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プロローグ
麻布台学園の中庭に、救急車のサイレンが響いていた。
倒れていたのは三年A組・涼木蓮。全国模試総合一位、医学部志望。「屋上から転落したようです」――警察は事故と判断しかけていた。
そこへ現れたのが佐伯修司。かつて「合格請負人」と呼ばれた元受験指導者だ。涼木の母親が佐伯の教え子だったことから呼ばれた。
「あの子は、自分から死ぬような子じゃありません」
母の涙を前に、佐伯は生徒の机を見た。引き出しの奥、一枚だけ紙が抜き取られた跡がある。埃の積もり方が、そこだけ違った。
佐伯は手帳を取り出した。これが、彼が再び「教育」という迷路に足を踏み入れる第一歩だった。




