53話
翌朝、またも王族と一緒に食事のあと王城を辞する事となった。
て言うかプライベート食堂といっても王、王妃と食事というのは気が休まりません。
しかも今回はジョアンナ様もいらしてました。
もっとも終始和やかです。すげードロシー。
あの人見知りの無さと人懐っこさは称賛に値するね。
まあこちらは王様、ファムは王妃様と話をしています。
王妃様はファムの髪型が気に入ったみたい。
ブロンドを左右三つ編みおさげにし、それを上に結い上げるという形。
今朝も寝癖が直らなかったんだな、きっと。
そこからファッション談義をしています
こちらは王様と主にうちの領地の話。
経営はどうなっているとか、治安はどうかとかですな。
うーん13歳の話題じゃないよ、ここだけ
それでも無難に話題はこなせましたよ。頑張ってますから。
食材集めには健全な経営基盤からですからね。
「ラウル、来月の一日はきちんと来てくださいね」
はなられたところからミュゼが言う。何の話だ?と思っていると
「神星祭のことだ。今年からミュウジイも祭事巫女として参加だからな」
この世界はあのスレンダー女神を含め七柱の神がいる
創造神 バルトール
光の神 ヘムダール
風と雷の神 ペールアン
大地と海の女神 セドナ
芸術と美の女神 ラウニー
智慧の女神 ミーミル
月と航海の女神 アルケー
月も持ってたんですねアルケー様。道理で胸が三日月のように薄・・
あちゃ!飲もうとした紅茶がはねて顔にかかった!
まさかどこかで覗かれてる?
で、その神々が夏に一同に会するのが8月の一日。
それを大神殿で祝うのが神星祭である。
まあ行ったとこはないんだけどね。だって祭の時期に王都にいることなんてなかったもんなぁ。
「へえ、祭事巫女ねえ。どの神様の巫女なの?」
そう聞くと女性陣に不思議なものを見る目で見られた。あれ?おかしいの?
「ドロシー?ラウルって聖別受けてないの?」
「受けたわよ?女神なんてかっこ悪いって一日文句言っていたもの」
何の話なんだ?小さい頃のこと?
「基本的に子供は五つの時に教会で聖別を受けるわよね?」
ファムが聞いてきた。そうなの?知らない。したの?覚えてない。
子供は五つの時に教会に行き聖別を受ける。その時に自分はどの神の加護を色濃く受けているかというのがわかるらしい。
「私のフルネームちゃんと覚えています?」
ミュゼが聞いてきた。
「覚えているに決まっているだろ?、なんで?」
「王族は名前の後のミドルネームの位置に来るのが加護を受けた神の頭文字です。私は名前の後はラですのでラウニー様の加護を受けているということですね。」
「え、ほんと!?それはすごい、知らなかった!」
するとジョアンナ様はミ、だからミーミル様ってことか。
感心している俺をなぜか生暖かい目で見る女子たち。
いいじゃん、覚えてなかったんだし。実際に神様とは信仰深めてるし。
「ファムはきちんと覚えているわよね?」
「もちろん、私はアルケー様だったわよ。」
「それ本当!?」
急に王妃様が勢い込んで聞いてくる。
「実はアルケー様の加護ってなかなかいないのよ。今年も代役で行う予定だったのだけどちょうどいいわ。今年は貴女も出てくださらない?」
まあ、転生業務とかいろいろしてるし意外と加護を与えるまで手が回らないのかもしれない。
あれ?でもジョアンナ様はアルケー様じゃないし。転生者全員にすら加護を与えられないのかあの女神。
いいなぁ、と言っているドロシーだが残念ながら加護は創造神らしく、そこは第一王女様が出てこられるらしいのでドロシーの出番はない。
なぜか、王妃様とミュゼが乗り気になりファムを引っ張っていく。
ああ、ファムは返事もしていないのに決定した事実についていけずそのまま拉致られている。
ドロシーについていってやるように促し、のこるのは王様とジョアンナ様。
「何でアルケー様の加護が少ないんでしょうね?」
「アルケーだけでは無いのだがな」
呆れたように王様はいう
「結局のところ正しい聖別を行っているのかはわからないが王都教会では担当神官が自らの崇める神の加護だと言い張るものが多いときく。地方神殿では平均的にばらつきがあるのに王都ではほぼ4柱しかないというからな」
「別に同じ神殿なんだから数を競わなくてもいいと思いますけれどね。」
何処も人があって権力が絡むと同じって事かね。
「神殿って行ったこと無いので今度いってみます。」
「今日は午後よりジョアンナとミュウジィも行く予定だ合わせて護衛として行くがいい。」
え、またもですか?いいの?
そう思っているとさっさと騎士団長に護衛変更を伝えるように、と指示を出し王様は執務へと行ってしまった。
残されたのはジョアンナ様のみ
うーん気まずい
「ねえ、少し聞きたいことがあるんだけどよろしいかしら?」
ジョアンナ様が言う。言葉の調子は歌うように軽く、表情はにこやかだが目は違う
その目は魔導士ジャンヌ。敵か味方か見定める目。
「どうして直接私に転生者?って聞かないの?」
さてさて、腕っぷしじゃない闘いの始まりだ。




