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9.水は方円の器に随う

【作品情報】

タイトル:水は方円の器に随う

作者  :アザとー

文字数 :5,635文字(短編)

Nコード :N0326KW



【あらすじ】

 以前同じ職場に勤めていた同僚の市川さんが亡くなった。

 市川さんは見た目こそどこにでもいる普通のおじさんだったのだが、一方で彼の行動は神経質な人にとっては許し難いような奇行そのものであった。

 そんな市川さんが奇妙な亡くなり方をしたのだ。

 主人公は市川さんに献杯を傾けながら、彼の奇行のことを思い出すのだが……。


========

オカルト(不思議)とリアリティ

★★★★

純文学度

★★★★★

悲しい・辛い

★★★★

========


 怖いと一口に言っても、そこには色々な種類があると思う。


 例えば何度も書いている「禁忌に触れる」「禁忌を破る」怖さというのは、子供の頃に親や大人から禁を破った結果怒られたり罰を加えられたりした経験則や、昔話・神話的なものを読み聞かせられた事から染み付いたもので社会的要素が大きいのではないかと思うし、単純に身を脅かされる怖さや生存に関わる怖さみたいなものもある。

 ヘビや集合恐怖症みたいな本能的に怖いと感じるものもあるし、びっくりさせられると心拍数が上がるというような肉体の生理的反応からくる怖さもある。

 人怖なんかの心理的要素からくる怖いなんていうのもあるし……きっと他にも色々な「怖い」があるのだろう。


 なんだかとりとめがなくなってしまったが、つまり今回の怖さは何だ?というと段階的に何種類かあると思うのだが、自分が思うにその本質は「誰からも理解されない事への恐怖」なんじゃないかと思う。



 さて、今回の話は市川さんというおじさんを軸にした物語である。

 市川さんが亡くなったと伝えられた主人公が献杯しながら彼を回顧していく内容なのだが……、この市川さんのキャラクター造詣がとんでもなく良いと自分は思った。


 ネタバレになるから詳しくは書けないが、主人公の思い出の中の彼の言動や所作から、市川さんがどういう境遇で、どういう気持ちで、そしてどれだけの諦観の中で生きているのがが分かってしまうのだ。


 分かってしまったから、だからとても心が揺さぶられるし、自分はじわっとだが涙が出てしまった。


 作者さんが意図しているのかどうかは分からないが、メタファーを使った純文学的なホラーなのではないか?と自分は捉えた。

 だからなんかこう、かなり考えさせられるし頭に残るタイプの作品である。

 最後の結末もそう捉えたほうが理解しやすいと感じた。

(もちろん解釈はそれぞれなので、正しいというわけではないのだが)



 市川さんというキャラクターを是非見て欲しいのだが、少々汚い描写も途中にあるのでお食事中に読むのはオススメしない作品でもある。

 それでも是非気になった方は一度読んで見て欲しい!

========


水は方円の器に随うのURL

https://ncode.syosetu.com/n0326kw/


Nコード

N0326KW

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