12.水びたしの足あと
【作品情報】
タイトル:水びたしの足あと
作者 :黒目ソイソース
文字数 :5,372文字(短編)
Nコード :N9878KY
【あらすじ】
幼い頃に海で二歳年上の姉を亡くした主人公。
自慢の幼くも賢く美しい上の娘を失った両親は取り乱し、残された幼い娘を蔑ろにするような環境になっていたが、周囲の献身的なサポートにより親子の関係は後に回復した。
成長した主人公は姉に代わるように、周りから称賛される自慢の娘となって順風満帆な人生を送っていた。
ただ一つ、姉が海に消えてから、後ろをついてくる水びたしの足あとがある事以外は。
そんな時、田舎にある取引先の社長宅から帰る途中に小学生くらいの男の子に声を掛けられる。
どうやらその少年、主人公の後ろにあるものが見えているようで……。
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人怖度
★★★★
意味が分かると怖い話度
★★★★
見え方が変遷する度
★★★★
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「情けは人の為ならず」、ということわざがある。
人にした親切はいつか巡りめぐって自分に返ってくるよ!というポジティブな意味なのだが、実は昨今では情けをかけるのは当人のためにはならない、という誤用の方も相当広まってしまっているらしい。
確かに自分も一瞬「ん?どっちだっけ?」と迷ってしまい念のためネットで確認する程だった。
調べてみると正しい方と誤用のどちらの意味を使っているかの割合を調査した結果、半々という結構危ういバランスの認識の上に成り立ってしまっているのが、この「情けは人の為ならず」ということわざなのだ。
皆さんもご存知の通り、芥川龍之介の作品に「蜘蛛の糸」というものがある。
生きている間、散々悪さを働いたカンダタさん。
しかし彼は生前、唯一蜘蛛に情けをかけたため、天上から蜘蛛の糸を垂らして貰えることになるのだ。
結果についてはご承知の通りなのだが、蜘蛛の糸はちゃんと垂らしては貰えた。そこが大事なのである。
話を少し戻そう。
確かに誤用の方の意味も理解出来なくはないのだ。
「当人のためにはならない」「その人を逆に潰してしまう」という情けのかけ方をしている人もいるので、そういう部分には気をつけたほうがいいとは思うのだ。
(例えば野生動物にご飯をあげるとか、何でもはいはいと言う事を聞いて相手を増長させてしまったり、結果悪い成功体験を積み上げさせてしまうとか)
しかし、情けを一切かけない社会や繋がりというのも中々に危険なものではある。
情けが循環しない社会ともなれば、いつかきっと自分にも情けをかけられる事は無くなるのだろうから。
さて前置きが少し長くなったが、今回の話は姉が消えてから「後ろをついてくる水びたしの足あと」という現象がある女性の話だ。
幼い頃の特殊な体験から今に至るまでのその過程を語っていくのだが、その印象は自分から一歩引いたように冷静で客観的、そしてどこか冷めている。
そんな彼女だから自分の身に起こっている怪現象に関しても、観察と検証をもって無視しそれに慣れてしまっているという豪胆というか、合理的なタイプでもあるのだ。
今回の話はちょっとしたミステリ要素もあるような、そういう語り口で展開される話でもあり、読み味や登場人物に向ける印象が徐々に変遷する、そんな面白さがある作品である。
また「情けを一切かけずにいたらどうなるの?」という結果の話でもあると思う。
小学生の男の子が登場してからは「意味が分かると怖い話」という要素も出てくるので、そういうものが好きな人にもオススメな作品だ。
気になったならば、是非ご一読を!
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水びたしの足あとのURL
https://ncode.syosetu.com/n9878ky/
Nコード
N9878KY




