14.雨の夜にやってくる
【作品情報】
タイトル:雨の夜にやってくる
作者 :黒神譚
文字数 :3,756文字(短編)
Nコード :N2153KT
【あらすじ】
──「ここにいてはいけません。あれは雨の夜にやってくる。」
突然降り出した大雨から逃れるため、山の中腹にある神社内へと立ち入った主人公。
そこにあった能舞台の板間には先客に香丸と名乗る色小姓の若者がおり、言葉を交わすうちに色気に当てられた主人公はつい魔が差してしまい……。
========
時代物ホラー
★★★★★
幻想的・儚さ
★★★★
能
★★★★
========
子供の頃、春休みと夏休みと冬休みに母方の実家へと車で五時間程かけて向かうのが恒例行事となっていた。
母方の実家には叔父がいて、この叔父がサブカル好きで色々物として残しておくタイプの人だったのだが、ゲームや漫画、アニメシリーズや映画などがキッチリと棚に詰められていて、その様は子供心をくすぐる宝の山のようなものだった。
こっそりとではあるが、それらを見させて貰ったりやらせて貰ったのは今でもいい思い出である。
さて、そのやらせて貰ったゲームの中にスーパーファミコンで出ていた「ドラゴンクエストVI 幻の大地」という作品がある。
長閑な山村で妹と二人暮らししていた主人公は、ある日村長にお使いに出された先で大地に空く大穴とその下に広がる別世界の大地を発見するのだが……という内容なのだが、スーパーファミコンではセーブデータが3つしか残せないので、自分がやっていたのは叔父のクリア済みの世界をうろちょろして遊ぶくらいのものだった。
そのストーリーのほぼ残っていない世界を冒険する中で、子供心に印象に残ったのが「グレイス城」だった。
廃墟となった城の井戸を通り抜けると、そこには立派な城が建っており主人公一向は旅人として出迎えられる。
なんと、その城は今まさに魔王に対抗すべく悪魔を召喚するための儀式を行おうとしており、旅人も儀式が終わるまでは城に留めおかれる決まりとなっていた。
手持ち無沙汰に色々な人に話しかけてみると、何故かお供え物を儀式の間へと運ぶことを頼まれ、そこで行われた儀式とそれによって起こった惨劇の一部始終を目撃することになってしまう。
主人公達は無事その城から脱出できるのだが、もう一度井戸を潜り抜けてみるとやはりそこには立派な城と儀式を行おうとする王様がおり……、つまりは切り取られたように儀式と惨劇という悪夢をずっと繰り返している城がグレイス城なのだった。
その悲劇を見た後、偶然発見した裏ボスを倒した事で彼らのやった行いが決して無駄では無かったと思えた事で自分の中では彼らは成仏したと解釈したのだが、本当のところはどうかは分からない。
ただ自分にとっては衝撃的で、今でも記憶に残るゲーム体験だったのは確かである。
さて今回の話は、時代物。江戸時代の武士が主人公の話である。
加賀の前田家へと向かう道中、雨に降られて雨宿りを余儀なくされた主人公は、神社の能舞台の板間にて一人の美しい若者と出会う、という始まりからして幻想的な作品である。
この作品にはいくつか大事なポイントがあるのだが、一つは始まりが能舞台の場所であると提示されている事。
もう一つが『物語』の最中はずっと雨が降り続いている事。
そして最後に衆道というものが変質して残っていたり陰間などがある時代、つまり男色が比較的身近な時代であるという事。
この三点が挙げられる。
これらギミックと共に主人公も『物語』のパーツとして動いていき、結末で読者を「おっ」と唸らせるタイプの作品なのではないかと思う。
時代背景とか歴史なんかに詳しい人であれば、より楽しめるのでないかと思うのだがどうだろうか。
この作品のあらすじでは、BL(男色)要素・スプラッタ要素があるので読みたい人だけ読めという作者さんの注意書きがあるのでその点は注意して欲しいのだが、日本史や時代物や能が好きな人、或いはある程度知ってる人にはオススメの作品である。
気になったのならば、是非一度読んでみて欲しい。
========
雨の夜にやってくるのURL
https://ncode.syosetu.com/n2153kt/
Nコード
N2153KT
さて、「夏のホラー2025」のおすすめ作品を紹介していくのもこの辺で終わりにしたいと思う
ここまで読んでくれた方、ポイントやブクマをつけて下さった方、リアクションしてくれた方、コメントしてくれた方、ありがとうございました!
大変励みになりました!またどうぞよろしくお願いします




