ダラダラっと第四回!
こちらが本日分となります。ダラダラはどこいった…?
覚悟を決めてドアを開けてみたけど…凄惨な光景は広がっていなかった。それはそうだよね?そんな光景が広がっているなら、僕に一言言うだろうし…。でも、ドアが開いた瞬間こちらを一斉に恐怖を含んだ目で見て来たのは衝撃的だった…
「あの…皆さん、ここから出ましょう?あの荒くれ者たちはここに先程来た、ルーファスさんが倒してくれましたので…」
「嘘よ!あのお頭と呼ばれている男は、とてつもなく強いのよ!あんな優男が適うわけないじゃない!そうやって私たちを騙して、また弄んでころす気なんでしょ!?」
「そ、そんなことは…」
その狂気にも似た物凄い剣幕に、思わずたじろいでしまった。きっと、僕の想像すら生ぬるい酷いことをされたんだろう。だけど、もう心配はないとちゃんと伝えないと…
「あの…本当にもう大丈夫で…」
「嘘つかないで!そうやって言えば見逃してやるとか言われているんでしょ?でも、残念だけど…それは口だけよ?そうやって罪悪感すら植え付けて遊んでいるのよ!!」
「止めなさい!そんなことを言うと、危険よ!!」
「あっ!?お願い!今のは言わないで!!お願いします!!」
一人の女性が縋りついて来た。そこまでの恐怖を味わわされたんだ…僕の薄い経験じゃ彼女たちを安心させられないよね…ごめんね…
「ごめんなさい…辛かったんですね…。私みたいに安穏と暮らして来た輩では、貴女たちに言葉すら届けてあげることは出来ないみたいです…。でも、しばらくすれば…時間が経てば信じてくれると思います。ですから…もう暫く待っていてください…私が言ったことを信じなくて良いですから…もう少し…落ち着いて待って見て下さい…」
思わず僕は泣いて目の前の彼女を抱きしめていた。大したことも言えないけど、時間が経って荒くれ者が姿を現さないと分かればきっと…
「…本当に、あいつらをやっつけたの?」
「はい…間違いなく」
僕は強い意志を込めて相手の女の人を見た。
「・・・信じてみるわ」
「セフィラ!?」
「大丈夫よ!私だけでまずは行ってみるから!!」
「それは、嘘だったらセフィラがころされるってことじゃない!?そんなの認められないわよ!!」
「でも…この娘は、嘘をついているように見えない…。彼女の身体に触れて…温かさが伝わって来たわ。人の優しい温もり…それを思い出させてくれたこの娘を信じてみたいの」
「だったら、私も!!」
「そんなことを言ったら他の娘も行きたいというでしょう?大丈夫よ…私は覚悟をしたから…もし、罠だったら…相手を一人でも道連れにしてやるわ!!」
「セフィラ…」
「そう言うわけよ?この先に一緒に行けば証明出来るんでしょ?」
「はい…!ありがとうございます!!」
「何で貴女がお礼を言うのよ?助けに来たなら、私の方が言う立場でしょ?」
「いえ!?私みたいな子供の説得力のない言葉に耳を貸していただいただけで嬉しいです!!」
「そう…でも、私は貴女を信じてみたくなっただけ…それで騙されたなら…私の見る目がなかったって事、それだけよ」
「はい…もし、嘘だったらまずは私をころして頂いて構いませんので」
「・・・これ以上話してても埒が明かないわ。行きましょう」
「はい!」
そして、僕がドアを開けて隣の部屋に行くと彼女もついて来てくれた。良かった…この、縛られた男たちを見れば彼女も分かってくれるはず…
そう思って振り返ったけど…彼女は男を見て震えていた。僕は思わず、屈んで震え出した彼女をまた抱きしめていた。
「大丈夫…大丈夫だよ。この人は縛られてる…貴女に何も出来ません…もう、悪夢は終わったんです…」
気持ちを込めて言ったつもりだけど、薄い言葉に聞こえるんだろうな…でも…
「ありがとう、貴女に抱きしめてもらえると落ち着くわ…自分より小さい少女に抱きしめてもらって落ち着く何て情けないわよね?」
「そんなことありません!その…こんな私で役に立つなら…」
そう言って、私はさっきより強く…どんなものからでも守れるように抱きしめていた。
「・・・うん、落ち着いたわ。本当にありがとう…疑ってしまってごめんなさい。こいつ…周りに威張り散らしていたから、それなりに上の奴だったはずよ。それが、こんな縛られる芝居に付き合うわけがない…信じるわ。悪夢が終わったと言う貴女の言葉を…」
「はい!ありがとうございます!!」
