13.改心の泉
【作品情報】
タイトル:改心の泉
作者 :七枕なな
文字数 :1,931文字(短編)
Nコード :N9240KY
【あらすじ】
村の外れにある小さな泉。
偶然村人が落ち、その男が人が変わったように改心した事から人づてに”ある噂”が広まった。
──曰く、あの泉に落ちた者はどんな荒くれ者でも
真面目で優しく気の利いた性根の美しい人間に変わるのだ、と。──
噂を聞きつけた人々は、どんどんその泉に人を落としていくが……。
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SF
★★★★★
ブラックユーモア
★★★★★
綺麗なジャイアン
★★★
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なろう小説で異世界転生が流行っていた頃(今もそうなのだろうか?)、それに対するアンチテーゼ小説もまたひっそりと底流で存在していたのを覚えている。
つまるところ、元々あった人格や元々その身体を持っていた人の人生を、【前世の人格】もしくは【転生者の人格】が塗り潰してのっとってしまってもいいものかどうか。
それは果たして良い行いといえるのかどうか?というものを主題として書かれているような、そんな内容であった。
とはいえ、赤子へと意識を持ったまま転生したにせよ、長じて前世の記憶が甦ったにせよ、転生ものの大筋の主題は「今の人生を前世の記憶を駆使してよりよく生きる」に尽きるので、どうしても元の人格の持ち主の設定(悲劇的な運命・確定している失敗・性悪や悪党等、人に嫌われる人格)はその踏み台となってしまい、転生人格から自分の人生を奪い返すメリットみたいなものが見出せない。
端的に言えば、転生人格に委ねた方が失敗せず幸せになれるのに、元人格に固執して他人も自分も不幸のままでいてどうするの?ということだ。
結果、自分が追っていたアンチテーゼ小説は物語を上手く着地させることが出来なかったのか短い話数で未完となってしまったのだが、一方で転生ものに対する疑問を呈するという一定の役割は果たしたように思う。
これは何となくなのだが、だいたいこの地点から転生ものの記述が少し変わったように感じており、元人格に対して配慮や苦悩する描写があったり、この転生はクリーンです!という描写が書き足されるようになった……そういうようなものが増えた気がするからである。
もちろん別の要因もあったのかもしれず、この考えが全く正しいと言いたいわけではないのだが、一つの流れとして自分はこう認識している、そういう話である。
さて今回の話「改心の泉」は、どんな嫌な奴でも悪党でも泉に落としてしまえば綺麗な真人間に改心する、そんな不思議な泉の話である。
泉に落とされるというのは、つまりは処刑みたいなもののように思うのだが、泉に突き落とす側はその認識を持っていなさそうでホイホイと簡単に人を落としていく。
嫌な奴がいい人間に代わるのだからそれは良い事だろう、平和になったんだからいいじゃないかとも一瞬思えてしまうのが実に嫌らしい。
それが御伽噺テイストで進んでいくのだが、後半でガラリと反転するのだ。
反転した後に前半をもう一度考えてみると、せっせと何をやっていたのか考えられて面白い作品だ。
週間一位でランキングにも長らく乗っていた作品なので、読んだ事がある人も多そうである。
しかし、もしまだ読まれていない方がいれば、そして気になったのならば、是非一度読んで見て欲しい。
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改心の泉のURL
https://ncode.syosetu.com/n9240ky/
Nコード
N9240KY




