82話
あんな魔物の出現は予定外な事態である。
倒された方のキュクロープスは発生したものだろうから依頼完了とはならないだろうが状況を共有するためにもまずは一度集合するべきと思った。
今いる場所から一番近いのはカーンズ達なのでまずはそちらと合流。
サファイヤさんたちには現状を書いた手紙を薄紅に持たせて伝書鷹をしてもらうことにした。
手紙?ドロシーに書いてもらいましたよ?
実は異世界転生した弊害が字が汚いことなのだよ。だって羽ペンなんて使わないよ。鉛筆発明しとけよ。
文具一式もあるんだが活版印刷とかはないしなぁ。
日本語で書くのはできるのだが暗号にしてもしょうがないのでここは一番字のキレイなドロシーにお願いしました。
こちらはカーンズと合流の後カインと合流。向こうには直接カインと合流という手はずにしておく。
薄紅を使いに出して移動開始。
「ラウル、こっちに乗りなさいよ」
「馬に乗るの下手って言ってるでしょ。こっちの馬で連れていってよ」
あの、チミ達なんでそんな熱心に勧誘するの?しかも二人とも前じゃなく鞍の後ろを空けて勧誘するし。
いろいろ不都合がありそうなので結局翡翠に乗せてもらうことにして移動。
なんか二人に恨みがましい目で見られているが気にしない。
ついでに言うと、ライオンの背中には乗るものじゃない。気を付けて運んでくれたけれどかなりの上下動がある。カーンズと合流した後この世界初の乗り物酔いでしばし休憩を余儀なくされたよ。
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一時間ほど寝たら回復しました。
重いので目覚めたらまた女子二人に左右捕まえられてました。
二人とも熟睡してやがる。
まあ魔力武器使ってるし普段より緊張することの連続だもんなぁ。
今回は寝袋じゃないので素直に抜けることができました。背伸びして二人を見ると相手を探すようにドロシーがファムに抱き着いて眠ってます。そういや小さい頃からドロシーって抱き枕がないと眠れない子だったよなぁなんてことを思い出したり。
ふと見ると翡翠が座って番をしてくれていた模様。
すまないな、二人が起きるまで引き続き頼むよ。そういって任せカーンズのところに行く。
「おう、起きたか?大丈夫か?」
「ご迷惑おかけしました。もう大丈夫です」
「一応状況は嬢ちゃんたちに聞いているがお前さんの意見も聞きたい。場合によっては撤退も視野に入れなきゃいかんからな」
そうだよね、明らかにおかしいもんね。
とりあえずは見たままを話す。鑑定が通じない深層の魔物であるということ、召喚獣の特殊能力で何とか傷をつけたがそのあと逃げられたということまで。
「ドラゴニュートみたいなもんなのか?」
「見た目はドラゴニュートって思ってもいいかもしれませんね。あとそれに額に角があって蛇のようにしなる尻尾があって。キュクロープスより一回り大きくすればいいんですが」
「それ全くの別物じゃない!」
「だから深層の魔物なんでしょ?」
うう、と唸っているヒルムカさん。正直魔力矢も風弾も気を逸らす程度にしかなってなかったしなぁ。
薄紅の音圧榴弾自体が規格外なだけであれをやっつけるのはなかなかの骨だと思うんだよねぇ。
「とりあえず本格協議はあいつらと合流してからとなるが今夜は撤退の方向で考えている。それでいいだろう?」
もちろん異存などあるはずもない。だけど。
「あ、そういえば本来はこちらからカインさんたちと合流のつもりだったんだけど大丈夫ですか?移動しますか?」
「いや、かまわないあいつらとは連絡がついている」
そういうとヒルムカさんに目配せする。彼女は魔力石の付いた金属板のようなものを見せる。大きさは大きめのスマホって感じのものである。
「彼らから借りてるのよ。これは連絡用魔道具なの。手紙のように用件をかいてそのままお互いに送ることができるっていうものなのよ。」
おお、文明な魔道具だ。メール用魔道具ってことだね。
「いいなぁそれ」
「そこそこの値段出せば買えると思うわよ。でも一対でしか使えないし文字しか送れないから切羽詰まったときには役に立たないしそんなにいいものでもないけどね」
文字だけじゃなく音声ならいいのに。どうせ作ったのは転生者だろうからな。
でもスマホの無い時代の人かもしれないな。
それからほぼ半時間カイン達が合流するまでしばしの休息となった。




