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第1話「事故死第一号」
美咲は、涼木が死んだ朝の教室の静けさに違和感を覚えていた。誰も泣いていない。「受験まであと九ヶ月」――担任の一言に、彼女は背筋が冷たくなる。人が一人死んだのに、それすらも「時間のロス」として扱われる場所だった。
佐伯が学校を訪れると、教師たちは判で押したように「受験ストレス」を口にした。だが涼木の机の引き出しには、一枚だけ紙を抜き取った跡があった。
「ここに何かがあったんですね」
案内していた担任・浅井の表情が、一瞬強張った。
浅井は、模試会社から届いた「順位データ修正」の通知書を、自分の手で抜き取っていた。涼木がどこでそれを見つけたのかは分からない。だが外部の目に触れさせるわけにはいかなかった。
「涼木くんは本当に真面目な生徒でしたから」
その声は、わずかに震えていた。
車の中で、佐伯は手帳に書いた。
「この学校では、何かが隠されている。」