「だから…もう良いわ、何度言っても貴女はお礼を言ってきそうだし、それよりも肝心な事を聞いて良いかしら?」
「何でしょうか?」
「貴女の名前を聞いていいかしら?あ、私が名乗るのが先ね。私は、セフィラ・カルイドラ…一応、ここに捕らわれている女性たちのまとめ役になるのかしら?」
「あ、名乗ってませんでしたね…ごめんなさい。私は、トワ・スミヤと申します。カルイドラさんがあの人たちのまとめ役何ですか?」
「セフィラで良いわよ?そうよ…別にやろうと思ったわけじゃないけどねいつの間にかね?…ほら、私ってちょっとだけ気が強いからじゃない?」
「ちょっとだけ…」
思わず僕は、噴き出してしまった…ちょっとだけと言うのが何かツボに…
「もう!確かに、ちょっとだけって言うのは違うかもしれないけど…笑わなくたって良いじゃない!」
「すみません、セフィラさん!笑うつもりはなかったんですけど…」
「良いわ、気にしてないから!・・・悪夢が終わったって事は、私たちは幸せに向かって歩き出したって良いって事よね…?」
「…はい!」
「自分の事でもないのに、そんなに嬉しそうな顔をしちゃって…本当に…ね」
「どうかしましたか?」
「…一つだけ、お願いをして良いかしら?」
「何ですか?わ、私に出来る事何てたかが知れてますけど…」
「簡単な事よ?これから、トワも色々な経験をして成長していくんでしょうけど…今のその優しい心を忘れないで欲しいの…」
「えっと…私、優しくなんて…」
「そうよね…。それなら、今の私たちに向けてくれた気持ちを失わずに持ち続けて欲しいの…お願い出来る?」
「え?えっと…分かりました。セフィラさんに言われたその言葉…胸に刻んでおきます」
「…ありがとう。…それじゃ!私は、他のみんなを説得して部屋から出すわ!トワは、もう大丈夫だってあの優男君に伝えてくれるかしら?」
「分かりました!あ…ちょっと離れても大丈夫ですか?」
「もう大丈夫よ!私に任せなさい!!でも、なるべく早くね?」
「任せて下さい!行ってきますね♪」
結局、僕は一人の心を少しだけ軽くしてあげられた程度だけど、大きく何かをやり遂げたみたいに感じていた。・・・意外と単純なやつなのかもしれない…
「話は終わったのかな?上手くいったかい?」
「トワ!大丈夫なのか!?」
隣の部屋に入ったらすぐに二人に声をかけられた。え?もしかして、聞いてた?
「あの…」
「大丈夫だよ?何を話していたのか聞こえない距離にいたからね?ただ、何かを真剣に話してるのは分かったから、ここで待つことにしたのさ」
「ありがとうございます…」
「それで、トワ?上手くいったのか?」
「少しだけ…かな?運良く少しだけ心を開いてくれたのがリーダーみたいな人だったから…彼女に他の人の説得を任せたの。セフィラさんならきっと、みんなを上手く説得してくれるはずだよ♪」
「おや?そのセフィラさんと随分仲良くなったみたいだね?」
「そんなことはないんですけど…ぁぅ」
しまった!?ちょっと上手く出来たことに浮かれ過ぎてしまった…。そんな表情して良い場所ではないのに…
「辛気臭い顔をしているより良いんじゃないかな?笑顔のトワちゃんは、本当に可愛いからね♪」
「ルーファスさんの真似をするわけじゃないけど、笑っているトワは、場を和ませられるくらい良い顔してるから良いんじゃないか?」
「えっと…ありがとう…」
二人して褒めごろしは止めて!?余計に恥ずかしいよ!!
「なるほど、すでに二人の心を鷲掴みにしているわけね…その歳で、侮れないわね?」
「な、何言ってるんですか!セフィラさん!?あれ?説得はもう終わったんですか…?」
「私は伝えるだけ伝えてから、隣の部屋に行ける人から行って確認しなさいと言っただけ。でも…何人かはすぐに動いたわ。後は、見た人から他に話が…そんな感じね。もうすぐに全員ここに来ると思うわ」
「そうなんですか…流石です!」
「その流れに持っていけたのは、トワのお陰なんだけどね…」
「え?セフィラさんが勇気をもって私を信じてくれたお陰ですよ?私は…泣いていただけです…」
「・・・そう言う事にしておくわよ。これからが大変ね?お二人さん、守ってあげなさいよ?」
「命に代えても守って見せるさ」
「もちろんだ!!」
何でそんな質問しているんですか?セフィラさん!?二人を刺激するのは止めて下さい!!いがみ合うようになったら僕の生死にかかわるんですよ!?
