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八百万の精霊召喚~異世界神から日本妖怪~  作者: 那園曽 氏規
本編

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64話

王都を取り囲むように魔物発生ゲートが出現している。


王都の北南北側に二つ東西に一つずつ。そのうち魔物を食い止めることができているのは北側の一つのみ。

東西の魔物は竜王、天王が善戦し7割方は食い止めているものの。すべてというわけにはいかない

南がわの二つのゲートはそれぞれ孔雀明妃、迦楼羅王が連携して処理をしている。


呪いベースであるゲートは孔雀によって無効化をしその間に二つのゲート分の魔物を迦楼羅王が相手取るという作戦である。結果食い止める割合は4割を切るが。ゲートの処理には一番に成功している。


「迦楼羅王、ゲートの処理は完了したようだ。マユーリーには別のゲートの処理を任せるため他に向かってもらう。援軍として十二天にラインを上げてもらうのでもう少し持ちこたえてくれ。」


「心得たがなるべく早くお願いする。かなり厳しいのでな。」


神将と言えども瘴気に長時間さらされれば力を奪われていく。ましてやこれだけの大群。だが負けるわけにもいかない。

大型鳥(ビーストモード)を持つ自分であるがゆえに比較的頻繁に主には召喚される。

正直乗り物としての役割しか求められていないのか。自分の神将としての誇りはいらないのかと思うこともある。実際に聞いたこともある。だが主は笑って答えてくれた。


「いくら戦の神と言え闘いばっかりじゃつまらないだろ?それに君たちは護法闘神なんだから自分の護る平和をずっと確認できていいじゃないか」


そんな考えがあるのかと思った。詭弁でないことはその後すぐにわかった。

八部衆相手に過酷な鍛錬を始めたのだ。本当に何かを守るために強くなるそれだけの主と思った。


阿修羅王に聞いたことがある。なぜあの主は自己保身を考えないのかと。

彼はわからない、と寂しそうに答えただけだった。

ただ、召喚されたときに名を与えられ我らは個人となった。私は迦楼羅王ではなく紫苑という個人に。

その時に皆も思ったのだろう。この不思議な少年を知ってみたいと。

特に時折発揮される無私なる愛情の危なっかしさ。そこに惹かれているのは自分だけではないと

その時に思った。そうだ主が世界を守るというのなら護って見せよう。但し主本人も我らが守らねばならない。こんなところで足踏みしている場合ではないのだ。


気合いを入れたとたん目の前の魔物の群れが暴風により切り刻まれていく。

見るとそこには風を纏う神将がいた。風天ヴァーユである。


「よ!、元気にしてっか?オイラが近くにいてよかったな倒れる前にきてやったぜ」


「すまない。感謝する」


「なんだよ、嫌みに反応もなしかよ。つまんねぇな」


「今は些事に躓いている時ではない。それにおぬしが来てくれたなら一気に片づけられる。一刻も早く片付けて主の負担を減らさねばならんからな」


「お前たちはほんと主が大好きだねぇ。あんまりオイラにはわからん感情だがな」


「風の属性を持つお前にわかってもらおうとも思わんよ。おまえに執心はないものだからな」


「ま、そういうことだ。だが一刻も早くってのは激しく同意だ。サクッとやっちまうか」


そういうと魔力を高める風天。紫苑は鳥型に変化しその魔力を纏う。


「力場は俺が作る。お前は動きにだけ注意しやがれ」


「心得た」


上昇したかと思えば地面すれすれ魔物の大群の頭上数メートルの高さを猛スピードで飛ぶ。羽ばたきをやめ魔力だけでの飛行。その下数メートルの魔物はなすすべもなくつぶされていく。


現代人知識を持つものが見ればマッハを超える航空機の出すソニックブームであることに気づくだろう。

しかし知識もなくましてや音速を越えて近づく衝撃の前に魔物はただ地面ごと削られていくしかない。それから十数分で地面には大きな爪痕しか残っていなかった。


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