54話
「おや?なんのことでしょう?」
「とぼけても無駄よ。あなたがあのトランプの発案者って知ってるんだから。隠す意味もないでしょう?」
ああ、そういえば武技際の時にトランプ作ったんだった。王様にまで話通して特許にしたもんだから、そりゃ王族なら名前まで筒抜けか
「じゃあとぼけるのは、止めにしますか。聞かない理由?必要がないからですかね」
「必要がない?」
「そうですよ。転生の時に女神様に会ったならわかっているでしょうが少しこの世界の文化レベルを上げて、って言われただけですしそれ以上のことはしませんよ」
「でも私の出奔は邪魔したじゃない」
「当たり前じゃないですか。護衛任務だったんだし、あんな雑な計画でいなくなられたなら俺だけじゃなく家にまで迷惑かかるよ。立つ鳥跡を濁さず、ってわかるでしょ?誰にも迷惑かけないようにしなさい」
「え?あなたもしかして私が出て行きたいっていうのは止めないの?」
ビックリされていますがそんなに驚くことかな?
「自由に生きたいんでしょ?好きにすればいいじゃないですか。但し誰にも迷惑をかけないように出て行ってくださいよ。自由に生きるのにも責任はあるんですから。この間みたいに何人もの命を犠牲にして出て行くみたいな計画なら潰してあげますから。スマートにね」
「ほんとにアルによく似てるわねぇ。貴方たち兄弟のそういうところ大っ嫌いよ」
笑いながら言う。そんなに怒ってないの?
「言っておきますけど、そんなに嫌ってないわよ?まあ好きじゃないけどあんな性格の奴」
どっちやねん
「突き放しながらフォローするところが嫌い。しかも至れり尽くせりなのよ。細かいくせに絶対に逆らわないし。でもある程度の我儘以外は頑として受け入れないし。あんたは私の飼い主かってのよ!」
エキサイトしてきてる落ち着いて、落ち着いて。
「あのー、一個言っていいですか?」
落ち着かせるために紅茶を飲ませた後聞いてみる。
「冷静に聞いてみて、アル兄の事好きだったの?」
盛大に咽る。うん紅茶のみ終わった後でよかったよ。
一通り咳き込んだ後睨みつけられる。
「冗談でも次に言ったら殺すわよ」
おお本気の殺意だ。じゃあやっぱ嫌いなんじゃないか。
「嫌われてるのは私の方よ。友人として心配しているって何度も言うんだものあいつ。」
うーん、何とも言えないが直接聞いてないんじゃどうかわからんよなぁ。
「変なこと考えないでよ、私も今はそれでいいと思ってるんだから。それに万が一にでも私とアルが結婚するとしたらミュウジィが悲しむでしょ?」
「なんで?ミュゼってアル兄と会ったことあるっけ?」
「わざとでしょ?」
「イエ、ゼンゼン」
睨まれているがスルーしておこう。今はそんな場合じゃない。
「それはともかく、話を戻しますよ。貴女がどこに行こうと何をしようとこちらは基本関知しない。但し、こちらに被害が及ぶ場合。もしくは人命を軽視した行いをした場合。全力でぶっ潰します。以上」
「惜しい人ね、それじゃあ宣戦布告じゃないの?」
「そう取ってもらって結構ですよ。でも王女様のままでいるなら敵対はしませんよ。ミュゼが悲しむことはしたくないですからね」
「気を付けるわ。でもあの時みたいにそんなに簡単に大型魔獣が出てくる偶然なんてそうもないわよ?」
まあ確かにそんな偶然はないよね。納得しました。
「あ、あと王宮内での使い魔召喚は禁止ですからね。気をつけなさい」
そういってジャンヌ嬢は立ち上がる。どうやら話は終わったようだ。
引き分けですか。もしくはこちらの旗色が悪いか。
でもまだ後半巻き返しがあるんだよ?




