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八百万の精霊召喚~異世界神から日本妖怪~  作者: 那園曽 氏規
本編

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69話

「そもそも思うのだがの、主サイズの大きさで飛び道具なんていらんじゃろ。第一止まった的に当てる技量もないくせに」


「ビームガンとビームソードは男のロマンなんだよ」


「じゃから技量のあるソードの方は採用に反論してないじゃろ」


先月半ば作戦決行を決めてからすぐに太乙真人を呼び出した。それから一週間ほぼ毎日このようなやり取りをしていた。

理想としていた高機動高火力を実現することはすぐに意気投合したのだが細かいところの違いに毎日の喧嘩である。


「散弾型とかはだめ?」


「周辺被害がさらに大きくなる。当然却下じゃ。」


「通常格闘ならいいけど空中戦ならどうするんだよ」


「心配いらん、主に必要なのは高機動、高耐久力じゃ。ほれナタク。訓練に連れていけ」


「了解しました。マスターこちらへ」


言葉は丁寧だが羽交い締めで拘束するナタク安全のための連結ベルトを手際よくつなぐ。

太乙真人が必要というからナタクも召喚している。一通りの性能披露の後は助手として働くのかと思いきや

もっぱら対G訓練要員である。いや聞けば最高は第一宇宙速度までの加速が可能っていうんだけど

ちょっとまて。宇宙まで連れていかれちゃうの?


「ちょっと、ブラックアウトする高G訓練が必要なもの作ってるのか?」


「まあ主の限界を知るための試験でもあるからな。気軽に死なんよう行ってこい」


「ちょっと待て~!!」


「うるさいの、ナタク、猿轡も噛ましておけ、近所迷惑じゃ」


「了解しました。それでは行ってまいります」


「ふが!ふががふぁ~!」


猿轡のまま空に放り出される毎日だった。


************


とまあそんなおかげで完成したこの青鎧。かなり高機動に無敵だったりする。


相手はおそらく腕の三連砲と腰の長物だけ。


動きをランダムにフェイント仕掛ければ当たらない。


まあ実際戦闘機もメインウエポンは連装砲ですからね。

点の砲撃って意外と無力なんですよ。


とらえて切りかかる、しかし自動防御の盾が見事に受け止めそこを狙って射撃してくる。

決め手にはお互いに欠ける印象だね。

それでも大きな違いが二つ。こちらは攻撃が当たっているということ。そして魔力は充填式ではないということ。


数度同じように切りかかる。いくらかはこちらも打たれたが意外といい仕事をしていてくれたようで無傷である。


それに引き換え何度目かの斬撃を受けたカシウスの黒い楯のうち一枚がついに剥がれ落ちる。

内臓魔力を消費してダメージを逃がすシステムみたい。いわば魔力リアクティブアーマーですか。

一枚隙ができるならそこを狙えばいい


幸いなことに盾は推進システムも兼ねていたようで空中バランスが崩れている。浮遊のスキル持ちだったはずだからすぐに落ちないけど、うまく動けないってのは好機だね。


一気に攻める。残りの盾もすぐに破壊し終わりもはや動けないところである。


「じゃあ、ここでサヨナラだよ」


ビームソードに持ち替え腹部を貫く。今だ魔力を蓄えた魔石があったのだろうそのまま爆発する。


爆発の後には青い人影だけが浮いている。だが、それも用事は終わったとばかりに空中に溶けて消えて行った。


************


空中で起こった一部始終。それらは神殿内に巨大なホログラムスクリーンが現れ、そこで皆が見ていた。


『悪意は滅びた。これにて神星祭を汚した罪はあがなわれた。敬虔な信徒であった者すら街を、人を国を滅ぼそうとする。そのようなことの無きよう互いを許す寛容な心を持つのじゃ』


そう言って神たちは消えて行った。。


あとに残った私達はまず巫女たちを落ち着かせるために別室へと連れて行く。通常の対応はお偉いさんたちがしてくれるのだろう。


「ファム、大丈夫でしたの?」


ミュゼがこちらに寄ってきてこっそりと耳打ちをする。


そう、いきなり目の前に青い鎧がやってきて切りつけられたのだから知らないものは驚くだろう。

知らないものは、ね


「大丈夫よ、言っていたでしょう『罪がなかったから』斬れないんだって」


ジョアンナ様の顔色がますます悪くなってきている。

私はラウルにすべてを聞いていたからこそ少しの意趣返しで言っただけだが思いのほか突き刺さったようだ。

他の巫女たちもさすがにすぐれない顔色だが特別に具合が悪い。


控室に来るとドロシーが先にきて手配してくれていたらしく人数分の侍女たちと共に出迎えてくれていた。

だが、さすがに高貴なお方たちが多く半数以上が具合が悪く簡易ベッドの作られた別室へと連れられて行った。

ドロシーとミュゼもそちらについていく。

残ったのは私と第一王女ベアトリス様だけとなる。


いたたまれない、ばか!なんでミュゼをこっちに残さなかったのよ。

第一王女なんてただの男爵家しかも末子なんて同席だけで困るでしょうが。

ラウルほどじゃないけど現代人の常識が勝ってどうしても不敬なことが多いかもしれないっていうのに。


「ねえ、貴女胸を見せて」


「はぁ?む胸ですか?!」


王女様って百合なの?この間とは別の意味で貞操のピンチなの?

こんなことならラウルにでもあげとけば、いやいやそうじゃないでしょ?私!しっかりしなさい!


「あ、あのどういう意味でしょうか?」


「だって斬りつけられたのでしょう?本当に大丈夫か確認しなきゃ私なら安心できないわよ」


ベアトリス様の言葉にはっとなる。そうだ普通ならね。


「あぁ!本当ですね!私ったらいろんなことがあり過ぎて自分の事なんかそっちのけになってました。」


王女様から離れるように部屋の隅に行き法衣の中を覗き込む。うんとりあえず何ともない。当たり前だけど。最初から安全なデモンストレーションとわかっていたんだから。


「大丈夫です。なんともありませんでした」


言って振り向いた瞬間硬直する。

いつの間にか王女が傍まで寄ってきていた。


「本当?よく確かめなきゃダメよ。きちんと確認してあげる」


きゃー!ちょっと!

後ろ手から揉まれたのでダッシュで逃げる。尚も楽しそうに追いかけてくる王女数分追いかけっこをしていると扉が開きミュゼとドロシーが入ってきた。


「お姉様。また悪いご病気ですのね」


何処からともなく出したハリセンでスパーンと王女の顔をはたく。

そういえばミュゼにも収納スキル貸与していたんだった。

そしていつかハリセンを作っていたラウルを思い出す。

あの時は確か一見武器じゃなくてでも人を正気に戻すくらいの衝撃を与えるものという依頼で作ってるんだって言ってたっけ。じゃあ依頼者ってミュゼだったのね。


「ごめんねファム。お姉様って時々おっぱいフェチの悪癖が暴走するのよ。うちではほとんどの侍女、私とジョアンナ姉様も被害に遭っているのよね」


ラウルと気が合いそうな王女様ね。でももう二度とこの人とは二人きりにはなりたくないわ。



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