89話
オーグとの戦闘が五回ほど終わってからようやく部屋を出てこれました。
女子連中はのんびり座ってお話し中。
いいな、おい、そっちに混ぜろ。
「正直驚きだよ?五戦全勝なんてね。あれは一度でも負けるとそこでゲームオーバー設定にしてたのに」
「先に説明してからにしろ!命がけでやっちまったじゃないか」
「まあ喉が渇いただろ。こっちに来て座りなよ」
しれっと言うセーレ。ほんとに享楽的だな。楽しけりゃいいんだ。
まあ座って冷たい飲み物でひと心地つきましたがね。
「それじゃあ、君たちとの契約は締結された。あとは頑張って全ダンジョンを回ってね」
「って、こらまて!人がいない間に決めるのはいいけど本来のうちのパーティじゃない人間が二人もいるんだぞ、どうすんだよ!?」
ヒルムカさんはともかくとしてサファイヤ嬢なんかどうあがいてもこのパーティには向かないだろ?
お姫様なんだよ?正真正銘。しかも少しでもキズものにできないという縛り。無茶すぎるだろ?
「その辺は心配ないわよ。私とヒルムカさんは後方担当。あんたとドロシーファムが実働部隊ね」
「後方って何するんだよ?」
「いろいろあるでしょ?貴方たちのパーティランク上げのバックアップとか、ダンジョン情報とか」
なるほど、そういやそうだな。今まで自分で用意してたのでそういう発想はなかったなぁ
「とりあえずAランクまで頑張ってあげてもらいます。そのあと探索者試験もあるんだから少なくとも学生の間にそれくらいはやってもらいますからね。」
「えらいムチャブリだな、そもそも学院はどうすんの?」
「だって聞いてるわよ?魔法もあんたたち三人は教えることがないって。武技は言わずもがなでしょ?」
情報源を睨む。そっぽ向くヒルムカ。個人情報漏洩だ。信じられないなこの世界の情報管理。
「ああ。いいかな?そろそろ外が騒がしくなってきたようだしお帰りの時間じゃないかな?」
中に入っていたヒュドラアイズの面々が合流したようだ。確かに今帰らなきゃまた潜られては厄介だ。
「そうだね、それじゃあ帰らせてもらうよ」
みんな帰るために立ち上がる。
「出来れば最初はクアトロの支配する土の迷宮に行った方がいい。あの子は一番マザーに似ているから何かと気にかけてくれるだろうからね」
まあみんなボクだから一筋縄ではいかないんだけどね
そう笑って言いながら指をはじくセーレ・セイス周囲が一瞬光ったかと思えばそこはもうダンジョンの入り口であった。
地上に残っていた面々は一瞬言葉に詰まる。が、一番に飛び出してきた人がいる。
女騎士のダイヤさんである
「姫様!ご無事でしたか!」
抱きしめて言うと確認はできないが心配をかけていたのがわかっているのだろう、彼女は素直にハグされていた。
少しダイヤさんが落ち着いてから、彼女は言葉を発する
「皆様、ご心配をおかけしました。しかし我々の得た情報は貴重なものです。まずは情報共有をいたします」
そういって詰所に行き会議室のようなとことに入る。だが、
「ラウル、貴方は仮眠室を借りて休憩しなさい」
「なんでなんだ?そんなに疲れてないよ?」
こちらの返事を聞いてか聞かずかヒュドラアイズのルイーズを手招きするサファイヤ嬢。
何かを耳打ちしたと思ったらいきなりルイーズの回し蹴りが飛んできた。
受けるしかできないが吹っ飛ばされる。
「ほら、いつもの貴方なら避けるくらいはできたでしょう?疲労がたまっているのよ何も言わず休息なさい」
優しい言葉のわりに乱暴だがそれに返事をすることもできず気を失ってしまった。
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時は少しさかのぼる
「さて君たちへの報酬だけど何を望む?」
「「ラウルと共に歩めるだけの力を!」」
女性陣にだけ別報酬ということで部屋を移して質問するセーレに対しドロシーとファムは二人同時に答える
「そちらのお嬢さんたちは何がほしいんだい?」
あらかじめこの二人の答えはわかっていたかのように聞き流しあとの二人に聞く
「何でもってお金でもなの?」
おずおずと言うヒルムカに対して頷くセーレ
「構わないよ、ただ金貨とかは流石に持っていないから高価値の鉱物とかになるけどね。あと金額に見合った労働もついてくるからあんまり欲張らない方がいいと思うけどね」
答えを聞き慌てて首を横に振るヒルムカ
それを見ていたサファイヤは
「あたしの目的はたった一つ。探している人に会いたいってことなんだけどできる?」
「可能は可能だよ?でも君の探し人は流石に神のデータバンクにアクセスしないと探せない。そして探し出せたとしても生きているかどうかまではわからないよ?」
「いいわよ、それでも消息が判ればいいの」
「わかったよ。さてそちらのお嬢さんも何かスキルにしとく?」
「はい・・思いつかないからそれでいいです」
しょぼくれるヒルムカを楽しそうに見るセーレ
「じゃあ三人には新たなスキルをあげるよ」
指をはじくと各人それぞれの足元に魔法陣が輝く。
その光はすぐに収束するが明らかな力が体の中にあるのを皆感じ取っている
「ヒルムカちゃんには聖属性と闇属性魔法スキル。どっちもレベルは1だから頑張ってあげていってね。ドロシーちゃんとファムちゃんにはラウルにあげたのと同じダンジョン適応スキル。それとアイテムとしてボクのしているのと同じビキニアーマー「ネグロランジェリー」をあげるよ。」
「そんな恰好で表に出れるわけないでしょ?!」
ファムが叫ぶ
「大丈夫だよ、名前のとおりアンダーアーマーとしてつけてればいいよ。浄化、魔道レジスト、物理耐性。それぞれの能力を持っているんだから便利だよ?」
「まあ、それなら・・」
「それにこのランジェリーもボクの姉妹からそれぞれ力を与えてもらってパワーアップできるんだ。そしてコンプリート特典は意中の人から告白されるという素晴らしい者なんだ」
「ありがとう!!」
がっしりとセーレの手を取って喜ぶドロシー
後ろからサファイヤがこっそり近づき
「あの、私にもそのアーマーいただけるとうれしいかなって」
みんな女の子だねぇ
そういって微笑むセーレ。見た目10代の少女はとても大人びてほほ笑んでいた




