104話
とりあえず二人は凍死してませんでした。
雪山になってはいたがきちんと建物の周りは凍結もなく無事でした。
「何なの?これ?」
ファムが呆れている。かなり広い牧場のようなところだが一面の銀世界になっているんだから
呆れるのも当然ではある。
雪女郎 天華の能力である。でもね、ただハウンドを凍らせてくれればよかったんだけどなんで辺り一面銀世界なんだよ?気合い入れ過ぎというかどこにハウンドいるのかわからんわ。
とりあえず収納スキルで雪を取り込みながら小屋まで移動。
ラッセル車の気分だな。
「こんな使い方する人初めて見たわよ」
ファムに言われる。いや、だって火魔法じゃめんどくさいんだよ。雪を解かすのって。
楽に通れるならいいじゃん、それに夏に熱くなった時にエアコンに使おう
とか言いながら小屋に到着。
あ、こっちは無事なんだ。
小屋の周り一メートルほど手前で雪はなくなっている。まあそのくらいの分別はあったようだな。
エイルには念話で報告を受けているのでとりあえず二人とも無事というのはわかっている
二人とも召喚は解除したが最後にサラッとミュゼにスキルを与えたって報告しやがった。
まあエイルの事だから体に悪いことはないだろうとは思うけど事後報告はやめてほしいよね。
まだ二人とも気を失っているようなのでファムに見てもらってこちらは雪かきでもしてますか。こんなの誰かに見られたら困りますからね。
それから十数分、雪はあらかた処理し終わりました。少し残っているけどそれは解けてくれるでしょう。
そのころにはドロシーとミュゼも起きてきたようなのでファムも含め外に出てきていた。
「どうしてあたしが起きるまで待ってないのよ?」
どうやら銀世界を見たかったようでドロシーがプンスカ怒っている。
そういや昔から雪が好きだったもんなぁ。王都と違いうちは少し北の方なので冬には一月弱雪が積もることがあるんだがかなりその時ははしゃいでいたからなぁ
逆にミュゼは初めて見たらしい、でも冷気が寒すぎたらしくもういらないといっていた。
取り合えず、残っていたマッドハウンドは討伐部位を残らず回収。といっても十五匹くらいだったけどね。残り35匹は凍結して粉々に砕かれたそうだ。
因みにマッドハウンド、泥の犬だがゴーレムではなく魔物である。
その核にはネズミのような魔物、ストーンマウスが入っていて。それが泥を纏い大きな犬状になるというものである。なので討伐部位はそのストーンマウスの死体となるんだがまさか粉々にするとマウスまで粉々になるとは思わなかった。どれだけ凍らせたんだよ。
そんなこんなで処理をしていた時の事
「あんたら!ここで何してるんだ!?」
突然男が大声を上げて近づいてきた。
なんだこいつ?ここでって魔物討伐の後処理だけどどう答えよう?と思っていたら、足元からするするとフェレットが登ってきて耳元で止まる。
「ご主人様ぁ、山の上にいた男を持ってきましたぁ」
あ、よく見ると後ろにダーキニーもビーストモードでちゃんといるな
「何って、ラミアとマッドハウンドに襲われたから撃退して後始末してるんですけど?」
「ここのマッドハウンドは人は襲わない!もし襲われたとしてもあんな小さいのに何もないだろう?!」
「何言っているんです?どこが小さいんですか?」
その発言にミュゼが答えて指をさす。その指の先には巨大なハウンドの形をとどめた残骸がある
その残骸を見て目を丸くする男、だが今度は慌てたように。
「そうだ!エイミはどうした?ここにいた女性がいるだろう?」
「エイミ?我々がここに来たときはエノーラって名乗るラミアしかいなかったけど?」
「いや、ラミアじゃない彼女は人間だ」
なんか慌ててるので少し落ち着かせる。
そのあと容姿のすり合わせ。本当に別の女性がいてラミアに殺されたのか、もしくはラミアが違う名前でこの男に対していたのかの確認である。
こういう時にサトリを出していてよかったよ。慌てた人間の説明する容姿ってのは伝わりませんからね。
『どうやら同一人物のようですぅ。おそらくこの男の精神誘導もそのラミアのせいかもしれないですぅ』
ていうかこの慌て方は精神誘導っていうより惚れてるんじゃない?
恋人を心配してるようにしか見えんけどね。
『でも関係は持ってないようですよぅ。なんというか便利に使われていただけみたいですぅ』
あ、サキュバスラミアってそういえばショタだった。二十歳くらいになるともう圏外になるのね
なんか可哀そうになってきたな




