を壊してくれた。それが本当に嬉しかった。
シュート「…そうだ!これをあげます!」
すると、シュートは鞄の中から、綺麗なオレンジ色の宝石を取り出した。
ライキ「えっ…こ、これって…」
シュート「魔光輝石っていう宝石です!さっきたまたま拾っちゃって…。良ければ受け取ってください!」
ライキ「い、いや…そんな綺麗な宝石…ホントに良いのか?」
シュート「もちろん!これは、俺と君がここで出会って、友達になった証です!」
ライキ「とも…だち…」
シュート「あっ…!す、すみません…流石に気が早かった…ですかね…?」
ライキ「…いや、そんなことない。でも…良いのか…?俺と友達になって…。もしかしたら、君も…俺と一緒にいるせいで、無視されたり非難されたりするかも知れないんだぞ?」
シュート「そんなの怖くないですよ。俺は、初対面なのに誰かのために頑張れる君がとてもカッコいいって思ったんです。だから誰でもない君と友達になりたいんです」
ライキ(お、俺が…カッコいい?)
そんなことを言われたのは始めてだった。シュートは、俺の空いていた心をずっと満たしてくれている。俺は、こういう人を探し続けていたのかも知れない。だから、自然と俺もこんな人と仲良くなりたいと思った。
ライキ「お、俺も…君と…友達になりたい…」
そう言って、俺は宝石を受け取った。彼がずっと触っていたからかは分からないけど、宝石はすごく暖かかった。
シュート「ホントですか!?やった!あっ…そう言えば…名前を言ってませんでしたね。俺はシュート、シュート・フォクセル!」
ライキ「イナガキライキだ。…よろしくシュート。」
シュート「はい!よろしくお願いします!ライキさん!」
これが、俺が心の支えになった人物、シュートとの出会いだった。