「なるほどなるほど、頑張りなさいよ?トワ♪」
「そう思っているなら、余計な事は言わないで下さい…」
ルーファスさんは何かたらしっぽいし、晴人君は真っ直ぐ過ぎて何かトラブルを多く引き込みそうだし…それよりなにより、僕はまだ男だって気持ちの方が強いからね!男と付き合うとか…
『君のスキルを考えたら、一人で生きていけるわけないもの。男に頑張ってもらうしかないでしょ?』
…そんな風な事を管理人の人には言われたっけ?でもなぁ…この二人は、どちらを選んでも困難な未来しか視えないよね…?ダラダラのためでも、保留にしておこう…
そんな事を考えながら待っている間に、捉えられていた女性たち、セフィラさんを含めて17名が揃ったみたいだ。こんなにたくさん捕まっていたなんて…信じられない!腐れ男どもめ!!・・・僕も元とは言え男でした…
そして、彼女たちを連れ立って歩き…ついに、このアジトからの脱出に成功したのだった。
「信じられない…あれだけの数の荒くれ者…しかも、全員武器を持っていたのに誰一人ころさずに倒すなんて…」
「これくらい、朝飯前だよ!魔物どもの比べたら、人間なんて…ね?」
そう言ったルーファスさんは、少しだけ真面目な表情を見せた。…魔物?いるの?・・・やだなぁ…聞き違いであって欲しいです…
「魔物と言えば…この辺りにもいるはずなのに、ここが襲われた事が無かった気がするわね?」
「どうやら、この建物には魔物除けの魔術がほどこされているみたいなんだ。僕はそんなに詳しくないけどね?前に、似たものを見たことがあるからね」
地下でそれらしきものを見たと、ルーファスさんは言った。そんなものあるんですか?僕にも下さい!お守りとして持ち歩きたいです!!
「魔物何ているんですか?」
「え?」
バカバカぁ!?何でそんなストレートに聞いているの?晴人君!?どう考えても、魔物が居るのが当たり前って感じで話していたでしょう!?君はもうちょっと考えてから発言しましょうね!!
「ま、魔物の種類を聞きたかったんじゃないでしょうか!?」
「ああ…そう言う事ね?ええと、僕は余りこの辺りの事は…」
「私が知ってる限りでは、ゴブリンにサンドラット、それに…ドルイドラビットくらいかしら?」
「ドルイドラビットとは…厄介なのがいるね」
「危険な魔物なんですか?」
「知らないのかい?」
「はい…私、実は家では大事にされていて…余り、知識を教えてもらえなかったので世間知らずで…それでその…余りに両親が話を聞いてくれないから…家を飛び出して来てしまって…」
と言う設定で行こうと思います。先立って質問していかないと、何処かのおバカさんが余計な事を聞きかねないからね…?
そう思って、晴人君を少し睨んでやったのに、彼は頭にはてなマークを浮かべただけだったようだ。…これは、転移の話をした方が良いかもね…
「なるほど、そう言う事だったんだね。…家まで送ろうか?」
「いえ…出来れば止めて欲しいです。あの家は…私にとっては鳥籠みたいなものなので…」
うう…段々演技とか上手くなって来たなぁ…これは、女優に慣れるかも?・・・何て、バカな事を考えている場合じゃないよね…
「…分かったよ。戻りたくなったら言ってくれれば送るからね?」
「ありがとうございます」
「なるほど、優男が一歩リードしてる感じかしら?」
「余計な事は言わないで下さいって言いましたよね?」
「おっと、ごめんなさいね?」
「誠意がこもってませんね…。まあいいです、それより、そのドルイドラビットってどんな…」
「やっと見つけた。全く…私たちに、あんなむさくるしい男たちを押し付けておいて、自分は女をこんなに侍らせているなんて…相変わらず、良いご身分だよね?」
声に驚いて振り向くと、魔法使いです!って恰好をした女の子が立っていた…




