103話
「あら?えらくその子が気に入ったのね」
後ろから声がかかる
雪女郎の天華である。どうやらハウンドの処理が終わったようだ。
「貴女ですか、もう処理は終わったんですか?」
「あんなのらくしょーよ」
ふと外を見る。建物の周りが白銀の世界になっている。
マッドハウンドは泥製の魔物。即ち凍らせれば動けなくなるということか
「あとは完全凍結までゆっくり待つだけよ。でも貴女が一般人にスキルを与えるなんて珍しいわね」
「厳密にはスキルではないのだがな」
ワルキューレルーンはスキルではなく能力貸与。発動は異界を通り私が行う
「主たちには生きていてほしいしな。治癒が間に合わないことは避けねばならない。それに何より彼女がスキルを使うということは私の顕現が可能ということだ」
「貴女、旦那様の召喚以外にこっちに来る道を開けるの?」
「そういうことだ、我々ワルキューレはルーンとして自らを能力として貸与できるからな」
「いい手かも、あたしもできるかな」
「わからないな、試してみるか?」
「いいわけないでしょう!」
後ろから声がかかる。レイスの朝露である
「あら?アサちゃんじゃない?いたの?」
「いたの?じゃない!あなたのしりぬぐいばっかりやらされるこちらの身になりなさい」
「身なんて持ってないでしょ?」
「そういう意味じゃありません」
頬っぺたをつねる朝露。
思い切り左右に引っ張られてるのにたまらず逃げ出す天華。
エイルの後ろに隠れ頬っぺたを抑えている。
「顔が丸くなったらどうするのよ?」
「くだらないことを考えるからでしょう?旦那様の妹で実験しようなんてばれたら貴女消されるわよ。それこそ魂の残滓すら残さず」
「や、やだなぁ実験なんてオモッテナイワヨ」
自分のやろうとしたことの危うさに気づいたのか喋りながらも声が震えてきている。
「まあ下らないことを言っただけなので見逃してあげます。いくら召喚された仲間とはいえ旦那様の憂いになるものは許しませんからね」
「うう、アサちゃんが恐いよう」
「そのような殺気も出せるんだな。君はもっと落ち着いているものと思っていたが」
「滅多なことではこんなことしません。ですが旦那様の為でしたらなんでも致しますわ」
「アサちゃんヒステリーだから。」
「行きますよ天華。すべてのハウンドは凍らせただけではいけません。粉々に砕かなければ旦那様のご意思に反します」
「痛いってば、髪引っ張らないで!」
天華のポニーテールを引っ張りながら消えていく二人。エイルは片をすくめため息をつくだけだった。
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ファムとラミアはほぼ一騎打ちである。
ラミアは基本毒攻撃があるのだが毒性無効のスキルを持つファムには効かない
結果肉弾戦となっている。
しかし、蛇の胴体部分の下半身はともかく上半身までもがかなりの柔軟さ、強靭さを持つこともあり
打撃が通らない。ダークブレイドはまだ慣れていないらしく維持が難しそうだ。
特撮見てないのかね?きちんと見てればイメージもしやすかろうに。
「かなり魔力使うわよ?これ。維持したままじゃ動けないわよ」
「そうなの?それは気づかなかったなぁ」
「ムカつくわね、人が苦労してるのに」
だってしょうがないじゃん、スキルなんだし
「薄く纏って発動しておくんだよ。インパクトの瞬間にだけ刃に強く纏うようにすれば魔力節約になるんじゃないかな?」
「そんな器用なことよく思いつくわね?」
「お前たち緊張感ってないのか?!」
ラミアが怒ってますます攻撃が激しくなる
「あらー、ファム気をつけろ。エッチなお礼くれるなら手伝ってあげるよ」
「このラミアの後貴方をやっつけてあげるからそこで正座して待ってなさい!」
少し顔が赤い、何想像してるんだ?
でも、アドバイスは利いたのか徐々に刃が通りだす。
ラミアも本気を出してきたのか徐々に蛇顔になってくる。
だがその方がやりやすくなると気づかないのかね?
流石に人型の部分に攻撃は躊躇していたようだったがそこがモンスター型になれば打ち込む範囲が増える。
結果としてはラミアはそのまま防戦に持ち込まれてしまう。
因みにだが俺は何もしていないわけではない
逃がさないように後ろをふさいだりかなり頑張っているんですよ。離れようとすれば即座に牽制入れたりね。あそんでませんよ?
十数分後ラミアは打ち取れました。。
確認後討伐部位を採取してふとファムを見ると固まっている。
どうしたんだ?無言で指をさすのでそちらを見る。
指をさした先は雪山になってました。
なにやってるんだ?あいつら




