83話
無事にカイン達とは合流できました。
「乗り物酔いって珍しいことするわね」
サファイヤさんに言われてしまいました。まあこの世界の馬車は酔うより先に腰が砕けるものだからね。
「一度乗ってみます?」
そういって翡翠に視線を向ける。
悲鳴を上げて逃げ出した。
ああそうか、普通は肉食獣だから危険と判断するんだね。
危険がないのを知っているのはこちらだけでもともとこの世界の人間はライオンなんて見たことがない。
ただの召喚獣と思っているので気にもしないからなかなかに新鮮な反応でした。
まあ遊ぶのはこれくらいにして、もう一度みんな揃ったところで報告会。
一同は神妙な顔になる。
「不思議な話だが納得できることではあるね」
カインが切り出す。
「元々、今回のキュクロープスだけれどダンジョンの出入り口が破られた報告はないんだよ。ただ入り口近くで騒ぎがあって少し誰もいなくなった時間があったんだよ。その後キュクロプスの目撃情報があったので不審には思われなかったんだけれど。」
転移で出てきたらそりゃわからんわな。
「あれ?そういえばヒュドラアイズもダンジョンに潜っていて転移で放り出されたって言ってなかった?」
ファムが言う。そうだよ確かそんなこと言ってたはずなんだが
「するとこのダンジョンには転移魔導が仕掛けられてるってことか?」
「もしくはダンジョンマスターが意思をもって転移させているのか、だね」
あの消えるタイミングは意図的にしか見えないからね。
「今回は僕たちがキュクロープスを退治したので依頼完了として帰還することもできるんだけどね」
「やたら遅いと思ったらキュクロープス退治なんかしてやがったのか?」
カインの言葉にカーンズが答える。
「急がなきゃとは思っていたんだけどね。会ってしまったものは仕方ないよ。まあ幸い2パーティいたし、かなり火力的に助かったからね」
確かにに物理攻撃力だけ見るとBランク+女騎士だからね。まあ倒せたならそれで脅威は一つ減るってことだしいいことだ。
「帰還前にだが先に一度ダンジョンの入り口にまで行っておく必要があるな。」
カーンズが言う。
「レオン達にも事の顛末の伝言しておくべきだろう。あいつらの事だおそらく3日くらいで一度上がってくるはずだからな」
そういうことなら問題はないね。一度ダンジョンとやらには入ってみたいんだけど
「ダンジョンにあわよくば入ろうとか思ってるんでしょ?」
「ギク!いやだなぁふぁむさんそんなことあるわけないじゃないですか」
「何で棒読みなのよ」
ジト目で見られる。
「まあ貴方がリーダーだから従いますけどね」
「ダメよ二人っきりなんて、ちゃんとあたしも行きますからね」
ドロシーがファムに抱き着き言う。
「いや、べべつにくらがりにふたりっきりなんて・・・」
「なに慌ててるのよ?」
今度はファムがジト目で見られている。やだこの娘さんたち面白い
「貴方その調子でうちの妹にも手を出したらちょん切るわよ」
サファイヤ嬢が怨嗟のこもった声でつぶやく。
いやまだ手を出してないから清く正しいお付き合いだから
「やだ、まだなんて」
「お付き合いの中にあたしも入ってるのね」
あれ?ファムとドロシーが何か喜んでますよ?どゆこと?
疑問に思いサファイヤ嬢に振り向くと呆れたように離れていかれてしまった。解せぬ
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そこから2時間ほど歩きダンジョンの入り口へと到着する。
上級冒険者しか入ることのできない特別危険な場所。そのため入り口には詰所が設けられ騎士たちが門番として常駐している。
カインはその詰所に入りてきぱきとレオン達への伝言など処理をしていく。
「一つ聞きたいんですけど、彼って何者なんです?」
サファイヤ嬢に近づき聞いてみる。
「そもそも貴女を受け入れるだけの実力とおそらく爵位もあるんでしょう?でないと詰所でもそんなに簡単には話し進められませんよね?」
「あら?知らなかったんですね?あの方は公爵家の御長男です。もっともあの事情で今家督は次男の方が継がれるそうですけど。ただ冒険者としても一流ですので今回お世話になることになったの。」
「公爵家?!どうしよう今からでも礼儀正しくした方がいい?」
「手遅れでしょう?それに今ここにいるのは皆冒険者。身分など関係ありませんわ。そもそも私にはタメ口でなんで彼には礼儀ただそうとするのよ?」
「いや、気品?ていうか最初からあなたが別人って言ったんじゃないか」
「ムカつくわね。こんなのが婚約者候補と思うと余計に腹が立つわ」
はい?
「今なんか不穏な単語が聞こえたんですが。」
「あたしとの婚約のどこが不穏なのよ」
「いや、初耳なんだけど?」
「そりゃそうよ、候補ですもの。」
しれっと言うサファイヤ嬢。よかった。うちの娘さんたちには聞こえていない。
「まあ貴方とだけはないから安心なさい。王家の三姉妹のうち姉さまは婚約者内定しているんだけどあたしたちはまだ候補を絞っている段階なのよ。小さい頃は決まってたんだけどね」
「その人とはどうなったの?」
「そこにいるじゃない。カイン様よ」
あ、なーる。宦官にされてしまっては婚約解消しかないか。
「順当に行けば私が公爵家に嫁入りなんだけど、口約束だけだったとはいえ兄の婚約者だった女を弟につけるのも気分が悪いでしょう?するとミュゼになる可能性もあるの。そしたら私の婚約者筆頭はアルジェントになるのよね。」
「お姉様になるんですか?」
「貴方の嫁になるより嫌」
嫌ってるなぁ。
「でも子爵家とも縁戚は組まなきゃいけないからね。あたしがアルを嫌がるとあなたも候補に挙がってきちゃうのよ」
「でもその場合だと気楽な冒険者稼業とかできないですよね?」
「間違いなく中央に取り込まれるわね。うまくいけば宰相にまでは登れるかもよ」
「めんどくさいことしかないじゃないか。よし、聞かなかったことにしよう。」
「それで済むならどれだけ気が楽か」
ため息つかない、幸せが逃げますよ




